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第7話 追い詰められる時 ガブリエル視点(1)
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「……………………」
お嬢様、ただいま戻りました――。そんなノックに応じて扉を開けたポルミ・ミジュールは、まるで石像のように固まった。
意気揚々と扉を開けたら、拘束された侍女と大勢の人間と共に立っていたのだから。
「……………………こ、れは……」
「ミジュールさん、わたくし共は多くの疑問を抱いております。こちらの説明をしていただきますでしょうか」
《オセアン・ロードハルザが試験でいつも好成績を残せていたのは、とある教師から回答を買っていたからなんです。
僕は偶然真実を知りましたが、残念ながら証拠は手に入らなかった……。証明はできまぜんが、どうか、どうか信じてください》
コイツもよ~く知っている文章が、突きつけられた。
「この紙を第3掲示板に貼るよう命じたのは、貴女ですね?」
「……………………」
「無言は肯定とさせていただきまして、念のために伺います。とある教師の名前を教えてください」
「……………………」
「ミジュールさん。回答をお願いします」
「……………………」
問題なんて買っていないのだから、答えられるはずがない。しかしながらこれ以上無言を貫いてしまうと、捏造だと確信されてしまう。
「………………ば、バンズエルド先生です! バンズエルド先生が大金を受け取りっ、答えが記された用紙を渡す場面を目撃しました!」
だから、咄嗟に思い付いた教師の名前をあげる。
だがそれは、まるで意味を持たない。
「バンズエルド先生、なのですね? ではこれより、バンズエルド先生の身辺を徹底的に調べます。もしも無実が証明された場合は名誉棄損などに当たりますので、どうぞお覚悟を」
「っ!? め、名誉棄損!? どうして……」
「何もしていないのに共犯者にされたのですから、当たり前でしょう? ……念のために、改めて確認いたしましょうか。ロードハルザさんはお金を渡していて、バンズエルド先生は回答を渡していたのですよね?」
「あ、ぁぁ。あああ。あああああああ……!」
うんと頷いたら、大変なことになってしまう。うんと頷かなかったら、大変なことになってしまう。
――どっちを選んでも大変な目に遭ってしまう――。
そんな事実がポルミ・ミジュールを狼狽させ、たまらず声と身体が震えだす。
きっと今のコイツは、ビックリするくらい時の流れが遅くなっているんだろう。一瞬の間に頭の中を、色んなことが駆け巡り――
「…………わ、渡して、いません……。その文章は、全部、嘘です……」
――選びたくないけれど、そうするしかない。ポルミ・ミジュールは罪が一つで済む、『白状』を涙ながらに選んだのだった。
お嬢様、ただいま戻りました――。そんなノックに応じて扉を開けたポルミ・ミジュールは、まるで石像のように固まった。
意気揚々と扉を開けたら、拘束された侍女と大勢の人間と共に立っていたのだから。
「……………………こ、れは……」
「ミジュールさん、わたくし共は多くの疑問を抱いております。こちらの説明をしていただきますでしょうか」
《オセアン・ロードハルザが試験でいつも好成績を残せていたのは、とある教師から回答を買っていたからなんです。
僕は偶然真実を知りましたが、残念ながら証拠は手に入らなかった……。証明はできまぜんが、どうか、どうか信じてください》
コイツもよ~く知っている文章が、突きつけられた。
「この紙を第3掲示板に貼るよう命じたのは、貴女ですね?」
「……………………」
「無言は肯定とさせていただきまして、念のために伺います。とある教師の名前を教えてください」
「……………………」
「ミジュールさん。回答をお願いします」
「……………………」
問題なんて買っていないのだから、答えられるはずがない。しかしながらこれ以上無言を貫いてしまうと、捏造だと確信されてしまう。
「………………ば、バンズエルド先生です! バンズエルド先生が大金を受け取りっ、答えが記された用紙を渡す場面を目撃しました!」
だから、咄嗟に思い付いた教師の名前をあげる。
だがそれは、まるで意味を持たない。
「バンズエルド先生、なのですね? ではこれより、バンズエルド先生の身辺を徹底的に調べます。もしも無実が証明された場合は名誉棄損などに当たりますので、どうぞお覚悟を」
「っ!? め、名誉棄損!? どうして……」
「何もしていないのに共犯者にされたのですから、当たり前でしょう? ……念のために、改めて確認いたしましょうか。ロードハルザさんはお金を渡していて、バンズエルド先生は回答を渡していたのですよね?」
「あ、ぁぁ。あああ。あああああああ……!」
うんと頷いたら、大変なことになってしまう。うんと頷かなかったら、大変なことになってしまう。
――どっちを選んでも大変な目に遭ってしまう――。
そんな事実がポルミ・ミジュールを狼狽させ、たまらず声と身体が震えだす。
きっと今のコイツは、ビックリするくらい時の流れが遅くなっているんだろう。一瞬の間に頭の中を、色んなことが駆け巡り――
「…………わ、渡して、いません……。その文章は、全部、嘘です……」
――選びたくないけれど、そうするしかない。ポルミ・ミジュールは罪が一つで済む、『白状』を涙ながらに選んだのだった。
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