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第9話 頼もしい味方の来訪と、正体の発覚 リナ視点 (2)
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『おい「太っちょレオ」っ。俺達は暑いのを我慢して勉強をしてきたのに、なにのんびりしてんだよ!』
『あ、アルク兄様……。ごめんなさい……』
『まったく、お前はいいよな~。俺も馬車に酔って、ここでダラダラしたかったぜ』
突然やってきたアルク様とサイズ様は、開口一番レオ様を小馬鹿にしました。
到着したばかりのレオ様は青褪めていて、とても苦しそうだったのに……。それを、よかったと言う。あの頃の私は活発であり今よりもお転婆で、この時点でかなりムカッとしていた。
『なまけた罰として、太っちょレオの秘密の発表会をしよう。そこのリナと使用人達、いいかっ? ちゃんと聞けよっ?』
『やっ、やめてよ兄さんっ! 嫌――』
『コイツ、いっつもオネショするんだよ。今日もやってて、ベッドがびっしょり!』
『やったあとは必死に隠そうとしていて、見つかったら顔を真っ赤にしてビービー泣くんだっ。上からも下からも水が出まくりで、面白いんだよっ』
お二人はレオ様の口を塞いで黙らせ、アルク様とサイズ様は大笑い。
恥ずかしくってレオ様が泣いたら二人はもっと笑って、もう一つ暴露をしようとし始めて――。そこで、私の我慢が限界になった。
『次いくぞっ。コイツは勉強も運動もできなくって――』
『いーかげんにしなさい! レオ様は嫌がって泣いてるでしょ!!』
怒った私は2人に体当たりをして拘束を解き、泣きじゃくるレオ様をぎゅーっと抱き締めた。
『レオ様っ、もーだいじょうぶっ。私がさせないよっ!』
『ひぅっ。リナ、ちゃん……っ。ありがと、とう……っ』
『んーん。こっちも、がまんをしててすぐ動けなくてごめんなさい。その分までしーっかり、まもって――』
『いててて……っ。お前、よくもやりやがったなっ!!』
転んでいたお二人が立ち上がり、私を突き転ばして睨みつけてくる。
恐らくあれが、人生で初めて見た『理不尽な目』。幼心に、汚い、と感じたのを今でもハッキリと覚えている。
『俺達の親は大公で、お前の親は男爵! 俺達がずっと偉いんだぞっ!』
『絶対に、許さないからな……っ。父様に頼んで、お前に――』
『うるさいっ!! 偉さとか関係なくって、悪いことしたら誰でも悪いのっ! ごめんなさいをして、謝らないといけないのっ! ほらっ、ちゃんとレオ様に謝って!!』
『りっ、リナさま……っ。お気持ちは分かりますが、これ以上は――』
『私は間違ってませんっ! いいからちゃんと頭を下げて、レオ様に謝りなさい!!』
使用人さんが割って入っても怒りは治まらず、私は尚も大暴れ。アルク様達に掴みかかって謝罪を求め、また二人に転ばされても立ち上がって掴みかかってゆく。
そんな行動は騒ぎを聞きつけたお父様と閣下が駆け付けるまで続いて、私はお父様に、アルク様達は閣下に抑えられて、ようやく収まったのでした。
『よもや、間近でこんな事になっているとはな……。開いた口が塞がらんぞ』
『『父様っ! アイツが俺達に体当たりをしてきたんですっ! 大公の力で罰を――』』
『馬鹿者! 罰を受けるのはお前達だ!!』
ごつん。そんな音が2回発生し、アルク様達に拳骨が落ちました。
『報告を受け、一部始終を把握しているぞ。……アルク、サイズ。貴様らには、体当たりをされる覚えるがあるはずだろう?』
『『…………』』
『わたしは、問うているのだぞ。早く答えろ』
『『…………はい。あり、ます』』
『ならば非はお前達にあり、責任を負うのはお前達だ。そして、これまで何度となく言っているが――。地位は、我を通す為のものではない!!』
『『…………』』
『これまでは大目に見てきたが、一向に改めぬ故仕方がない。近々お前達には、厳しい処分を科す。覚悟しておけ』
幸いにも閣下は清い方で、私へのお咎めはなし。ですがもしも閣下がそういう人でなければ、我が家は大変なことになっていて――。
例え間違ったことをしていなくても、決して手を出してはいけない。
感情的に行動してしまったら、大切な人を巻き込んでしまう可能性がある。
後日そう気付いた私は反省し、この時を切っ掛けに性格は変わっていったのでした。
『あ、アルク兄様……。ごめんなさい……』
『まったく、お前はいいよな~。俺も馬車に酔って、ここでダラダラしたかったぜ』
突然やってきたアルク様とサイズ様は、開口一番レオ様を小馬鹿にしました。
到着したばかりのレオ様は青褪めていて、とても苦しそうだったのに……。それを、よかったと言う。あの頃の私は活発であり今よりもお転婆で、この時点でかなりムカッとしていた。
『なまけた罰として、太っちょレオの秘密の発表会をしよう。そこのリナと使用人達、いいかっ? ちゃんと聞けよっ?』
『やっ、やめてよ兄さんっ! 嫌――』
『コイツ、いっつもオネショするんだよ。今日もやってて、ベッドがびっしょり!』
『やったあとは必死に隠そうとしていて、見つかったら顔を真っ赤にしてビービー泣くんだっ。上からも下からも水が出まくりで、面白いんだよっ』
お二人はレオ様の口を塞いで黙らせ、アルク様とサイズ様は大笑い。
恥ずかしくってレオ様が泣いたら二人はもっと笑って、もう一つ暴露をしようとし始めて――。そこで、私の我慢が限界になった。
『次いくぞっ。コイツは勉強も運動もできなくって――』
『いーかげんにしなさい! レオ様は嫌がって泣いてるでしょ!!』
怒った私は2人に体当たりをして拘束を解き、泣きじゃくるレオ様をぎゅーっと抱き締めた。
『レオ様っ、もーだいじょうぶっ。私がさせないよっ!』
『ひぅっ。リナ、ちゃん……っ。ありがと、とう……っ』
『んーん。こっちも、がまんをしててすぐ動けなくてごめんなさい。その分までしーっかり、まもって――』
『いててて……っ。お前、よくもやりやがったなっ!!』
転んでいたお二人が立ち上がり、私を突き転ばして睨みつけてくる。
恐らくあれが、人生で初めて見た『理不尽な目』。幼心に、汚い、と感じたのを今でもハッキリと覚えている。
『俺達の親は大公で、お前の親は男爵! 俺達がずっと偉いんだぞっ!』
『絶対に、許さないからな……っ。父様に頼んで、お前に――』
『うるさいっ!! 偉さとか関係なくって、悪いことしたら誰でも悪いのっ! ごめんなさいをして、謝らないといけないのっ! ほらっ、ちゃんとレオ様に謝って!!』
『りっ、リナさま……っ。お気持ちは分かりますが、これ以上は――』
『私は間違ってませんっ! いいからちゃんと頭を下げて、レオ様に謝りなさい!!』
使用人さんが割って入っても怒りは治まらず、私は尚も大暴れ。アルク様達に掴みかかって謝罪を求め、また二人に転ばされても立ち上がって掴みかかってゆく。
そんな行動は騒ぎを聞きつけたお父様と閣下が駆け付けるまで続いて、私はお父様に、アルク様達は閣下に抑えられて、ようやく収まったのでした。
『よもや、間近でこんな事になっているとはな……。開いた口が塞がらんぞ』
『『父様っ! アイツが俺達に体当たりをしてきたんですっ! 大公の力で罰を――』』
『馬鹿者! 罰を受けるのはお前達だ!!』
ごつん。そんな音が2回発生し、アルク様達に拳骨が落ちました。
『報告を受け、一部始終を把握しているぞ。……アルク、サイズ。貴様らには、体当たりをされる覚えるがあるはずだろう?』
『『…………』』
『わたしは、問うているのだぞ。早く答えろ』
『『…………はい。あり、ます』』
『ならば非はお前達にあり、責任を負うのはお前達だ。そして、これまで何度となく言っているが――。地位は、我を通す為のものではない!!』
『『…………』』
『これまでは大目に見てきたが、一向に改めぬ故仕方がない。近々お前達には、厳しい処分を科す。覚悟しておけ』
幸いにも閣下は清い方で、私へのお咎めはなし。ですがもしも閣下がそういう人でなければ、我が家は大変なことになっていて――。
例え間違ったことをしていなくても、決して手を出してはいけない。
感情的に行動してしまったら、大切な人を巻き込んでしまう可能性がある。
後日そう気付いた私は反省し、この時を切っ掛けに性格は変わっていったのでした。
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