声に導かれるわたし~不思議な声と3人の裏切り令嬢~

柚木ゆず

文字の大きさ
16 / 18

第7話 追い詰められる時 ガブリエル視点(2)

しおりを挟む
「……だと思いましたよ。まさかこんなことをする生徒が居ただなんて……」

 教師ローナは大きく呆れの息を吐き、愚かな文字が並ぶ紙を一瞥した。

「しかも、これは。…………ミジュールさん」
「は、はい……」
「貴方の犯行は、今回が初めてなのですか? それとも、先日のもの――それ以外の悪い噂も、貴方の仕業なのですか?」
「こっ、今回が初めてです!! 他はっ、知りませんっ! 孤児の噂も舌打ちの噂もそれ以外もっ、ワタシは無関係ですっ!」

 これ以上罪を露見させるわけにはいかない。首を両手をぶんぶん左右に振って否定をした。

「そうでしたか。信じても、いいんですね?」
「は、はいっ。信じてっ、ください!」
「分かりました。生徒の言い分を信じましょう――あら? これって……」
「せ、先生? ど、どう、されましたか……?」
「この癖のある文字は、過去の貼り紙にありました。全て同じ人間が書いていますね」
「そんなはずがありませんっ。だって全部別人に映るようにして――ぁ!?」

 慌てて口を塞いでも、もう遅い。ポルミ・ミジュールはまんまと誘導尋問に引っかかってしまった。

((ふ。教師を甘く見過ぎたな?))

 彼女の情報はまったく持っていないが、少なくとも王立の学院の教師に抜擢されるような人間だ。コイツの何倍も頭が回るのは、容易に分かる。

「この間から発生していた全ての悪評に、貴女が関係しているようですね。……ミジュールさん、これは貴女だけの問題ですか? それとも誰かの指示を受けての行いですか?」
「わ、ワタシの問題です……。誰の指示も、受けてはいません……」

 サロニー・ドワイユ様に命じられてやりました――。そう叫びたいんだろうな。
 だがそうしてしまうと、余計に厄介な未来が待っている。
 仮に指示を訴えても、サロニー・ドワイユは尻尾を掴まれないようにしているから共犯にはできない。まるで意味がない上に『告げ口しようとしたな』と恨まれ、今後何をされるか分からない状況が出来上がってしまうのだ。

「……まあいいでしょう。とにかく、貴女が一連の犯人だったのは間違いのない事実です。拘束させていただきます」
「ゆ、許してください……。もう二度としないと誓いますから……。見逃して、ください……」
「できませんよ」
「おっ、お父様に頼んでお金をっ、お金だけではなくお望みの物もお渡しします! ですからどうにかして――」
「結構です」

 こういった重要な機関には大抵、決して悪に染まらない人間を配置している。彼女も例にたがわず、全ての提案が却下された。

「こんなことをしたとお父様に知られたら、人生が終わってしまいます……。どうか、どうか寛大な御判断を……!!」
「繰り返します、なにを言っても認められませんよ。皆さん、お願いします」
「い、いや……。いや……。いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 いくら叫んでも、なにも変わりはしない。
 ポルミ・ミジュールは後ろ手に縛られて拘束され、必死に抵抗するも部屋から引きずり出されたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

お望み通り、消えてさしあげますわ

梨丸
恋愛
一国の次期王妃と言われていた子爵令嬢アマリリス。 王太子との結婚前夜、彼女は自ら火を放ち、死んだ。 国民達は彼女の死を特に気にもしなかった。それどころか、彼女の死を喜ぶ者もいた。彼女の有していた聖女の力は大したものではなかったし、優れているのは外見だけの「性悪女」だと噂されるほどだったから。 彼女の死後、すぐさま後釜として皆に好かれていた聖女が次期王妃に召し上げられた。 この国はより豊かになる、皆はそう確信した。 だが、“役立たずの聖女”アマリリスの死後──着実に崩壊は始まっていた。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

(完結)貴女は私の親友だったのに・・・・・・

青空一夏
恋愛
私、リネータ・エヴァーツはエヴァーツ伯爵家の長女だ。私には幼い頃から一緒に遊んできた親友マージ・ドゥルイット伯爵令嬢がいる。 彼女と私が親友になったのは領地が隣同志で、お母様達が仲良しだったこともあるけれど、本とバターたっぷりの甘いお菓子が大好きという共通点があったからよ。 大好きな親友とはずっと仲良くしていけると思っていた。けれど私に好きな男の子ができると・・・・・・ ゆるふわ設定、ご都合主義です。異世界で、現代的表現があります。タグの追加・変更の可能性あります。ショートショートの予定。

能ある妃は身分を隠す

赤羽夕夜
恋愛
セラス・フィーは異国で勉学に励む為に、学園に通っていた。――がその卒業パーティーの日のことだった。 言われもない罪でコンペーニュ王国第三王子、アレッシオから婚約破棄を大体的に告げられる。 全てにおいて「身に覚えのない」セラスは、反論をするが、大衆を前に恥を掻かせ、利益を得ようとしか思っていないアレッシオにどうするべきかと、考えているとセラスの前に現れたのは――。

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

処理中です...