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「エステル、時間になった。出掛けるよ」
カードゲームでボロ負けしたり美味しいご飯を食べさせてもらったりして、夜の9時。先輩に手を引っ張られて――曰くエスコートをされて、あたしはいま庭にある馬車の前にいます。
「…………先輩。ユリオス先輩」
「うん、分かってるよ。あそこにあるのが『おとめ座』で、明るいのが『スピカ』だよ」
「先輩は、全然分かってませんね。あたしがジト目になってるのは、なんで二人で出掛けようとしてるんですか? って思ってるからですよ」
綺麗な夜空を見上げて、星について教えてとお願いしてるんじゃない。外では大勢の人が逃走犯ことエステル・アリウを探しているのに、わざわざ揃って出る理由を知りたいんです。
「ああ、そういう話か。まず二人なのは、両親が我関せずを貫いているからさ。おかげで馬車の運転も俺がせざるを得ないんだよ」
先輩のお父様とお母様、それに従者さん達は、心の底から迷惑そうな顔をしていた。これに関しては、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。
「次に、なぜこのタイミングで出掛けるのか。それはこれから、反撃の道具を手に入れに行くからだよ」
「えっ!? そんなものがあるんですかっ!?」
王族達を相手にして、優位に立てるもの。そんなものが、ある……?
「とある場所にとある物が保管されていてね、それを使えば一発KOなんだよ。まあ詳細はご対面してからのお楽しみで、さあどうぞお嬢様。こちらにお乗りください」
「あ、あの、ユリオス先輩? 先輩が誘導してるのって、御者台(ぎょしゃだい)ですよね? ここに座るんですか?」
馬車の運転席は剥き出しで、その横も当然剥き出しになっている。これって、よく考えなくてもマズイんじゃ……。
「こういう時は堂々としていたら、逆にこれっぽっちも怪しまれないのさ。おまけでこいつを被っていれば完璧で、さあどうぞ」
「は、はぁ。そう言うなら、そうしますね」
あたしは、『こいつ』――かわいらしい帽子を深めにかぶって搭乗し、同じく帽子を深くかぶった先輩の操縦で馬車は動き出した。
大きな門を出ると左に曲がり、そこからしばらくは真っすぐ。あたし達を乗せた車は、夜の道を静かに進んでゆくのでした。
カードゲームでボロ負けしたり美味しいご飯を食べさせてもらったりして、夜の9時。先輩に手を引っ張られて――曰くエスコートをされて、あたしはいま庭にある馬車の前にいます。
「…………先輩。ユリオス先輩」
「うん、分かってるよ。あそこにあるのが『おとめ座』で、明るいのが『スピカ』だよ」
「先輩は、全然分かってませんね。あたしがジト目になってるのは、なんで二人で出掛けようとしてるんですか? って思ってるからですよ」
綺麗な夜空を見上げて、星について教えてとお願いしてるんじゃない。外では大勢の人が逃走犯ことエステル・アリウを探しているのに、わざわざ揃って出る理由を知りたいんです。
「ああ、そういう話か。まず二人なのは、両親が我関せずを貫いているからさ。おかげで馬車の運転も俺がせざるを得ないんだよ」
先輩のお父様とお母様、それに従者さん達は、心の底から迷惑そうな顔をしていた。これに関しては、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。
「次に、なぜこのタイミングで出掛けるのか。それはこれから、反撃の道具を手に入れに行くからだよ」
「えっ!? そんなものがあるんですかっ!?」
王族達を相手にして、優位に立てるもの。そんなものが、ある……?
「とある場所にとある物が保管されていてね、それを使えば一発KOなんだよ。まあ詳細はご対面してからのお楽しみで、さあどうぞお嬢様。こちらにお乗りください」
「あ、あの、ユリオス先輩? 先輩が誘導してるのって、御者台(ぎょしゃだい)ですよね? ここに座るんですか?」
馬車の運転席は剥き出しで、その横も当然剥き出しになっている。これって、よく考えなくてもマズイんじゃ……。
「こういう時は堂々としていたら、逆にこれっぽっちも怪しまれないのさ。おまけでこいつを被っていれば完璧で、さあどうぞ」
「は、はぁ。そう言うなら、そうしますね」
あたしは、『こいつ』――かわいらしい帽子を深めにかぶって搭乗し、同じく帽子を深くかぶった先輩の操縦で馬車は動き出した。
大きな門を出ると左に曲がり、そこからしばらくは真っすぐ。あたし達を乗せた車は、夜の道を静かに進んでゆくのでした。
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