悪役令嬢のお姉様が、今日追放されます。ざまぁ――え? 追放されるのは、あたし?

柚木ゆず

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5話(3)

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「希望その1は、叶えた。最後の希望を教えてくれ」

 姉さん達を切り捨てたレビンは、何事もなかったかのように向き直った。
 最悪な人間と気が合うのは、最悪な人間だけだもん。あの人達がこうされるのは至当だし、この人がこうしてるのもまた至当だ。

「キミの望みは、全身全霊を賭して実現させよう。何を望むんだい?」
「俺が望む二つ目のもの。それは、この件の関係者――つまり実行犯のレビン王太子と、脅しに負けてその許可を出した国王の国外追放ですよ」

 今度は先輩の人差し指が、レビンを真っすぐにさした。

「ほら。さっき口にしたように、俺は愛する者を傷付けた輩が許せないんですよ。だから殿下達にも、彼女達と同じ末路を辿ってもらいたいんですよね」
「そ、それは、無理だ。他のものに変えて――」
「変える気は、一切ありません。それで、お願いします」

 ニッコリ。戸惑う顔に最高の笑い顔を返し、扉を顎でしゃくる。

「さあマリナ達のように連行されて、人里離れた場所にポイされてくださいよ。とーっても偉い次期国王様なんですから、簡単にできますよねえ?」
「…………そっ、それでは取引の意味がないではないか……っ。頼む……! どうか、他の方法で手を打ってくれ……!」

 レビンはたまらず両膝をつき、赤色のカーペットに額をくっ付ける。他者を見下しているあの王太子が、土下座をした。

「じっ、実はエステルを捕まえたあとは、密かに解放するつもりだったんだ! 俺にも人の心はちゃんとあり、無実の者を苦しめるのは気が引けるからなっ!」
「……へえ。そうなんですか」
「これは、この場凌ぎの法螺ではないっ! 黙っていただけで、本当にするつもりだったんだっ!!」

 って、レビンはその場凌ぎのウソを吐く。
 この人はそんなことをする人間じゃなし、そもそもウチに来た男性がそのまま連れて行くようになっていた。それでどうやって、密かに解放するんでしょうかね?

「エステル。こういう真面目な場面で嘘、しかも見え透いた嘘を吐かれると、腹が立つよね?」
「はい。立ちますね」
「ちっ、ちがっ! オレは本当に――」
「だけど今回は、特別に許してあげよう。嘘をついているのは、お相子だからね」

 先輩は自分の頭を軽く叩いて戯れ、天使のような悪魔のスマイルを作った。

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