VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

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第3話 相談

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「――ということが、この書類には書かれているわね」

 車で移動している時間を使って、お母さんにクリアファイルを――A4サイズという大きさの紙7枚を読んでもらって、

 男の子くんと従姉さんは芸能人さんみたいに事務所に入っていなくって、全部自分達で行っている。
 だからわたしも芸能人さんみたいに事務所と契約(けいやく)することはなくって、これ以上できないと感じたらすぐに『引退』――活動を止めることができて、その際にはお金とかのトラブルが起きちゃうことはない。
 VTuberの――卯月こよみちゃんや葉月ミアちゃんの活動は『配信』がメインで、生放送でお喋りをしたりゲームをしたり歌ったりすること。配信は人それぞれで、配信の内容はわたしが選んでいい。
 配信に関する機材はなかったら、男の子くんと従姉さんが用意してくれる。わたしの場合は男の子くんのお家にある『配信部屋』を使ってもいいし、初心者だから男の子くんや従姉さんが毎回細かくお手伝いをしてくれる。

 などなど。
 VTuberの活動に関する、色々なことが分かりました。

「活動のメリットだけではなくデメリットも細かく書かれていたし、悪い人達ではなさそうだね。僕はそう思うけど、ママはどう?」
「私も同じで、怪しいところはないわね。それどころかとてもキチンとしていて、演者――あのキャラクターを演じる人のことを考えている、とても良いものだと思うわ」

 私達が忙しくしていたから美月は気を遣って言えなかったし、私達自身も異変に気付くのが酷く遅れてしまったわ――。
 お父さんとお母さんは、なにも悪くないのに。あの時何度もわたしに謝ってくれて、誰かが傍に居られるようにって、お母さんは会社を辞めてフリーランスでお仕事をしてくれるようになった。
 だからお母さんは契約とかにすごく詳しくて、そんなお母さんがそう言ったので心配はないって分かりました。

「なのであとは、美月次第ね。今の説明を聞いて、渡された『初心者のVTuber入門』を読んでみて、美月はどう思った?」
「……VTuberは、外ではしないお喋りが絶対に必要でね。怖い、って気持ちはある」

 でも。

「でもね。褒めてもらえて、すっごく嬉しかったの」

『佐倉(さくら)ちゃんの声って、変だよね』
『美月(みつき)ちゃんの声って、わたし達と全然違うよね~。高すぎてちょっと気持ち悪い』

 今まではずっとそんな風に言われてたのに。

『君の声はすごく可愛くて、僕の描いたキャラクターにピッタリだった。なのでVTuberになってくれませんか? って、お願いをさせてもらったんですよ』

 こんな風に言ってもらえて、とっても嬉しかった。涙が出ちゃうくらい、嬉しかった。
 だから。

「だからね。やってみたいなって、思ってます」

 ピッタリ合うって言ってくれた『葉月ミア』ちゃんになって、VTuberとして活動してみたい。
 そう、思いました。

「そっか。だったら、応援するわ」
「うん。お父さんもお母さんも応援するよ。……美月。よかったね」
「うんっ。うんっ! お父さんお母さん、ありがとう! わたし、やってみる!」



 中学生最後の夏休みの、一日目。
 あんな夢を見て、また自分の『声』が嫌になってた。
 わたしの声は変わることはなくって、『嫌』はずっと続くと思ってた。
 だけど。
 突然、そうじゃなくなるかもしれないことが起きたのでした。
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