悪役令嬢のお姉様が、今日追放されます。ざまぁ――え? 追放されるのは、あたし?

柚木ゆず

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5話(2)

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「はい。何をやっても無駄で、抵抗は無意味というわけですねえ」
「「「「…………」」」」
「なので確実に、これまでの生活が一瞬にしてなくなって、暗くて寒い牢屋で一生を暮らす羽目になる。もしくは、処刑される羽目になるかもしれない。……そんなのは、嫌ですよねえ? どうにか、回避したいですよねえ?」
「…………取り引きをしよう、という事か……。そちらの希望は、なんなんだ……?」
「俺が望むものは、二つ。まずは捏造を認めて罪を訂正し、姉のマリナおよび一味である父親と母親を国外追放としてください」

 先輩は本当に楽しそうに、姉さん、お父さん、お母さんの順に、指をさした。

「俺はエステルを愛していて、愛している者を散々傷付けた輩は許せない。なので全財産を取り上げたあと人気(ひとけ)がない他国の森にでも捨ててもらって、たっぷりと生き地獄を味わわせたいんですよ」
「……なるほど……。もっともな怒りだ」
「で、殿下? その反応は、もしかして……。私を捨てる気なのでは、ありませんよね?」

 その問いかけに対する事は、イエス。王太子は一度瞑目し、迷いなく首を縦に振った。

「この地位は、何物にも代えがたい。お前、お前達との関係は、ここでお仕舞いだ」
「「そんな……っっつ。殿下っ! お考え直しをっっ!!」」
「アナタは私の狡猾さが気に入っているのでしょうっ!? こんなにもずる賢い女は、他にはいないわよっ!? それでもいいと言うのっっ!?」

 お父さん達は胸の前で手を組み、姉さんはレビンに詰め寄る。
 いつも余裕たっぷりの姉さんだけど、今は余裕なんて少しもない。額には脂汗が沢山浮かんでいて、黒目は小刻みに揺れている。

「ここにいるのは、アナタの理想の女なのよ!? 手放してしまえば、こんな相手は二度と見つからないわっ!!」
「………………」
「アナタを満足させられるのは、この私っ!! マリナ・アリウだけっっ!! よく考えなさいっっっ!!」
「………………この世界をくまなく探せば、お前の代わりなど簡単に見つかる。貴様らが何を言おうと取り引きは成立で――。この者達を連行してくれ」

 レビンが部屋にあった鈴を鳴らすと帯剣した男性がやってきて、姉さんたちはあっという間に拘束される。そして、

「「よくも裏切ったな……っ!! 呪う……っ! 絶対に呪い殺してやる……!!」
「レビン……! 今世が無理なら、来世で必ず殺す……っっ! 覚悟しときなさいよおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」

 3人はそれぞれ呪詛をまき散らしながら引きずられていき、バタン。最後に揃って大絶叫を放ち、扉の向こうに消えたのでした。
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