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第17話 幽霊たちの気持ち
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((奈々子ちゃんと、春斗……。会いに来てくれるかな……?))
交差点にある、歩行者用信号機の下。そこにいる幽霊・北山裕介は、家族2人が暮らす家がある方向を不安げに眺めていました。
((奈々子ちゃんと春斗なら、あのメッセージで信じてくれるとは思うけど……。気持ち悪がられないかな……?))
裕介は奈々子と春斗が、自分を大切に想ってくれていると誰よりも信じていました。
ただしそれは、人間の時の自分。
幽霊になってしまった自分を怖がるなどして、近づこうとはしないかも……。
ふたりはそんな風に思わない人達だと分かってはいましたが、それでも不安で仕方がありませんでした。
((……奈々子ちゃんと春斗に、会いたいな……))
伝えたかった言葉が沢山あるし、大切な人達の姿をもう一回だけ見ておきたい。
幽霊になってから何回も何回も呟いた言葉を呟き、今まではそのあと大きな大きなため息をついていました。
でも。
今日は違っていて――
「あ……!! 奈々子ちゃん……! 春斗……!!」
――ずっと会いたかった人達が走ってくるのが、はっきりと見えたのでした。
〇〇
「よかったぁ。会えたみたい」
「そうですね、美緒ちゃん。あなたのお願いが叶いましたね?」
「ん、ありがとーございますっ。お姉ちゃんとお兄ちゃんも、嬉しそー」
交差点がある場所の、ずっとずっと上。雲よりも更に高い場所にあるキラキラとした場所では、書店で会った幽霊・美緒がパチパチと手を叩いていました。
「あのままお家に行っちゃってたら、奈々子さん? とお話しできなかったっ。お姉ちゃんとお兄ちゃんが、悲しんじゃってた。お姉ちゃんとお兄ちゃんに会わせてくれて、ありがとーございます」
「一生懸命ここから応援しているあなたを見ていたら、放っておくなってしまいましたよ。……あの様子なら、もう大丈夫ですね。さ、行きましょうか」
「はーいっ。お姉ちゃんお兄ちゃん、よかったね~っ!」
交差点にある、歩行者用信号機の下。そこにいる幽霊・北山裕介は、家族2人が暮らす家がある方向を不安げに眺めていました。
((奈々子ちゃんと春斗なら、あのメッセージで信じてくれるとは思うけど……。気持ち悪がられないかな……?))
裕介は奈々子と春斗が、自分を大切に想ってくれていると誰よりも信じていました。
ただしそれは、人間の時の自分。
幽霊になってしまった自分を怖がるなどして、近づこうとはしないかも……。
ふたりはそんな風に思わない人達だと分かってはいましたが、それでも不安で仕方がありませんでした。
((……奈々子ちゃんと春斗に、会いたいな……))
伝えたかった言葉が沢山あるし、大切な人達の姿をもう一回だけ見ておきたい。
幽霊になってから何回も何回も呟いた言葉を呟き、今まではそのあと大きな大きなため息をついていました。
でも。
今日は違っていて――
「あ……!! 奈々子ちゃん……! 春斗……!!」
――ずっと会いたかった人達が走ってくるのが、はっきりと見えたのでした。
〇〇
「よかったぁ。会えたみたい」
「そうですね、美緒ちゃん。あなたのお願いが叶いましたね?」
「ん、ありがとーございますっ。お姉ちゃんとお兄ちゃんも、嬉しそー」
交差点がある場所の、ずっとずっと上。雲よりも更に高い場所にあるキラキラとした場所では、書店で会った幽霊・美緒がパチパチと手を叩いていました。
「あのままお家に行っちゃってたら、奈々子さん? とお話しできなかったっ。お姉ちゃんとお兄ちゃんが、悲しんじゃってた。お姉ちゃんとお兄ちゃんに会わせてくれて、ありがとーございます」
「一生懸命ここから応援しているあなたを見ていたら、放っておくなってしまいましたよ。……あの様子なら、もう大丈夫ですね。さ、行きましょうか」
「はーいっ。お姉ちゃんお兄ちゃん、よかったね~っ!」
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