私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

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番外編

その1 太っちょレオが変わった日(3)

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『うるさいっ!! 偉さとか関係なくって、悪いことしたら誰でも悪いのっ! ごめんなさいをして、謝らないといけないのっ! ほらっ、ちゃんとレオ様に謝って!!』
 その人は、自分よりも大きくて強い相手に立ち向かっていってくれた。
 その人は、何度倒されても立ち上がって向かっていってくれた。

『ひぅっ。リナ、ちゃん……っ。ありがと、とう……っ』
 それなのに僕は、見ている事しかできなくて。
 それなのに僕は、泣く事しかできなくて。

『僕が、『泣き虫レオ』だから……っ。ちっとも勇気がないから……っっ。リナちゃんが突き飛ばされても、何もできないくらい弱虫だから……っっっ。こんなことに…………なっちゃったんだ……っっっっ』

 こうやって、情けなく嘆く事になった。

『僕は、お世話になりっぱなしで……。助けてくれた人を……大好きになった人を……守れなかった……。大変なことを、しちゃった……。どう、しよう……っ。どうしたらいいの……!?』

 もう、どうにもできない。
 過ぎ去ったことは、どうにもならない。
 どんなに後悔しても、時間は戻ってくれない。『あの時』を、やり直させてはくれない。


 ――こんな思いをするのは、もう嫌だ――。
 ――こんな思いをさせるのは、もう嫌だ――。


 だったら、どうすればいいか。


 それは。レオの中で蘇った勇敢な少女の姿が、刹那に理解をさせてくれました。


 ――どうすればいいのか?
 その答えは、シンプル。どうしようもならなくなる前に、動けばいい!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 レオは雄たけびを上げて走り出し、そのまま思い切り青年へと体当たり。大好きなあの人のように、悪へと全力でぶつかっていって――。

 ぷつり。

 そこで、彼の夢は終わってしまったのでした。
 最後に『バリン』という、まるで殻が割れたような・・・・・・・・・・・音を発して――。

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