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第7話 追い詰められる時 ガブリエル視点(2)
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「……だと思いましたよ。まさかこんなことをする生徒が居ただなんて……」
教師ローナは大きく呆れの息を吐き、愚かな文字が並ぶ紙を一瞥した。
「しかも、これは。…………ミジュールさん」
「は、はい……」
「貴方の犯行は、今回が初めてなのですか? それとも、先日のもの――それ以外の悪い噂も、貴方の仕業なのですか?」
「こっ、今回が初めてです!! 他はっ、知りませんっ! 孤児の噂も舌打ちの噂もそれ以外もっ、ワタシは無関係ですっ!」
これ以上罪を露見させるわけにはいかない。首を両手をぶんぶん左右に振って否定をした。
「そうでしたか。信じても、いいんですね?」
「は、はいっ。信じてっ、ください!」
「分かりました。生徒の言い分を信じましょう――あら? これって……」
「せ、先生? ど、どう、されましたか……?」
「この癖のある文字は、過去の貼り紙にありました。全て同じ人間が書いていますね」
「そんなはずがありませんっ。だって全部別人に映るようにして――ぁ!?」
慌てて口を塞いでも、もう遅い。ポルミ・ミジュールはまんまと誘導尋問に引っかかってしまった。
((ふ。教師を甘く見過ぎたな?))
彼女の情報はまったく持っていないが、少なくとも王立の学院の教師に抜擢されるような人間だ。コイツの何倍も頭が回るのは、容易に分かる。
「この間から発生していた全ての悪評に、貴女が関係しているようですね。……ミジュールさん、これは貴女だけの問題ですか? それとも誰かの指示を受けての行いですか?」
「わ、ワタシの問題です……。誰の指示も、受けてはいません……」
サロニー・ドワイユ様に命じられてやりました――。そう叫びたいんだろうな。
だがそうしてしまうと、余計に厄介な未来が待っている。
仮に指示を訴えても、サロニー・ドワイユは尻尾を掴まれないようにしているから共犯にはできない。まるで意味がない上に『告げ口しようとしたな』と恨まれ、今後何をされるか分からない状況が出来上がってしまうのだ。
「……まあいいでしょう。とにかく、貴女が一連の犯人だったのは間違いのない事実です。拘束させていただきます」
「ゆ、許してください……。もう二度としないと誓いますから……。見逃して、ください……」
「できませんよ」
「おっ、お父様に頼んでお金をっ、お金だけではなくお望みの物もお渡しします! ですからどうにかして――」
「結構です」
こういった重要な機関には大抵、決して悪に染まらない人間を配置している。彼女も例にたがわず、全ての提案が却下された。
「こんなことをしたとお父様に知られたら、人生が終わってしまいます……。どうか、どうか寛大な御判断を……!!」
「繰り返します、なにを言っても認められませんよ。皆さん、お願いします」
「い、いや……。いや……。いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
いくら叫んでも、なにも変わりはしない。
ポルミ・ミジュールは後ろ手に縛られて拘束され、必死に抵抗するも部屋から引きずり出されたのだった。
教師ローナは大きく呆れの息を吐き、愚かな文字が並ぶ紙を一瞥した。
「しかも、これは。…………ミジュールさん」
「は、はい……」
「貴方の犯行は、今回が初めてなのですか? それとも、先日のもの――それ以外の悪い噂も、貴方の仕業なのですか?」
「こっ、今回が初めてです!! 他はっ、知りませんっ! 孤児の噂も舌打ちの噂もそれ以外もっ、ワタシは無関係ですっ!」
これ以上罪を露見させるわけにはいかない。首を両手をぶんぶん左右に振って否定をした。
「そうでしたか。信じても、いいんですね?」
「は、はいっ。信じてっ、ください!」
「分かりました。生徒の言い分を信じましょう――あら? これって……」
「せ、先生? ど、どう、されましたか……?」
「この癖のある文字は、過去の貼り紙にありました。全て同じ人間が書いていますね」
「そんなはずがありませんっ。だって全部別人に映るようにして――ぁ!?」
慌てて口を塞いでも、もう遅い。ポルミ・ミジュールはまんまと誘導尋問に引っかかってしまった。
((ふ。教師を甘く見過ぎたな?))
彼女の情報はまったく持っていないが、少なくとも王立の学院の教師に抜擢されるような人間だ。コイツの何倍も頭が回るのは、容易に分かる。
「この間から発生していた全ての悪評に、貴女が関係しているようですね。……ミジュールさん、これは貴女だけの問題ですか? それとも誰かの指示を受けての行いですか?」
「わ、ワタシの問題です……。誰の指示も、受けてはいません……」
サロニー・ドワイユ様に命じられてやりました――。そう叫びたいんだろうな。
だがそうしてしまうと、余計に厄介な未来が待っている。
仮に指示を訴えても、サロニー・ドワイユは尻尾を掴まれないようにしているから共犯にはできない。まるで意味がない上に『告げ口しようとしたな』と恨まれ、今後何をされるか分からない状況が出来上がってしまうのだ。
「……まあいいでしょう。とにかく、貴女が一連の犯人だったのは間違いのない事実です。拘束させていただきます」
「ゆ、許してください……。もう二度としないと誓いますから……。見逃して、ください……」
「できませんよ」
「おっ、お父様に頼んでお金をっ、お金だけではなくお望みの物もお渡しします! ですからどうにかして――」
「結構です」
こういった重要な機関には大抵、決して悪に染まらない人間を配置している。彼女も例にたがわず、全ての提案が却下された。
「こんなことをしたとお父様に知られたら、人生が終わってしまいます……。どうか、どうか寛大な御判断を……!!」
「繰り返します、なにを言っても認められませんよ。皆さん、お願いします」
「い、いや……。いや……。いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
いくら叫んでも、なにも変わりはしない。
ポルミ・ミジュールは後ろ手に縛られて拘束され、必死に抵抗するも部屋から引きずり出されたのだった。
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