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第9話 決行(3)
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「お前には色々と言いたいことがあるが、まずは宝物の確保回収が最優先だ。サラ。彼女のネックレスをどこにやった?」
「……知りません。わたしは、そのような真似はしておらず――」
「教えるつもりはない、ということか。ならいい、お前には頼らない。……学院長、サラの部屋など隠せそうな場所を手当たり次第に探りましょう」
ヘクターは自然な形で312号室へと向かえるようにし、アントニンの許可が下りたため移動を始めます。そうしてこの場にいる全員が大移動を行い、第三者である女性教師5人が室内の捜索をスタートさせました。
「…………わたしは、あのようなことは致しておりません。どこにもありませんよ」
((そうだな、お前はやっていないんだからそう思うだろう。だがな、この部屋にネックレスはあるんだよ))
否定をするサラを心の中で嗤い、ヘクターはその時を待ちます。
デスク、小物入れなどなど。次々と室内が調べられてゆき、いよいよ5人の手は最後の場所であるクローゼットに伸びました。
((ふふふっ。サラ、もうすぐお前は唖然となるぞ?))
そこは最後の場所なため、アリーヌが忍ばせたのはクローゼット。そう判断したヘクターは上機嫌でその時を待ち――
「なっ!?」
しかしながら唖然となるのは、サラではありません。声を上げたのは悠々としていたヘクターで、しかも『予想外』はこれで終わってはくれませんでした。
クローゼットからはなにも出てこなかった。それは始まりにすぎず、
「残念だけれど、クローゼットにはありませんわよ? だって貴男から受け取ったネックレスは、そちらにあるんですもの」
行方不明となっていたネックレスは、アリーヌの視線の先から――。学院長アントニンの懐から、現れたのです。
「……知りません。わたしは、そのような真似はしておらず――」
「教えるつもりはない、ということか。ならいい、お前には頼らない。……学院長、サラの部屋など隠せそうな場所を手当たり次第に探りましょう」
ヘクターは自然な形で312号室へと向かえるようにし、アントニンの許可が下りたため移動を始めます。そうしてこの場にいる全員が大移動を行い、第三者である女性教師5人が室内の捜索をスタートさせました。
「…………わたしは、あのようなことは致しておりません。どこにもありませんよ」
((そうだな、お前はやっていないんだからそう思うだろう。だがな、この部屋にネックレスはあるんだよ))
否定をするサラを心の中で嗤い、ヘクターはその時を待ちます。
デスク、小物入れなどなど。次々と室内が調べられてゆき、いよいよ5人の手は最後の場所であるクローゼットに伸びました。
((ふふふっ。サラ、もうすぐお前は唖然となるぞ?))
そこは最後の場所なため、アリーヌが忍ばせたのはクローゼット。そう判断したヘクターは上機嫌でその時を待ち――
「なっ!?」
しかしながら唖然となるのは、サラではありません。声を上げたのは悠々としていたヘクターで、しかも『予想外』はこれで終わってはくれませんでした。
クローゼットからはなにも出てこなかった。それは始まりにすぎず、
「残念だけれど、クローゼットにはありませんわよ? だって貴男から受け取ったネックレスは、そちらにあるんですもの」
行方不明となっていたネックレスは、アリーヌの視線の先から――。学院長アントニンの懐から、現れたのです。
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