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第10話 北山さんの家 真鈴視点(2)
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「? 市川さん?」
「…………見間違い、じゃないね。あそこ見て、水前寺くん。1階にある室外機が動いてる」
停まっている車の左側にある窓の傍に置かれている、クーラーの室外機。ソレのファンがクルクル回ってた。
「もしかして、ご家族さんがいる?」
「北山さんは、ペットは飼っていないそうです。いらっしゃるような気がしますね」
「だよね。押してみよっか」
電話は出なかったし、2分で戻ってくるとは思えない。でも室外機が回ってて、クーラーがかかってる。
押しても、お金がかかるわけじゃないしね。近くにいる私がインターホンのボタンをポチッと押して――
『はい、北山です』
――っ!? スピーカから、女性の声が響いてきた。
「水前寺くん……」
「い、いらっしゃりましたね……」
『??? お嬢ちゃんたち……? どうかしたのかしら?』
「あっ、失礼しました。実はご用事がありまして、私達昨日から何度もお電話をしていたんです。一度も――ついさっきかけても出なかったので、お留守だと思い込んでいて驚いてしまったんです」
『あらまぁ、あなた達だったのね。ごめんなさい。ウチはね、知っている番号以外は出ないようにしているの』
私達の番号はお伝えしてない。ずっといらっしゃっていて、知らない番号だから出なかっただけだったんだ。
((……知ってる人、だけ……))
そういうお家は初めて聞いて、理由が気になる。気になるけど、プライベートなことだもんね。
疑問は口にせずに、北山さん――北山裕介さんのお話を始める。
「あなたは、北山奈々子さん。お子さんは、春斗くんですよね?」
『え、ええ、そうですよ。わたし達両方に、用事があるのかな?』
「そうなんです。……驚くと思いますが、落ち着いて聞いてください。私達は、去年亡くなられた裕介さんからメッセージを託されているんです」
「これから僕が、その証拠をお伝えします。お聞きください」
裕介さんしか知らない情報を私達が言えたら、裕介さんに頼まれているって信じてもらえる。水前寺くんは、インターホンをあるカメラを見つめて――
『あなた達も仲間だったのね!? いい加減にしてっっ!! 今すぐここから消えなさいっ!! 消えろ!!』
――見つめていると耳が割れそうなくらいの大声が聞こえてきて、乱暴にインターホンが切られてしまったのでした。
「…………見間違い、じゃないね。あそこ見て、水前寺くん。1階にある室外機が動いてる」
停まっている車の左側にある窓の傍に置かれている、クーラーの室外機。ソレのファンがクルクル回ってた。
「もしかして、ご家族さんがいる?」
「北山さんは、ペットは飼っていないそうです。いらっしゃるような気がしますね」
「だよね。押してみよっか」
電話は出なかったし、2分で戻ってくるとは思えない。でも室外機が回ってて、クーラーがかかってる。
押しても、お金がかかるわけじゃないしね。近くにいる私がインターホンのボタンをポチッと押して――
『はい、北山です』
――っ!? スピーカから、女性の声が響いてきた。
「水前寺くん……」
「い、いらっしゃりましたね……」
『??? お嬢ちゃんたち……? どうかしたのかしら?』
「あっ、失礼しました。実はご用事がありまして、私達昨日から何度もお電話をしていたんです。一度も――ついさっきかけても出なかったので、お留守だと思い込んでいて驚いてしまったんです」
『あらまぁ、あなた達だったのね。ごめんなさい。ウチはね、知っている番号以外は出ないようにしているの』
私達の番号はお伝えしてない。ずっといらっしゃっていて、知らない番号だから出なかっただけだったんだ。
((……知ってる人、だけ……))
そういうお家は初めて聞いて、理由が気になる。気になるけど、プライベートなことだもんね。
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「あなたは、北山奈々子さん。お子さんは、春斗くんですよね?」
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「そうなんです。……驚くと思いますが、落ち着いて聞いてください。私達は、去年亡くなられた裕介さんからメッセージを託されているんです」
「これから僕が、その証拠をお伝えします。お聞きください」
裕介さんしか知らない情報を私達が言えたら、裕介さんに頼まれているって信じてもらえる。水前寺くんは、インターホンをあるカメラを見つめて――
『あなた達も仲間だったのね!? いい加減にしてっっ!! 今すぐここから消えなさいっ!! 消えろ!!』
――見つめていると耳が割れそうなくらいの大声が聞こえてきて、乱暴にインターホンが切られてしまったのでした。
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