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第1話 出会い 市川真鈴視点(2)
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「今日はみなさんに、新しい仲間を紹介します」
朝のホームルームが始まってすぐ。担任の梅川菜穂(うめがわなほ)先生が、黒板にチョークで『転校生』と書いた。
「わぁ~! 楽しみに!」
「転校生が来るの、わたし初めてだ」
「あたしもっ! どんな人なんだろね? 女の子かな? 男の子かな?」
林檎は、男の子だって言ってた。
背はどのくらいだろう? 165センチくらいだと思う。メガネはかけてる? かけてないと思う。
頭の中で予想していると、先生の合図で扉が開いて――身長は160台半ばくらいで眼鏡をかけた、いかにも優等生って見た目の男の子が入って来た。
「はじめまして。隣の来栖(くるす)市にある香本(かもと)中学から転校してきました、水前寺良平(すいぜんじりょうへい)と申します。これからよろしくお願い致します」
声も喋り方も落ち着いていて、2~3歳くらい上に感じる。そんな水前寺くんは丁寧にお辞儀をして、先生に促されて空いている席へと――
「すみません。少しよろしいですか?」
――席に向かわず、先生の方を向いた。
??? どうしたんだろ?
「水前寺君? どうしましたか?」
「この場を借りて、クラスメイトの皆さんに質問したいことがあるんです。構いませんでしょうか?」
「え、ええ、いいですよ。ど、どうぞ」
「ありがとうございます」
まさかそんなことを言い出すなんて、思ってなかったみたい。梅川先生は戸惑いながら頷いて、水前寺くんは教卓の前に立った。
「「「「「???」」」」」
「「「「「???」」」」」
教室のみんなも私もキョトンとしながら待っていると、水前寺くんはもう一回丁寧にお辞儀をして――…………。
真顔で、こんなことを言い放ったのでした。
「この中に、幽霊が見える人はいませんか?」
朝のホームルームが始まってすぐ。担任の梅川菜穂(うめがわなほ)先生が、黒板にチョークで『転校生』と書いた。
「わぁ~! 楽しみに!」
「転校生が来るの、わたし初めてだ」
「あたしもっ! どんな人なんだろね? 女の子かな? 男の子かな?」
林檎は、男の子だって言ってた。
背はどのくらいだろう? 165センチくらいだと思う。メガネはかけてる? かけてないと思う。
頭の中で予想していると、先生の合図で扉が開いて――身長は160台半ばくらいで眼鏡をかけた、いかにも優等生って見た目の男の子が入って来た。
「はじめまして。隣の来栖(くるす)市にある香本(かもと)中学から転校してきました、水前寺良平(すいぜんじりょうへい)と申します。これからよろしくお願い致します」
声も喋り方も落ち着いていて、2~3歳くらい上に感じる。そんな水前寺くんは丁寧にお辞儀をして、先生に促されて空いている席へと――
「すみません。少しよろしいですか?」
――席に向かわず、先生の方を向いた。
??? どうしたんだろ?
「水前寺君? どうしましたか?」
「この場を借りて、クラスメイトの皆さんに質問したいことがあるんです。構いませんでしょうか?」
「え、ええ、いいですよ。ど、どうぞ」
「ありがとうございます」
まさかそんなことを言い出すなんて、思ってなかったみたい。梅川先生は戸惑いながら頷いて、水前寺くんは教卓の前に立った。
「「「「「???」」」」」
「「「「「???」」」」」
教室のみんなも私もキョトンとしながら待っていると、水前寺くんはもう一回丁寧にお辞儀をして――…………。
真顔で、こんなことを言い放ったのでした。
「この中に、幽霊が見える人はいませんか?」
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