見える私と聞こえる転校生

柚木ゆず

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第13話 あの時の 真鈴視点

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「お帰り真鈴。? どうしたの?」
「幽霊助けは今日だけでは終わらなくって、明日学校が終わったあと北山さんのお家に行くようになったんだ。水前寺くんのお母さんが車を出してくださる予定になっていて、月曜日は学校から直接向かうね」

 裕介さんの家族は詐欺にあっていたこと。一回嫌な思いをしているから、水前寺くんの説明があっても信じ切れなかったこと。
 あの場所で起きた出来事を伝えた。

「……そうだったのね……。ええ、分かったわ。頑張って」
「ありがとう。それでねお母さん、奈々子さんにアレを見せようと思うの。アレ、物置に仕舞ってるよね?」

 その話題が出ると、急にお母さんの顔が曇った。

「……ある、けど……。真鈴……。大丈夫なの?」
「あんまり大丈夫じゃない、かな? でもそうしなかったら、奈々子さんはずっとそのまま」

 悪い人間のせいで、一生苦しい思いをし続ける羽目になっちゃう。

「子どもの春斗くん、そもそも裕介さんも、悲しむ。水前寺くんだって悔しいだろうし、関わってくれた穂波さんと澄香ちゃんもモヤモヤしっぱなしになっちゃう。アレがあったらきっと、全員を救える。だったら、やるしかない、って思ってる」
「真鈴……」
「それにほら、アレが初めて役立つんだよ? 損しただけじゃ勿体ないもん。せっかくあんな風になっちゃったんだし、しっっっっっっかり活用させないとね?」

 損させられただけは、はっきり言うとムカつく。
 徹底的に利用してやるんだから。

「それと、もうひとつのもあるかな? アレがあった方が説得力があるから、あっちも一緒に見せたいの」
「同じ箱に入れて、置いてあるわ。ご飯食べたら出すわね」
「お願い。ありがとうお母さん」

 すっかり夜だからまずは夕ご飯を食べて、アレと久しぶりに再会。なんとも言えない気持ちになりながら通学用の鞄に入れて、明日はいそがしくなりそうだから早めにお風呂に入って早めにベッドに入ったのでした。


((まさか、アレが役に立つ時が来るなんてね。何があるか、ほんと分かんないね))
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