34 / 88
第16話 そこに居る理由~再び起きた、突然~ ミシェル・ラワトルス視点
しおりを挟む
「ごめんなさい、フィリベールより好きな人が出来てしまったの。婚約を解消して頂戴」
わたくしは死ぬまで、ううん。肉体が滅びようとも『わたくし』という自我がある限り、フィリベールが『一番』なのだと思っていた。でもあの夜、出逢ってしまったの。
真の運命の相手と――ミゾエルエ伯爵令息・ゾルジュ様と。
((まあ、なんて素敵なのかしら……!!))
つい先日まで3年間隣国『ダーナズ』に留学されていたゾルジュ様は、魅力の宝箱。
たてがみのような雄々しいツンツンとした金髪。気の強そうなブルーのツリ目。ピンとしたお鼻。野性味あふれる犬歯が覗くお口。たくましい筋肉。190センチ越えの高身長。ライオンのような男らしい雰囲気。自信たっぷりの振る舞い。
そんなお姿を夜会で目にした瞬間ビビビビビっと来て、わたくしはすぐにお声をかけた。そうしたら――まあ! まあまあ!
「オレも、君に目を奪われていたんだよ」
ゾルジュ様もわたくしに感じるものがあって、おんなじ気持ちの持ち主なのだからあっという間に意気投合する。
だ・か・ら、そうなるのは必然ですわよね。
わたくしの中にあった『LOVE』はフィリベールからゾルジュ様へと移動して、すぐお父様に相談。お願いをしたら婚約を白紙にしてくださることになって、無事フィリベールと別れてゾルジュ様と一緒になれるようになりましたの!
「ゾルジュ様。ず~っと、死ぬまで一緒に居ましょうね。死んだ後も、お墓の中で一緒に過ごしましょうね!」
「ああ。ずっと一緒だ。生きている間も死んでからも、お前だけを見るさ!」
「その約束、ぜ~ったいに破らないでくださいね?」
「当たり前だ! 愛しているよ、ミシェル!」
法律上すぐ婚約はできないし、世間体があるから交際を公表できない。だから魅力的なゾルジュ様に女性が近づいてくる可能性があった。なのに今までのように、虫が寄って来ないように傍で目を光らせることもできなかった。
だから不安だったけど、ゾルジュ様は正直者でブレなかった。だからだからとっても幸せで、こんな時間は続くと思っていたのだけれど――
((え!? フィリベールっ!?))
ゾルジュ様とお出かけした際に偶然、馬車に乗り込むフィリベールを目撃する。そんな出来事によって、わたくしの恋の物語は転機を迎えることになるのでした。
((すごく、キラキラしてる……。あの頃以上に、格好よくなっている……))
しばらく見ない間にフィリベールは、別人になっていた。前が100点だとしたら、150――ううん、200点になっていたの!
((…………フィリベール、いい。やっぱりフィリベールが一番だわ!))
フィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベール――。
ゾルジュ様一色だった頭の中は瞬く間にフィリベールで染まり、わたくしはすぐに動き出した。
「ごめんなさいゾルジュ様、フィリベールとヨリを戻したいと思っていますの」
「えっ!? そうなのかい!! とても悲しいことだけど愛するミシェルの意思を尊重するよっ! 全力で応援する!!」
さすがはゾルジュ様。相思相愛だったからなかなか諦めないと思っていたけどあっさり認めてくれて、わたくしはフリーの状態となった。
なのですぐさま、レイオズン邸へと馬車を走らせ――
「え!? レイオズン家の馬車が前を通っていった!? ……フィリベールの匂いがしますわ。追いかけなさい!」
――そんな乙女の勘は、大正解。追いかけた先でフィリベールの姿を発見して――
「フィリベール! お久しぶりですわ! 貴男にお話がありますの!」
――関係を戻すために、走り寄ったのでした!
わたくしは死ぬまで、ううん。肉体が滅びようとも『わたくし』という自我がある限り、フィリベールが『一番』なのだと思っていた。でもあの夜、出逢ってしまったの。
真の運命の相手と――ミゾエルエ伯爵令息・ゾルジュ様と。
((まあ、なんて素敵なのかしら……!!))
つい先日まで3年間隣国『ダーナズ』に留学されていたゾルジュ様は、魅力の宝箱。
たてがみのような雄々しいツンツンとした金髪。気の強そうなブルーのツリ目。ピンとしたお鼻。野性味あふれる犬歯が覗くお口。たくましい筋肉。190センチ越えの高身長。ライオンのような男らしい雰囲気。自信たっぷりの振る舞い。
そんなお姿を夜会で目にした瞬間ビビビビビっと来て、わたくしはすぐにお声をかけた。そうしたら――まあ! まあまあ!
「オレも、君に目を奪われていたんだよ」
ゾルジュ様もわたくしに感じるものがあって、おんなじ気持ちの持ち主なのだからあっという間に意気投合する。
だ・か・ら、そうなるのは必然ですわよね。
わたくしの中にあった『LOVE』はフィリベールからゾルジュ様へと移動して、すぐお父様に相談。お願いをしたら婚約を白紙にしてくださることになって、無事フィリベールと別れてゾルジュ様と一緒になれるようになりましたの!
「ゾルジュ様。ず~っと、死ぬまで一緒に居ましょうね。死んだ後も、お墓の中で一緒に過ごしましょうね!」
「ああ。ずっと一緒だ。生きている間も死んでからも、お前だけを見るさ!」
「その約束、ぜ~ったいに破らないでくださいね?」
「当たり前だ! 愛しているよ、ミシェル!」
法律上すぐ婚約はできないし、世間体があるから交際を公表できない。だから魅力的なゾルジュ様に女性が近づいてくる可能性があった。なのに今までのように、虫が寄って来ないように傍で目を光らせることもできなかった。
だから不安だったけど、ゾルジュ様は正直者でブレなかった。だからだからとっても幸せで、こんな時間は続くと思っていたのだけれど――
((え!? フィリベールっ!?))
ゾルジュ様とお出かけした際に偶然、馬車に乗り込むフィリベールを目撃する。そんな出来事によって、わたくしの恋の物語は転機を迎えることになるのでした。
((すごく、キラキラしてる……。あの頃以上に、格好よくなっている……))
しばらく見ない間にフィリベールは、別人になっていた。前が100点だとしたら、150――ううん、200点になっていたの!
((…………フィリベール、いい。やっぱりフィリベールが一番だわ!))
フィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベールフィリベール――。
ゾルジュ様一色だった頭の中は瞬く間にフィリベールで染まり、わたくしはすぐに動き出した。
「ごめんなさいゾルジュ様、フィリベールとヨリを戻したいと思っていますの」
「えっ!? そうなのかい!! とても悲しいことだけど愛するミシェルの意思を尊重するよっ! 全力で応援する!!」
さすがはゾルジュ様。相思相愛だったからなかなか諦めないと思っていたけどあっさり認めてくれて、わたくしはフリーの状態となった。
なのですぐさま、レイオズン邸へと馬車を走らせ――
「え!? レイオズン家の馬車が前を通っていった!? ……フィリベールの匂いがしますわ。追いかけなさい!」
――そんな乙女の勘は、大正解。追いかけた先でフィリベールの姿を発見して――
「フィリベール! お久しぶりですわ! 貴男にお話がありますの!」
――関係を戻すために、走り寄ったのでした!
806
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
捨てられた元聖女ですが、なぜか蘇生聖術【リザレクション】が使えます ~婚約破棄のち追放のち力を奪われ『愚醜王』に嫁がされましたが幸せです~
鏑木カヅキ
恋愛
十年ものあいだ人々を癒し続けていた聖女シリカは、ある日、婚約者のユリアン第一王子から婚約破棄を告げられる。さらには信頼していた枢機卿バルトルトに裏切られ、伯爵令嬢ドーリスに聖女の力と王子との婚約さえ奪われてしまう。
元聖女となったシリカは、バルトルトたちの謀略により、貧困国ロンダリアの『愚醜王ヴィルヘルム』のもとへと強制的に嫁ぐことになってしまう。無知蒙昧で不遜、それだけでなく容姿も醜いと噂の王である。
そんな不幸な境遇でありながらも彼女は前向きだった。
「陛下と国家に尽くします!」
シリカの行動により国民も国も、そして王ヴィルヘルムでさえも変わっていく。
そしてある事件を機に、シリカは奪われたはずの聖女の力に再び目覚める。失われたはずの蘇生聖術『リザレクション』を使ったことで、国情は一変。ロンダリアでは新たな聖女体制が敷かれ、国家再興の兆しを見せていた。
一方、聖女ドーリスの力がシリカに遠く及ばないことが判明する中、シリカの噂を聞きつけた枢機卿バルトルトは、シリカに帰還を要請してくる。しかし、すでに何もかもが手遅れだった。
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
婚約者を奪われ魔物討伐部隊に入れられた私ですが、騎士団長に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のクレアは、婚約者の侯爵令息サミュエルとの結婚を間近に控え、幸せいっぱいの日々を過ごしていた。そんなある日、この国の第三王女でもあるエミリアとサミュエルが恋仲である事が発覚する。
第三王女の強い希望により、サミュエルとの婚約は一方的に解消させられてしまった。さらに第三王女から、魔王討伐部隊に入る様命じられてしまう。
王女命令に逆らう事が出来ず、仕方なく魔王討伐部隊に参加する事になったクレア。そんなクレアを待ち構えていたのは、容姿は物凄く美しいが、物凄く恐ろしい騎士団長、ウィリアムだった。
毎日ウィリアムに怒鳴られまくるクレア。それでも必死に努力するクレアを見てウィリアムは…
どん底から必死に這い上がろうとする伯爵令嬢クレアと、大の女嫌いウィリアムの恋のお話です。
癒しの聖女を追放した王国は、守護神に愛想をつかされたそうです。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
癒しの聖女は身を削り激痛に耐え、若さを犠牲にしてまで五年間も王太子を治療した。十七歳なのに、歯も全て抜け落ちた老婆の姿にまでなって、王太子を治療した。だがその代償の与えられたのは、王侯貴族達の嘲笑と婚約破棄、そして実質は追放と死刑に繋がる領地と地位だった。この行いに、守護神は深く静かに激怒した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる