22 / 45
第8話 予想外の出会い 真鈴視点(4)
しおりを挟む
「澄香ちゃん、お母さん。美緒ちゃんって女の子を知っていますよね?」
小学3年生くらいで、身長は135センチくらいで、タレ目の二つ結びの女の子。苗字を知らないから、特徴を詳しく説明した。
「信じられないと思いますが、信じてもらえると嬉しいです。私は幽霊の姿が見えて、彼は幽霊の声が聞こえるんです。さっき道を歩いていたら美緒ちゃんが現れて、澄香ちゃんが困っていると教えてくれたんですよ」
「「………………」」
「驚いてしまいますよね? だけどさっき言ったように、事実なんです。美緒ちゃんが、澄香ちゃんが泣いているって教えてくれたんですよ」
「す、すみません。違うんですっ。お二人を疑っているんじゃないんですよっ」
「「え?」」
急におかしなことを言い出したぞ!? で、困り顔になってるんじゃないの?
「わざわざ娘を連れてきてくださった、そんな人達が嘘を吐く理由がありません。仰っていることは、信じています。ね、澄香」
「ん。お姉ちゃんもお兄ちゃんも、信じる、だよ」
「あ、ありがとうございます。ありがとうね。じゃあ、どうして……?」
「娘に――わたしにも、美緒ちゃんという名前の知り合いはいないんですよ」
いない!? 美緒ちゃんが!?
「友達はもちろん同級生を探しても、いないんです。美緒という名前の子は、どこにもいないんですよ」
「美緒ちゃん、知らないよ」
「そ、そうなんだね。……水前寺くん」
「ええ……。僕も、混乱してますよ」
見ず知らずの女の子のピンチに、わざわざ空の上から降りてきたとは思えない。だって泣いている子は他にもいたはずで、それなら今までに降りて来てるはずだから。
美緒ちゃんには、どうしてもこの子を助けたい理由があったはず。
「公園などで偶然出会って、仲良くしていたのでしょうか……? 澄香さん、澄香さんのお母さん、名前を知らないという可能性はありませんか?」
「んーん。お兄ちゃん澄香ね、お名前聞くよ」
「公園に行った際に、他の学校の子と遊んだことは何度かあります。澄香が言ったようにその際は相手の名前を聞いていますし、近くで見守っているのでわたしも全員分聞いているんですよ。美緒ちゃんという名前だと気付かずに遊んでいたことは、自信を持ってないと言えます」
そっちも、違う。
確実に知らない人なのに、なんで……?
「………………困らせるようなことを言ってしまって、ごめんなさい。水前寺くん、そろそろ行こっか」
「そうですね。澄香さん、澄香さんのお母さん、失礼しました」
二人が美緒ちゃんを知らないなら、どんなに考えても分からないよね。
澄香ちゃんたちはお買い物の途中だし、わたし達は幽霊助けの最中。お互いに用事があって、お詫びをしてバイバイしたのでした。
「おふたりとも、お気をつけて」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとー。またねー!」
「うん。またね」
「そちらもお気をつけて」
目的地までは、もう少し。私達はディスカウントストアを出て来た道を戻り、5~6分歩いたら目指していた交差点に着いたのでした。
小学3年生くらいで、身長は135センチくらいで、タレ目の二つ結びの女の子。苗字を知らないから、特徴を詳しく説明した。
「信じられないと思いますが、信じてもらえると嬉しいです。私は幽霊の姿が見えて、彼は幽霊の声が聞こえるんです。さっき道を歩いていたら美緒ちゃんが現れて、澄香ちゃんが困っていると教えてくれたんですよ」
「「………………」」
「驚いてしまいますよね? だけどさっき言ったように、事実なんです。美緒ちゃんが、澄香ちゃんが泣いているって教えてくれたんですよ」
「す、すみません。違うんですっ。お二人を疑っているんじゃないんですよっ」
「「え?」」
急におかしなことを言い出したぞ!? で、困り顔になってるんじゃないの?
「わざわざ娘を連れてきてくださった、そんな人達が嘘を吐く理由がありません。仰っていることは、信じています。ね、澄香」
「ん。お姉ちゃんもお兄ちゃんも、信じる、だよ」
「あ、ありがとうございます。ありがとうね。じゃあ、どうして……?」
「娘に――わたしにも、美緒ちゃんという名前の知り合いはいないんですよ」
いない!? 美緒ちゃんが!?
「友達はもちろん同級生を探しても、いないんです。美緒という名前の子は、どこにもいないんですよ」
「美緒ちゃん、知らないよ」
「そ、そうなんだね。……水前寺くん」
「ええ……。僕も、混乱してますよ」
見ず知らずの女の子のピンチに、わざわざ空の上から降りてきたとは思えない。だって泣いている子は他にもいたはずで、それなら今までに降りて来てるはずだから。
美緒ちゃんには、どうしてもこの子を助けたい理由があったはず。
「公園などで偶然出会って、仲良くしていたのでしょうか……? 澄香さん、澄香さんのお母さん、名前を知らないという可能性はありませんか?」
「んーん。お兄ちゃん澄香ね、お名前聞くよ」
「公園に行った際に、他の学校の子と遊んだことは何度かあります。澄香が言ったようにその際は相手の名前を聞いていますし、近くで見守っているのでわたしも全員分聞いているんですよ。美緒ちゃんという名前だと気付かずに遊んでいたことは、自信を持ってないと言えます」
そっちも、違う。
確実に知らない人なのに、なんで……?
「………………困らせるようなことを言ってしまって、ごめんなさい。水前寺くん、そろそろ行こっか」
「そうですね。澄香さん、澄香さんのお母さん、失礼しました」
二人が美緒ちゃんを知らないなら、どんなに考えても分からないよね。
澄香ちゃんたちはお買い物の途中だし、わたし達は幽霊助けの最中。お互いに用事があって、お詫びをしてバイバイしたのでした。
「おふたりとも、お気をつけて」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとー。またねー!」
「うん。またね」
「そちらもお気をつけて」
目的地までは、もう少し。私達はディスカウントストアを出て来た道を戻り、5~6分歩いたら目指していた交差点に着いたのでした。
22
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~
柚木ゆず
児童書・童話
「君の声はすごく可愛くて、僕の描いたキャラクターにピッタリなんです。もしよろしければ、VTuberになってくれませんか?」
声が変だと同級生や教師に笑われ続けたことが原因で、その時からずっと家族の前以外では声を出せなくなっていた女の子・佐倉美月。
そんな美月はある日偶然、隣家に引っ越してきた同い年の少年・田宮翔と――SNSで人気の中学生絵師に声を聞かれたことが切っ掛けとなり、やがて自分の声に対する認識が変わってゆくことになるのでした。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる