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第19話 全部解決 真鈴視点(1)
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「今日のあったことは、一生忘れません。改めて言わせてください。ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
裕介さんを見送って、5分くらい経った頃かな。色々な感情を整理した奈々子さんと春斗くんが、私達の手を順に取ってくれた。
「市川さんと水前寺くん。お二人に出会えなかったら――ううん。お二人が諦めずにお声をかけてくれたから、あの人をちゃんと見送ることができました。本当に、ごめんなさい。本当に、ありがとうございます」
「お姉さん、お兄さん、何回も来てくれてありがとうっ!」
「あんなことがあったんです、しょうがないですよ。私達は元々なんとも思っていなくって、嬉しい気持ちしかありません。ね、水前寺くん」
「ええ、誰でもそうなりますよ。ですから、喜びだけしかありません。裕介さんも奈々子さんの春斗さんも、全員の願いが叶ってよかったです」
謝りたいと会いたい。会いたい。会いたい。
みんなの望みが実現して、とにかくよかった。
「穂波さんと澄香ちゃんも、私達に力を貸してくれてありがとうございました」
「ありがとうございました」
「お役に立てて、何よりです」
「なにより、ですー」
「それと――。美緒ちゃんも、ありがとうね」
「美緒さん、ありがとうございました」
あの時美緒ちゃんが私達の前に現れてくれなかったら、穂波さんと澄香ちゃんに頼めなかった。
力を貸してくれたおかげで、みんな笑顔になれたよ。
「皆さんに、お礼をさせていただきたいです。今は何も思い付いていませんが、いつか必ず今回のお礼を――」
「ねえママっ、『ボーノ』に行こうよ!! お姉ちゃん達に食べてもらおうよっ、パパが大好きだったオムライスっ!」
「ああ、ボーノね! ……裕介くんが昔から好きなお料理があって、そのお店が市内にあるんです。夕食はまだでしょうし、ご馳走させていただけませんか?」
「そういうことなら、ご馳走になります」
「是非、ご一緒させてください」
こういったお誘いはもらっておきたいし、私達にとっても特別になった人が好きな食べ物を食べてみたいし、ボーノさんはあの時水前寺くんが教えてくれたお店。
行きたい理由がいくつもあって、私達は迷わず頷いたのでした。
「運転してくださった水前寺くんのお母様と、穂波さんと澄香ちゃんも来てもらえると嬉しいです」
「喜んで」
「よろこんでー!」
なので全員で、オムライスが美味しい隠れた名店を目指して――
「市川さん。ちょっとだけ、二人きりでお話しをさせてもらってもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。先に出らせてもらおっか」
――卵ふわふわトロトロの、噂以上にほっぺたが落ちちゃうデミグラスソースのオムライスを食べたあと。私達は一足先に、お店の外へと出たのでした。
「ありがとうございました!」
裕介さんを見送って、5分くらい経った頃かな。色々な感情を整理した奈々子さんと春斗くんが、私達の手を順に取ってくれた。
「市川さんと水前寺くん。お二人に出会えなかったら――ううん。お二人が諦めずにお声をかけてくれたから、あの人をちゃんと見送ることができました。本当に、ごめんなさい。本当に、ありがとうございます」
「お姉さん、お兄さん、何回も来てくれてありがとうっ!」
「あんなことがあったんです、しょうがないですよ。私達は元々なんとも思っていなくって、嬉しい気持ちしかありません。ね、水前寺くん」
「ええ、誰でもそうなりますよ。ですから、喜びだけしかありません。裕介さんも奈々子さんの春斗さんも、全員の願いが叶ってよかったです」
謝りたいと会いたい。会いたい。会いたい。
みんなの望みが実現して、とにかくよかった。
「穂波さんと澄香ちゃんも、私達に力を貸してくれてありがとうございました」
「ありがとうございました」
「お役に立てて、何よりです」
「なにより、ですー」
「それと――。美緒ちゃんも、ありがとうね」
「美緒さん、ありがとうございました」
あの時美緒ちゃんが私達の前に現れてくれなかったら、穂波さんと澄香ちゃんに頼めなかった。
力を貸してくれたおかげで、みんな笑顔になれたよ。
「皆さんに、お礼をさせていただきたいです。今は何も思い付いていませんが、いつか必ず今回のお礼を――」
「ねえママっ、『ボーノ』に行こうよ!! お姉ちゃん達に食べてもらおうよっ、パパが大好きだったオムライスっ!」
「ああ、ボーノね! ……裕介くんが昔から好きなお料理があって、そのお店が市内にあるんです。夕食はまだでしょうし、ご馳走させていただけませんか?」
「そういうことなら、ご馳走になります」
「是非、ご一緒させてください」
こういったお誘いはもらっておきたいし、私達にとっても特別になった人が好きな食べ物を食べてみたいし、ボーノさんはあの時水前寺くんが教えてくれたお店。
行きたい理由がいくつもあって、私達は迷わず頷いたのでした。
「運転してくださった水前寺くんのお母様と、穂波さんと澄香ちゃんも来てもらえると嬉しいです」
「喜んで」
「よろこんでー!」
なので全員で、オムライスが美味しい隠れた名店を目指して――
「市川さん。ちょっとだけ、二人きりでお話しをさせてもらってもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。先に出らせてもらおっか」
――卵ふわふわトロトロの、噂以上にほっぺたが落ちちゃうデミグラスソースのオムライスを食べたあと。私達は一足先に、お店の外へと出たのでした。
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