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第11話 偶然? 真鈴視点(2)
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「「さぎ……」」
「あなたの旦那さんが苦しんでいます。旦那さんを苦しみから救うにはこの壺が必要なんです。故人のために、出来る限り低価格でご提供します。……裕介さんが亡くなって、1か月後だったと思います。男の人が尋ねてきて、奈々子さんは怪しんだものの…………300万円で、その壺を買ってしまったんですよ」
300万なんて高すぎる、おかしい。奈々子さんはすぐ、そう思ったみたい。でも……。
本当に苦しんでいたらどうしよう?
奈々子さんにも春斗くんにも霊感はなくて、裕介さんの状態が分からない。もし実際に苦しんでいたら、少しでも早く楽にしてあげたい。
だから300万円、出してしまった。
「幸いにもその詐欺師は3か月後に捕まり、300万円はちゃんと戻ってきました。お金に関する被害はなかったのですが…………心の傷は、残ってしまったんです」
家族やそれまでに親しかった人以外が裕介さんの話題を出すと、取り乱すようになってしまう。
以前裕介さんの古い友人が訪ねてきた際も、あのように追い払ってしまったみたい。
「それだけじゃないんです。ちゃんと天国にいけたと思っていたのに……。その件があってから『本当に天国に行けているの?』『苦しんでいない?』と、悩み続けるようになってしまったんです」
「春斗くんもね、よく泣くようになっちゃったの。いっつもね、お父さん、って言ってるの」
「二人ともずっと、苦しんでるんですね。……水前寺くん」
「はい市川さん。そんな辛い毎日は、今日で終わりにしましょう」
奈々子さん、春斗くん、裕介さん。全員の悩みを消して、みんな笑顔にする。
「私達は裕介さんから、裕介さんと家族しか知らない情報を聞いているんです。それさえあれば、今の奈々子さん達にも信じてもらえます」
「奈々子さんと直接会えたら、それができるんですよ。澄香さんのお母さん、僕達を奈々子さんに紹介してください」
「「お願いします」」
水前寺くんと一緒に、頭を下げる。そうしたら――
「私も、奈々子さんと春斗くんに元気になってもらいたいです。こちらこそ、お願いします」
「澄香も、ニコニコしててほしいの。おねがいしますっ」
――お母さんと澄香ちゃんも同じようにしてくれて、奈々子さんに掛け合ってもらえるようになったのでした。
「ありがとうございます。偶然お会いできて、本当によか――ぐうぜん……?」
昨日助けた澄香ちゃん達が奈々子さん達と知り合いで、あの時助けたから霊感を信じてもらえて奈々子さんに紹介してもらえるようになった。
すべては泣いてる澄香ちゃんを見つけたところから始まっていて、その澄香ちゃんを教えてくれたのは美緒ちゃん。
「美緒ちゃんは澄香ちゃんと知り合いじゃないのに、わざわざ私達の前に現れて澄香ちゃんのもとに案内した。これって……」
「僕も、同じことを考えていました。美緒さんは、この時のために指を差してくれていたんですね」
上の世界にいるから、これから起きることが分かっていた、んだと思う。裕介さんのメッセージが届けられるように――私達の希望が叶うように、手伝ってくれていたんだ!
「……そういうこと、だったんだね。ありがとう、美緒ちゃん」
「ありがとうございます、美緒さん」
やっと、真実に気付けた。
私達は空に向かって手を振って、たくさん感謝をしながら歩きだしたのでした。
「あなたの旦那さんが苦しんでいます。旦那さんを苦しみから救うにはこの壺が必要なんです。故人のために、出来る限り低価格でご提供します。……裕介さんが亡くなって、1か月後だったと思います。男の人が尋ねてきて、奈々子さんは怪しんだものの…………300万円で、その壺を買ってしまったんですよ」
300万なんて高すぎる、おかしい。奈々子さんはすぐ、そう思ったみたい。でも……。
本当に苦しんでいたらどうしよう?
奈々子さんにも春斗くんにも霊感はなくて、裕介さんの状態が分からない。もし実際に苦しんでいたら、少しでも早く楽にしてあげたい。
だから300万円、出してしまった。
「幸いにもその詐欺師は3か月後に捕まり、300万円はちゃんと戻ってきました。お金に関する被害はなかったのですが…………心の傷は、残ってしまったんです」
家族やそれまでに親しかった人以外が裕介さんの話題を出すと、取り乱すようになってしまう。
以前裕介さんの古い友人が訪ねてきた際も、あのように追い払ってしまったみたい。
「それだけじゃないんです。ちゃんと天国にいけたと思っていたのに……。その件があってから『本当に天国に行けているの?』『苦しんでいない?』と、悩み続けるようになってしまったんです」
「春斗くんもね、よく泣くようになっちゃったの。いっつもね、お父さん、って言ってるの」
「二人ともずっと、苦しんでるんですね。……水前寺くん」
「はい市川さん。そんな辛い毎日は、今日で終わりにしましょう」
奈々子さん、春斗くん、裕介さん。全員の悩みを消して、みんな笑顔にする。
「私達は裕介さんから、裕介さんと家族しか知らない情報を聞いているんです。それさえあれば、今の奈々子さん達にも信じてもらえます」
「奈々子さんと直接会えたら、それができるんですよ。澄香さんのお母さん、僕達を奈々子さんに紹介してください」
「「お願いします」」
水前寺くんと一緒に、頭を下げる。そうしたら――
「私も、奈々子さんと春斗くんに元気になってもらいたいです。こちらこそ、お願いします」
「澄香も、ニコニコしててほしいの。おねがいしますっ」
――お母さんと澄香ちゃんも同じようにしてくれて、奈々子さんに掛け合ってもらえるようになったのでした。
「ありがとうございます。偶然お会いできて、本当によか――ぐうぜん……?」
昨日助けた澄香ちゃん達が奈々子さん達と知り合いで、あの時助けたから霊感を信じてもらえて奈々子さんに紹介してもらえるようになった。
すべては泣いてる澄香ちゃんを見つけたところから始まっていて、その澄香ちゃんを教えてくれたのは美緒ちゃん。
「美緒ちゃんは澄香ちゃんと知り合いじゃないのに、わざわざ私達の前に現れて澄香ちゃんのもとに案内した。これって……」
「僕も、同じことを考えていました。美緒さんは、この時のために指を差してくれていたんですね」
上の世界にいるから、これから起きることが分かっていた、んだと思う。裕介さんのメッセージが届けられるように――私達の希望が叶うように、手伝ってくれていたんだ!
「……そういうこと、だったんだね。ありがとう、美緒ちゃん」
「ありがとうございます、美緒さん」
やっと、真実に気付けた。
私達は空に向かって手を振って、たくさん感謝をしながら歩きだしたのでした。
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