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番外編
その1 太っちょレオが変わった日(2)
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「レオ様……。助けて……」
そこは、薄暗い牢獄。レオは気が付くと鉄格子の前に立っていて、その中には拘束されたリナがいました。
「どっ、どうしたのリナちゃんっ!? なにがあったの!?」
「私も、よくわからないの……。何もしていないのに、悪い事をしたって言われて……。お父様もいっしょに、捕まったの……。罰として、お家もブドウ畑も、取り上げられちゃったの……」
「そ、そんな……。まっ、待ってて! お父様にお願いをして、すぐに助けて――」
「レオ、すまない……。わたしにはもう、力はないのだ……」
いつの間にか隣にも牢屋があって、そこにいたのはマティス。父親も後ろ手に拘束され、力なく座っていました。
「お、お父様も……? ど、どうなってるの……?」
「コイツらは、オレがこうしたんだよ。この女がそうなっているのは、ブドウ畑が欲しかったから。その男がそうなってるのは、オレの邪魔をしたからだ」
どこからともなく青年が現れ、2人を順番に一瞥。ゆっくりとレオへと視線を戻し、不気味にニヤリと笑いました。
「世の中は結局、『力』が全て。力さえあれば簡単に、こんな風にできるんだよ」
「……迂闊、だった……。こやつに、まんまと嵌められてしまった……っ」
「一生懸命、性格を変えたのに……。駄目、だった……。駄目だったんだよ……」
「そ、そんな……っ。そんな……っっ」
レオは鉄格子を握ったまま崩れ落ち、いつもの光景が始まります。
ポロポロが、ボロボロに。瞳からは、大量の涙が流れ落ちるようになりました。
「ひぅっ。ひぅ……っ。あ、の……っ。おねが、い……っ。します……っ」
「あ? なんだって?」
「…………お願い、します……っ。リナちゃんとお父様を、解放してください……っっ」
涙まみれの顔を右側へと向けて、青年の腰にある『鍵』を見つめます。
「僕にできる事なら、何でもしますから……っ。リナちゃんと、お父様を、助けてください……っ」
「やなこった。んなの、できるわけないだろ」
「……お願い、します……っ。この命でもなんでも、あげます、から……っ。リナちゃんとお父様だけでも、返してください……っっ」
「はぁー。しつこいんだよ、デブ。そんなに助けたいなら、自分でどうにかしろよ」
青年は嘲笑を浮かべて、右の人差し指と中指を立たせます。
「俺を超える『権力』があれば、コイツらの罪を消せる。俺を倒せる『力』があれば、鍵を奪って逃げだせる。方法が2つもあるんだから、どっちかできるだろ? できねーのか?」
「……………………」
レオは引っ込み思案な三男で、泣き虫で弱虫な少年。彼には特別なコネも腕力もなく、どちらもできません。
そのため俯いたままで、何も返せなくなりました。
「はっ、無理ってわけか。んじゃそこで無様に、この女が殺されるの見てるといい」
「こっ、殺す……!?」
「死人に口なし。コイツが生きてると、何かと面倒なんだよ。だから――とっとと殺すのさ」
青年はナイフを取り出し、その場でリナの首を斬る真似をしました。
「そっ、そんなことをしたらっ! 殺人っ! おかしいぞってなって、ブドウ畑は手に入らなくなりますよっ! 作戦はっ。だっ、台無しなしですよっ!!」
「ばーか。そこんとも、どうとでもできるんだよ。なにせ俺にはお前と違って、力があるんだからな」
彼はレオの顔に唾を吐きかけ、錠に鍵を差し込んでカチャリと回す。そうすれば牢屋の扉はぎぃと開き、青年とリナを隔てるものは何もなくなってしまいました。
「てなわけで、これからコイツを殺す。太っちょレオは、そこで指を咥えて眺めてな」
「……………………」
もう駄目だ! 終わりだ! 殺されちゃう!
こんな思いが文字となり、頭の中で飛び交って。レオは再び、頭を抱えました。
「ぁぁぁぁぁ……っ。ぁぁぁぁぁ……っっ」
できることは、体を震わせて泣くことだけ。
そうしている間に青年はリナのもとへと到達し、ナイフを握る力が強まりました。
「さあて。ショータイムの時間だ」
「やめてっ! やめてくださいっ! お願いですからっ! リナちゃんを助けてくださいっっ!!」
「そりゃ出来ないって、さっき言っただろ。…………太っちょレオ、よーく見てろよ? 大好きな人が、死ぬ瞬間をなぁっ!」
逆手に持たれたナイフ。鋭く光る刃物がリナの頭へと向かい、そうして――
『いーかげんにしなさい! レオ様は嫌がって泣いてるでしょ!!』
その最中。レオの中で不意に、あの時の記憶が蘇ったのでした。
そこは、薄暗い牢獄。レオは気が付くと鉄格子の前に立っていて、その中には拘束されたリナがいました。
「どっ、どうしたのリナちゃんっ!? なにがあったの!?」
「私も、よくわからないの……。何もしていないのに、悪い事をしたって言われて……。お父様もいっしょに、捕まったの……。罰として、お家もブドウ畑も、取り上げられちゃったの……」
「そ、そんな……。まっ、待ってて! お父様にお願いをして、すぐに助けて――」
「レオ、すまない……。わたしにはもう、力はないのだ……」
いつの間にか隣にも牢屋があって、そこにいたのはマティス。父親も後ろ手に拘束され、力なく座っていました。
「お、お父様も……? ど、どうなってるの……?」
「コイツらは、オレがこうしたんだよ。この女がそうなっているのは、ブドウ畑が欲しかったから。その男がそうなってるのは、オレの邪魔をしたからだ」
どこからともなく青年が現れ、2人を順番に一瞥。ゆっくりとレオへと視線を戻し、不気味にニヤリと笑いました。
「世の中は結局、『力』が全て。力さえあれば簡単に、こんな風にできるんだよ」
「……迂闊、だった……。こやつに、まんまと嵌められてしまった……っ」
「一生懸命、性格を変えたのに……。駄目、だった……。駄目だったんだよ……」
「そ、そんな……っ。そんな……っっ」
レオは鉄格子を握ったまま崩れ落ち、いつもの光景が始まります。
ポロポロが、ボロボロに。瞳からは、大量の涙が流れ落ちるようになりました。
「ひぅっ。ひぅ……っ。あ、の……っ。おねが、い……っ。します……っ」
「あ? なんだって?」
「…………お願い、します……っ。リナちゃんとお父様を、解放してください……っっ」
涙まみれの顔を右側へと向けて、青年の腰にある『鍵』を見つめます。
「僕にできる事なら、何でもしますから……っ。リナちゃんと、お父様を、助けてください……っ」
「やなこった。んなの、できるわけないだろ」
「……お願い、します……っ。この命でもなんでも、あげます、から……っ。リナちゃんとお父様だけでも、返してください……っっ」
「はぁー。しつこいんだよ、デブ。そんなに助けたいなら、自分でどうにかしろよ」
青年は嘲笑を浮かべて、右の人差し指と中指を立たせます。
「俺を超える『権力』があれば、コイツらの罪を消せる。俺を倒せる『力』があれば、鍵を奪って逃げだせる。方法が2つもあるんだから、どっちかできるだろ? できねーのか?」
「……………………」
レオは引っ込み思案な三男で、泣き虫で弱虫な少年。彼には特別なコネも腕力もなく、どちらもできません。
そのため俯いたままで、何も返せなくなりました。
「はっ、無理ってわけか。んじゃそこで無様に、この女が殺されるの見てるといい」
「こっ、殺す……!?」
「死人に口なし。コイツが生きてると、何かと面倒なんだよ。だから――とっとと殺すのさ」
青年はナイフを取り出し、その場でリナの首を斬る真似をしました。
「そっ、そんなことをしたらっ! 殺人っ! おかしいぞってなって、ブドウ畑は手に入らなくなりますよっ! 作戦はっ。だっ、台無しなしですよっ!!」
「ばーか。そこんとも、どうとでもできるんだよ。なにせ俺にはお前と違って、力があるんだからな」
彼はレオの顔に唾を吐きかけ、錠に鍵を差し込んでカチャリと回す。そうすれば牢屋の扉はぎぃと開き、青年とリナを隔てるものは何もなくなってしまいました。
「てなわけで、これからコイツを殺す。太っちょレオは、そこで指を咥えて眺めてな」
「……………………」
もう駄目だ! 終わりだ! 殺されちゃう!
こんな思いが文字となり、頭の中で飛び交って。レオは再び、頭を抱えました。
「ぁぁぁぁぁ……っ。ぁぁぁぁぁ……っっ」
できることは、体を震わせて泣くことだけ。
そうしている間に青年はリナのもとへと到達し、ナイフを握る力が強まりました。
「さあて。ショータイムの時間だ」
「やめてっ! やめてくださいっ! お願いですからっ! リナちゃんを助けてくださいっっ!!」
「そりゃ出来ないって、さっき言っただろ。…………太っちょレオ、よーく見てろよ? 大好きな人が、死ぬ瞬間をなぁっ!」
逆手に持たれたナイフ。鋭く光る刃物がリナの頭へと向かい、そうして――
『いーかげんにしなさい! レオ様は嫌がって泣いてるでしょ!!』
その最中。レオの中で不意に、あの時の記憶が蘇ったのでした。
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