私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

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第6話 終演の時はもうすぐ リナ視点

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「ユーゴ様、リナ様、お待たせいたしました。つい先ほど、裏付けの確保が完了となりました」

 あのデートから4日後の、お昼過ぎでした。あの美少年さんが再び来てくださり、テーブルの上に7枚の資料を広げてくださいました。
 そこには殺し屋との接触についてなどなど、明確な証拠が並んでいて――。これがあれば、言い逃れは不可能です。

「貴族間の問題でもあるのでこのあと『国』に提出し、王を含めた7人の上級審査委員による『貴族裁判』が行われます。上級メンバーの招集には時間が少々かかりますので、そうですね。遅くとも明朝には始まり、夕方には罪が確定となるでしょう」
「……確保などなどの御協力、まことにありがとうございました。心から感謝いたします……!」
「頼もしい味方様とその関係者である貴方様のおかげで、危機を回避できました。私が蒔いてしまった種を取り除いてくださり、本当にありがとうございます」

 姿勢を正し、お父様と一緒に頭を下げました。
 できればお名前を呼んで気持ちを伝えたいのですが、この方は匿名を希望されています。なのでこの呼び方にさせてもらって、謝意を告げました。

「いえ、リナ様に非はありませんよ。彼らは巧妙に本性を伏せていて、本格的な監視を行わなければ気付けないものでしたから」

 関係者様はすぐに首を左右に振って、軽く咳払い。「お礼はもう結構ですよ」と爽やかに微笑み、壁にある時計を一瞥しました。

「僕の記憶が確かなら、今日の午後6時からパーティーがありましたね。そちらが婚約者として二人で過ごす最後の時間となりますので、是非、貴女の怒りの全てをぶつけてください」
「はい、そうさせてもらいます。実はですね、もう作戦が浮かんでいるのですよ」

 引き留めた際の反応、その日の帰り際の様子、アクシーでの反応、その日の帰り際の様子。そこにエリックさんの本性を加え、得た知識を総動員して考えました。
 万が一効き目が薄かった時のために保険もありますし、集大成に相応しい結果になると思います。

「この子はわたしと妻の為に、時間がある時はずっと考えてくれていたのですよ。親馬鹿になりますが、わたし達の自慢の娘です」
「おっ、お父様っ。さっきも申しましたが、私の責任ですので――」
「僕もさっき申し上げましたが、普通は気付けないものです。貴女の責任ではなく、敢えてそれを問うとしたら、そうですね。『例外としてしまった事』に、責任がありますね」
「……例外、ですか……? それはどういう……?」
「そこに関しましては、そうですね。騒動の解決後にお伝えいたします。その時まで暫しお待ちください」

 美少年さんは軽く口元を緩め、それが終わると資料をまとめて一礼をしてくれました。

「それではこれより、提出を行ってまいります。リナ様、素敵な夜をお過ごしください」
「お任せください。いいご報告が出来るように、頑張ってきます」
「期待、していますね。では失礼いたします」

 私が改めてお辞儀をするとわざわざもう一度してくださって、関係者様は馬車に乗って去られました。
 その御姿を見送ると私はすぐお部屋に戻って、予行演習を始めます。何があっても完璧にこなせるよう、色んな状況を想定して。出発の時間ギリギリまで、何度も何度も練習を行ったのでした。

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