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2話(5)
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「おや、なにポカンとしてるんだい? マリナ、両親、王太子のレビン・アルハクに、嵌められたんだよね?」
「そ、それはそうなんですけどっ。そうじゃなくって! どうして先輩が、真実を知ってるんですかっ? それにどうして、姉さんの本性を知ってるんですかっっ?」
真相は王太子(バカ)達が揉み消してるし、姉さん(バカ)は外では完璧に猫をかぶってた。なんでその二つを、ユリウス先輩が知ってるの?
「まずは、マリナについて。彼女は、あまりに完璧すぎた――言動に、非の打ちどころが全くなかったからね。同級な事もあってすぐに、綺麗な人間を演じていると分かったよ」
「ず、ずっと気付いてたんですね……。でも、先輩。正真正銘の綺麗な人間、という可能性もあるんじゃないですか?」
「それは、ないね。どんな時でも相手が望む答えを出してくる人間なんて、いるはずがないよ。俺以外には、ね」
そうですか、そうですか。じゃあ次の質問に移りますねー。
「ジト目が気になるけれど、まあいいか。今度は、なぜ騒動を把握しているかを話せばいいんだよね?」
「はい、そうです。なんで知ってるんですか?」
どこにも漏れていないのに全てを掴んでいて、しかもカッコよく――今のは訂正! ピンチだったあたしを、助けてくれた。そんなこと、どうやったらできるんだろ?
「それは、あれだね。ほら、俺って小心者でしょ? いつも周りに怯えて、ビクビクしているでしょ?」
「先輩はいつも、無駄に堂々としてますけどね。そう仮定しておいて、続きをお願いします」
「だから俺は王家の使用人や重要な機関の人間を買収してて、不穏な動きがあればすぐに情報が届くようになってるんだよ。悪い芽は早く摘んでおかないと、怖くて生きていけないからね」
最後のはともかく、他の部分は得心できた。だってユリオス先輩なら、そういうことをしてそうだもん。
「全容を把握したのは一週間前で、その日から色々と作戦を練ってたんだよ。だからああやって颯爽と救出できていて、だから、叩き潰す方法も頭にあるのさ」
「そ、それはすごく心強いん、ですけども……。あっちには、王族もいるんですよ? さしもの先輩でも、無理ですよ……」
ユリオス先輩の家は公爵家で、国内では3本の指に入る力を持っている。だけどあっちは王族で、力はこの国で断トツ。
王家は別次元の生き物で、そんな存在を倒すのは難しい……。
「え? なんで無理なんだい? 彼らは同じ人間なんだよ?」
「えー……」
「相手が人間なら、大丈夫大丈夫。父や母や従者達には全力で止められたけど、上手くいくって」
先輩のお父様とお母様は、確か至って普通な御方。その時の光景が、簡単に目に浮かぶなぁ……。
「なにせ人間なら、あの手この手で脅せるからね。俺が負ける要素が見当たらないよ」
「……ユリオス先輩……。先輩は一体、なにを隠し持ってるんですか……?」
「手の内は、おいおい明かしてあげるよ。お楽しみに」
ユリオス先輩は余裕綽々で片目を瞑り、室内にある掛け時計を一瞥。「午後3時34分か」と呟き、ポケットからトランプを取り出した。
「動き出すのは、夜――午後9時頃がいい。だからそれまで、お菓子でも摘まみながらカードで遊ぶとしよう」
「は、はぁ……。あの……。本当に、いいんですか……?」
「愛している人のために動きたい――。そんな理由で勝手にやっている事で、気にしないでいいよ。さあ始めよう」
そうは言うものの不安で戸惑っていたら即答され、あたし達はその時までトランプをする事になりました。
今の台詞もいつも通りヘラヘラしてたけど、すっごく温かさがあった。今まで散々やってきたことは全部、本当に愛情の裏返しで……。
あたしは段々と、先輩のことが――
「ふふふ。フラッシュで、俺の勝ちだね」
「ぇ」
「また勝った。これで三十七連勝だね」
「ぇ……」
こんな時でも本気で倒しにこられて、膨らんできていたものが一気に萎みました。
うん。感謝はしてるけど、それとこれとは別。
あたしの中で先輩の認識は現状維持で、ユリオス先輩が無駄に嬉々とするだけの時間が過ぎてゆくのでした――。
「そ、それはそうなんですけどっ。そうじゃなくって! どうして先輩が、真実を知ってるんですかっ? それにどうして、姉さんの本性を知ってるんですかっっ?」
真相は王太子(バカ)達が揉み消してるし、姉さん(バカ)は外では完璧に猫をかぶってた。なんでその二つを、ユリウス先輩が知ってるの?
「まずは、マリナについて。彼女は、あまりに完璧すぎた――言動に、非の打ちどころが全くなかったからね。同級な事もあってすぐに、綺麗な人間を演じていると分かったよ」
「ず、ずっと気付いてたんですね……。でも、先輩。正真正銘の綺麗な人間、という可能性もあるんじゃないですか?」
「それは、ないね。どんな時でも相手が望む答えを出してくる人間なんて、いるはずがないよ。俺以外には、ね」
そうですか、そうですか。じゃあ次の質問に移りますねー。
「ジト目が気になるけれど、まあいいか。今度は、なぜ騒動を把握しているかを話せばいいんだよね?」
「はい、そうです。なんで知ってるんですか?」
どこにも漏れていないのに全てを掴んでいて、しかもカッコよく――今のは訂正! ピンチだったあたしを、助けてくれた。そんなこと、どうやったらできるんだろ?
「それは、あれだね。ほら、俺って小心者でしょ? いつも周りに怯えて、ビクビクしているでしょ?」
「先輩はいつも、無駄に堂々としてますけどね。そう仮定しておいて、続きをお願いします」
「だから俺は王家の使用人や重要な機関の人間を買収してて、不穏な動きがあればすぐに情報が届くようになってるんだよ。悪い芽は早く摘んでおかないと、怖くて生きていけないからね」
最後のはともかく、他の部分は得心できた。だってユリオス先輩なら、そういうことをしてそうだもん。
「全容を把握したのは一週間前で、その日から色々と作戦を練ってたんだよ。だからああやって颯爽と救出できていて、だから、叩き潰す方法も頭にあるのさ」
「そ、それはすごく心強いん、ですけども……。あっちには、王族もいるんですよ? さしもの先輩でも、無理ですよ……」
ユリオス先輩の家は公爵家で、国内では3本の指に入る力を持っている。だけどあっちは王族で、力はこの国で断トツ。
王家は別次元の生き物で、そんな存在を倒すのは難しい……。
「え? なんで無理なんだい? 彼らは同じ人間なんだよ?」
「えー……」
「相手が人間なら、大丈夫大丈夫。父や母や従者達には全力で止められたけど、上手くいくって」
先輩のお父様とお母様は、確か至って普通な御方。その時の光景が、簡単に目に浮かぶなぁ……。
「なにせ人間なら、あの手この手で脅せるからね。俺が負ける要素が見当たらないよ」
「……ユリオス先輩……。先輩は一体、なにを隠し持ってるんですか……?」
「手の内は、おいおい明かしてあげるよ。お楽しみに」
ユリオス先輩は余裕綽々で片目を瞑り、室内にある掛け時計を一瞥。「午後3時34分か」と呟き、ポケットからトランプを取り出した。
「動き出すのは、夜――午後9時頃がいい。だからそれまで、お菓子でも摘まみながらカードで遊ぶとしよう」
「は、はぁ……。あの……。本当に、いいんですか……?」
「愛している人のために動きたい――。そんな理由で勝手にやっている事で、気にしないでいいよ。さあ始めよう」
そうは言うものの不安で戸惑っていたら即答され、あたし達はその時までトランプをする事になりました。
今の台詞もいつも通りヘラヘラしてたけど、すっごく温かさがあった。今まで散々やってきたことは全部、本当に愛情の裏返しで……。
あたしは段々と、先輩のことが――
「ふふふ。フラッシュで、俺の勝ちだね」
「ぇ」
「また勝った。これで三十七連勝だね」
「ぇ……」
こんな時でも本気で倒しにこられて、膨らんできていたものが一気に萎みました。
うん。感謝はしてるけど、それとこれとは別。
あたしの中で先輩の認識は現状維持で、ユリオス先輩が無駄に嬉々とするだけの時間が過ぎてゆくのでした――。
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