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第8話 二つの仕込みが、花となる エリック視点 (5)
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「…………………………………………………………」
「り、リウ、違うんだ……っ。違うんだよ……っっ。これは、その……。そのね……っ」
「…………………………………………………………」
「昨夜の苛立ちが……。あの女への苛立ちが、残っていて……っ。つい……。本当に、つい……。微塵も思ってもいない、八つ当たりな言葉を――」
「そうですの。言うに事欠いて、わたくしのせいにするんですのね?」
そう呟いたリウは、無。
そこには、怒りも悲しみもなく……。無表情で、ただただこちらを見つめていた。
「わたくしが信じられないのは、要するにわたくしが浮気をしているから。ああ、そうですか。そうですのね」
「ち、ちが……。これは――」
「だったら、そんな酷い女は今すぐ去ってあげますわ。わたくし達の関係も、ここまでですわね」
その声音も顔も、無機質さを持ったままで……。それらを聞いて見ていると、嫌でも思い知らされる。
彼女はもう、俺に興味が一切なくなってしまった。一喜一憂する存在に値しない存在になってしまったのだと、いうことに。
「貴方との婚約は、破棄させてもらいますわ。あの女と真の婚約をできるようになって、よかったですわね」
「リウっ、待ってくれ!! 今のは悪かった!! あれはこちらが全面的に悪い!! 400万っ、500万でもいいっ!! お詫びに何でも買うから――」
「これ以上の会話は、時間のムダですわ。エリック・ミオファ様、永遠にさようなら」
土下座する俺を淡々と見下ろし、ゆっくりとしたカーテシーを――。皮肉に満ちた動作を済ませ、最愛の人は早歩きで部屋を出て行ってしまったのだった……。
ぁ、ぁぁ……。
ぁぁぁ……。
リウ……。
リウ…………。
ぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
「り、リウ、違うんだ……っ。違うんだよ……っっ。これは、その……。そのね……っ」
「…………………………………………………………」
「昨夜の苛立ちが……。あの女への苛立ちが、残っていて……っ。つい……。本当に、つい……。微塵も思ってもいない、八つ当たりな言葉を――」
「そうですの。言うに事欠いて、わたくしのせいにするんですのね?」
そう呟いたリウは、無。
そこには、怒りも悲しみもなく……。無表情で、ただただこちらを見つめていた。
「わたくしが信じられないのは、要するにわたくしが浮気をしているから。ああ、そうですか。そうですのね」
「ち、ちが……。これは――」
「だったら、そんな酷い女は今すぐ去ってあげますわ。わたくし達の関係も、ここまでですわね」
その声音も顔も、無機質さを持ったままで……。それらを聞いて見ていると、嫌でも思い知らされる。
彼女はもう、俺に興味が一切なくなってしまった。一喜一憂する存在に値しない存在になってしまったのだと、いうことに。
「貴方との婚約は、破棄させてもらいますわ。あの女と真の婚約をできるようになって、よかったですわね」
「リウっ、待ってくれ!! 今のは悪かった!! あれはこちらが全面的に悪い!! 400万っ、500万でもいいっ!! お詫びに何でも買うから――」
「これ以上の会話は、時間のムダですわ。エリック・ミオファ様、永遠にさようなら」
土下座する俺を淡々と見下ろし、ゆっくりとしたカーテシーを――。皮肉に満ちた動作を済ませ、最愛の人は早歩きで部屋を出て行ってしまったのだった……。
ぁ、ぁぁ……。
ぁぁぁ……。
リウ……。
リウ…………。
ぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
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