30 / 39
第10話 当主がいない理由 イブライム視点(9)
しおりを挟む
「いっ、一体どこだ!? 俺達はどこで住むんだ!? 教えてくれ!!」
「そちらは、今は秘密です。新たな生活の場には、貴方がたの全ての作業が終わり次第案内させていただきます。どうぞお楽しみに」
「楽しみにできるはずがないだ――はずがないでしょう! おっ、教えてください! 回避できないならっ、せめて心構えだけでもさせてください!」
「そちらも、お断りします。……僕にはこの後、この場でやらなければならないことがあるのですよ。これ以上アンをお待たせするわけにもいきませんし、そろそろお別れの時間ですよ」
そう告げ、エリオッツが「お願いします」と続ける。そうすれば――っっ! 部屋に大男が6人入って来て、俺達を拘束した。
「この方々は父の陰、先述した監視役。これより貴方がたはハーニエル邸へと引き返し、先ほど指示した内容で動いていただきます。可能な限り短時間で済ませたいために激務となりますが、よろしくお願い致します」
「まっ、待ってくれ! 教えてくれ! おしえ――ぁああああああああ!」
まだ喋っている途中なのに……。俺達は引っ張られ、ずるずると引きずられていく。
「ぁ、ぁぁぁぁ……」
「ぁぁぁぁあ……」
「ぁぁぁぁぁ……」
男達は力が強く振りほどけないし、振りほどけたとしても敵対貴族への漏えいがあるから逃げられない。
なので俺達は、抵抗できなくて……。
屋敷から連れ出され……。馬車に押し込まれて……。馬車は無情に走り出して――
「そちらは、今は秘密です。新たな生活の場には、貴方がたの全ての作業が終わり次第案内させていただきます。どうぞお楽しみに」
「楽しみにできるはずがないだ――はずがないでしょう! おっ、教えてください! 回避できないならっ、せめて心構えだけでもさせてください!」
「そちらも、お断りします。……僕にはこの後、この場でやらなければならないことがあるのですよ。これ以上アンをお待たせするわけにもいきませんし、そろそろお別れの時間ですよ」
そう告げ、エリオッツが「お願いします」と続ける。そうすれば――っっ! 部屋に大男が6人入って来て、俺達を拘束した。
「この方々は父の陰、先述した監視役。これより貴方がたはハーニエル邸へと引き返し、先ほど指示した内容で動いていただきます。可能な限り短時間で済ませたいために激務となりますが、よろしくお願い致します」
「まっ、待ってくれ! 教えてくれ! おしえ――ぁああああああああ!」
まだ喋っている途中なのに……。俺達は引っ張られ、ずるずると引きずられていく。
「ぁ、ぁぁぁぁ……」
「ぁぁぁぁあ……」
「ぁぁぁぁぁ……」
男達は力が強く振りほどけないし、振りほどけたとしても敵対貴族への漏えいがあるから逃げられない。
なので俺達は、抵抗できなくて……。
屋敷から連れ出され……。馬車に押し込まれて……。馬車は無情に走り出して――
238
あなたにおすすめの小説
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
婚約破棄ですって?私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
花見 有
恋愛
「ダーシャ!お前との婚約を破棄する!!」
伯爵令嬢のダーシャ・パレデスは、婚約者であるアーモス・ディデス侯爵令息から、突然に婚約破棄を言い渡された。
婚約破棄ですって?アーモス様は私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?
ゆっこ
恋愛
「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる