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第18話 再会 真鈴視点(1)
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「…………真鈴お姉さん。パパが、いるんだよね……?」
「うん、そうだよ。いま私が立っているところの、すぐ隣。ここに、春斗くんのお父さんがいるよ」
交差点にある、歩行者用の信号の下。そこに裕介さんがいる。
嬉し涙を流している、裕介さんが。
「奈々子さんと春斗くんを順番に見て、頬っぺたを抓って、袖で涙を拭いています」
「『奈々子ちゃん、春斗……! 来てくれたんだね……! ありがとう…………ありがとう……!! 夢みたいだ……!』。そう、仰っています」
私が伝えられるのは、姿。水前寺くんが伝えられるのは、声。
どちらも片方だけだと完全には伝えられないけど、私達2人なら完全に伝えられる。
「当たり前でしょパパっ! 僕たちだってパパに会いたいよ! あのねパパっ! 僕が怒ってるはずないでしょ!! 僕のことを一番知ってるのはパパとママだよねっ!? なにやってるの!! パパは嘘つきなんかじゃない!! パパは嘘なんてついてないよっ! ずっとパパは大好きでっ! パパみたいな大人になりたいってねっ、今も思ってるよ!!」
「ですって。よかったわね、裕介くん」
「『……ごめん、そうだね。うん。春斗に失礼なことを言っちゃっていたね。そう言ってもらえて、嬉しいよ。ありがとう、春斗』」
「ハッとなって春斗くんに頭を下げて、鼻の頭を掻きながら苦笑いを浮かべられています。そうしながら、奈々子さんに頷かれましたよ」
裕介さんにずっとあった、不安げな感情がなくなった。
事故にあって亡くなってしまった時から、ずっと――去年から毎日毎日悩んでいたはず。思い思い苦しみと悩みが消えて、よかった。
「『それと、奈々子ちゃんにも謝らないといけないね。去年から、だいぶ痩せてしまった。突然いなくなってしまってショックを受けさせてしまったせいと、僕の分まで色々しないといけなくなったせい、だよね? ごめん。僕の分まで春斗を見てくれて、ありがとう』」
「ううん、違うの。そうじゃないの。裕介くんの事故を利用する人間がいて、その人のせいで今日まで何も信じられなくなってしまっていたのよ。原因はそれで、裕介くんは悪くないわ」
「『利用……。今日までってことは……』」
「そう、もう大丈夫。こちらにいる水前寺良平くんと市川真鈴さんが、わたし達を救ってくれたの」
裕介さんが苦しんでいると嘘をついて、物を売りに来たという話。信じて買ってしまい、後日その人は逮捕されて全額戻ってきたものの、心を痛めてしまったという話。私達と会えたおかげで信じられるようになったというお話。
すべてが解決しているから、奈々子さんは全部を伝えることができた。
「裕介くんだけじゃなくて私達も、真鈴さんと良平くんにとってもお世話になったの。私達、素敵な人に出会えたよね」
「『そうだね。……改めて、伝えさせてください。市川真鈴さん、水前寺良平くん、助けてくれてありがとうございました』」
「「ありがとうございました」」
裕介さん、奈々子さん、春斗くん。全員が直接互いの姿を確認することはできないけど、やっぱり家族だから、なんだよね。
3人はピッタリおんなじタイミングで、お辞儀をしてくれました。
「どういたしまして。……水前寺くん」
「ええ、そうですね。裕介さん、奈々子さん、春斗さん、感謝のお気持ちはじゅうぶんにいただききました。こちらは気にせず、皆さんでお喋りを楽しんでください」
もう会えないと思っていた人と会えたんだもんね。お話ししたいことはどっさりあるはず。
私達はサポート係に集中するようにして――
「うん、そうだよ。いま私が立っているところの、すぐ隣。ここに、春斗くんのお父さんがいるよ」
交差点にある、歩行者用の信号の下。そこに裕介さんがいる。
嬉し涙を流している、裕介さんが。
「奈々子さんと春斗くんを順番に見て、頬っぺたを抓って、袖で涙を拭いています」
「『奈々子ちゃん、春斗……! 来てくれたんだね……! ありがとう…………ありがとう……!! 夢みたいだ……!』。そう、仰っています」
私が伝えられるのは、姿。水前寺くんが伝えられるのは、声。
どちらも片方だけだと完全には伝えられないけど、私達2人なら完全に伝えられる。
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「ですって。よかったわね、裕介くん」
「『……ごめん、そうだね。うん。春斗に失礼なことを言っちゃっていたね。そう言ってもらえて、嬉しいよ。ありがとう、春斗』」
「ハッとなって春斗くんに頭を下げて、鼻の頭を掻きながら苦笑いを浮かべられています。そうしながら、奈々子さんに頷かれましたよ」
裕介さんにずっとあった、不安げな感情がなくなった。
事故にあって亡くなってしまった時から、ずっと――去年から毎日毎日悩んでいたはず。思い思い苦しみと悩みが消えて、よかった。
「『それと、奈々子ちゃんにも謝らないといけないね。去年から、だいぶ痩せてしまった。突然いなくなってしまってショックを受けさせてしまったせいと、僕の分まで色々しないといけなくなったせい、だよね? ごめん。僕の分まで春斗を見てくれて、ありがとう』」
「ううん、違うの。そうじゃないの。裕介くんの事故を利用する人間がいて、その人のせいで今日まで何も信じられなくなってしまっていたのよ。原因はそれで、裕介くんは悪くないわ」
「『利用……。今日までってことは……』」
「そう、もう大丈夫。こちらにいる水前寺良平くんと市川真鈴さんが、わたし達を救ってくれたの」
裕介さんが苦しんでいると嘘をついて、物を売りに来たという話。信じて買ってしまい、後日その人は逮捕されて全額戻ってきたものの、心を痛めてしまったという話。私達と会えたおかげで信じられるようになったというお話。
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「『そうだね。……改めて、伝えさせてください。市川真鈴さん、水前寺良平くん、助けてくれてありがとうございました』」
「「ありがとうございました」」
裕介さん、奈々子さん、春斗くん。全員が直接互いの姿を確認することはできないけど、やっぱり家族だから、なんだよね。
3人はピッタリおんなじタイミングで、お辞儀をしてくれました。
「どういたしまして。……水前寺くん」
「ええ、そうですね。裕介さん、奈々子さん、春斗さん、感謝のお気持ちはじゅうぶんにいただききました。こちらは気にせず、皆さんでお喋りを楽しんでください」
もう会えないと思っていた人と会えたんだもんね。お話ししたいことはどっさりあるはず。
私達はサポート係に集中するようにして――
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