私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

文字の大きさ
22 / 41

第9話 頼もしい味方の来訪と、正体の発覚 リナ視点 (1)

しおりを挟む
「関係者全員の処遇が決まり、これから身柄を拘束する事となった。リナ・サーハル、君も一緒に来るか?」

 パーティーの翌日、午後の2時過ぎでした。家の前に馬車が複数台停まったのでお父様と共に急いで出てみると、髭を蓄えた威厳のある男性が降りてきました。
 一番豪華な馬車から出てこられたこの方は、マティス・グエールズ大公。現国王マスラズ様の、弟にあたる御方です。

「一番の被害者である君には、見届ける権利がある。どうかな?」
「…………。…………」
「うむ? 目を白黒させてどうしたのだ? わたしの顔に、何かついているか?」
「閣下、そうではございません。あの方・・・の御意向で協力者の素性を明かしていなかった為、サーハル様は驚いてしまわれているのですよ」

 同じ馬車から出てきた従者の男性が、こちらにお辞儀をしつつ微苦笑を浮かべた。
 協力者……。
 グエールズ大公が、協力者様……!?

「おお、そうだったな。リナ・サーハルよ、ここにいる男が件の協力者だ。ユーゴからの依頼を受けたのは、わたしなのだよ」
「閣下は十二年前の視察で葡萄畑とワインを気に入ってくださり、それ以降懇意にして頂いていたんだよ。あの頃のことは、リナも覚えているだろう?」
「は、はい、よく覚えています。あの時は、色々とやってしまいましたから……」

 閣下はあの日、3人の御子息を――。私より7歳年上の長男・アルク様、5歳年上の次男・サイズ様、同い年の三男・レオ様を連れていらっしゃっていて、葡萄畑と製造所をご覧になっている間、私はレオ様と一緒にいた。
 レオ様は移動中に酔ってしまっていて、我が家で私が看病をしている――涼しい場所で、お話しをしていることになったのでした。

『レオ様っ、私とお喋りしてよーねっ。すっごく面白いお話があるから、これからしますねーっ』
『えっ? あ、う、うん。お願い、します』

 レオ様は内気な子で、あの頃の私は活発な子。
 その正反対さが上手く働いたみたいで、最初は戸惑っていた――遠慮気味だったレオ様も、段々と心を許してくれるようになる。私達の距離はあっという間に縮まっていて、皆さんが視察を終えて帰ってきた頃にはお友達になっていました。

『ほぅ、あのレオが笑っているではないか。君は…………リナ、だったか。レオの相手をしてくれてありがとう』
『私のほーも、ありがとーございますっ。レオ様は楽しそーにお話を聞いてくれて、楽しそーな笑顔を見れて私も楽しかったですーっ!』
『………………なるほど、レオがそうなるのは至当だな。……これからわたしは、君のお父さんともう少しお話をする。あとちょっとだけ、この子の相手をしてくれるかい?』
『はーいっ! レオ様、新しいお話をするねーっ』

 そうして私達は再びお喋りを始めて、間もなくでした。手持無沙汰になったアルク様とサイズ様がやってきて、私はちょっとした騒動を起こしてしまうのです。

しおりを挟む
感想 330

あなたにおすすめの小説

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

婚約者は迷いの森に私を捨てました

天宮有
恋愛
侯爵令息のダウロスは、婚約者の私ルカを迷いの森に同行させる。 ダウロスは「ミテラを好きになったから、お前が邪魔だ」と言い森から去っていた。 迷いの森から出られない私の元に、公爵令息のリオンが現れ助けてくれる。 力になると言ってくれたから――ダウロスを、必ず後悔させてみせます。

甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。 サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。 サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 ★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。

【完結】妹に婚約者を奪われた傷あり令嬢は、化け物伯爵と幸せを掴む

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢リューディアは侯爵家次男アルヴィと婚約が決まり友人に祝福されていた。親同士が決めたとはいえ、美しく人気のあるアルヴィとの婚約はリューディアにとっても嬉しいことだった。 しかし腹違いの妹カイヤはそれを妬み、母親と共謀してリューディアの顔に傷をつけた。赤く醜い跡が残り、口元も歪んでしまったリューディア。婚約は解消され、新たにカイヤと結び直された。 もう私の人生は終わったと、部屋に閉じこもっていたリューディア。その時、化け物のように醜い容姿の辺境伯から縁談が持ちかけられる。このままカイヤたちと一緒に暮らすぐらいならと、その縁談を受けることにした。 見合い当日、辺境伯は大きな傷があるリューディアに驚くが、お互いの利害が一致したことで二人は結婚を決意する。 顔と心に大きな傷を負ったヒロインが、優しいヒーローに溺愛されて癒されていくお話です。 ※傷やあざの描写があります。苦手な方はご遠慮ください。 ※溺愛タグは初めてなので、上手く表現できていないかもしれません。ゆるっと見守ってください。

【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。

❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、すまない。カノンが…… 」 「大丈夫ですの? カノン様は。」 「本当にすまない。ルミナス。」 ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものようにすまなそうな顔をして彼女に謝った。 「お兄様、ゴホッゴホッ! ルミナス様、ゴホッ! さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」 カノンは血を吐いた。

我慢しないことにした結果

宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

王子に買われた妹と隣国に売られた私

京月
恋愛
スペード王国の公爵家の娘であるリリア・ジョーカーは三歳下の妹ユリ・ジョーカーと私の婚約者であり幼馴染でもあるサリウス・スペードといつも一緒に遊んでいた。 サリウスはリリアに好意があり大きくなったらリリアと結婚すると言っており、ユリもいつも姉さま大好きとリリアを慕っていた。 リリアが十八歳になったある日スペード王国で反乱がおきその首謀者として父と母が処刑されてしまう。姉妹は王様のいる玉座の間で手を後ろに縛られたまま床に頭をつけ王様からそして処刑を言い渡された。 それに異議を唱えながら玉座の間に入って来たのはサリウスだった。 サリウスは王様に向かい上奏する。 「父上、どうか"ユリ・ジョーカー"の処刑を取りやめにし俺に身柄をくださいませんか」 リリアはユリが不敵に笑っているのが見えた。

処理中です...