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第9話 決行(4)
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「困惑されている皆様には、わたくしから説明をさせていただきますわ。実を言いますとわたくしは一週間前に、彼に協力を持ち掛けられましたの」
利害が一致しているから、力を合わせてサラを陥れようと言われたこと――。今日の出来事も中庭で起きた出来事も、すべてはヘクターとオドレイによる自作自演だったこと――。
アリーヌは丁寧に詳説を行い、固まっているヘクターに向けて薄笑いを浮かべました。
「でも残念、わたくしはお願いされた通りに動かなかった。その日のうちにアントニン学院長のもとに行き、これから起きることを伝えた上で、ネックレスを預かっていただきましたの」
「内容が内容だけに、ネックレスがあっても100パーセント信じることができなかったよ。じゃが中庭でもここでも、証言通りのことが起きたのでな。今は君が――否、君達こそが悪なのだと理解しておるよ」
「そ、そんな…………。な……。なぜ、だ……!? なぜ裏切ったんだ……!?」
サラを引き摺り下ろしトップになる、格好の機会なのに!! どうして切望していたチャンスをフイにする!?――。
絶対に裏切りはしない。そのように確信していたヘクターは目を剥き、そんな彼はまもなく鼻で嗤われてしまいました。
「裏切る? わたくしは、一度も貴男を裏切ってなんていませんわ。だってそもそも、一瞬たりとも貴男の仲間になってはいないんですもの」
「んなっ!? な、なんだと!?」
「あのね、わたくしは落ち着いた状況下で――これまで通りの状況下で、サラ様と正々堂々勝負をしたかっただけですの。ですからそうできるように、話を合わせていただけなのですわ」
すべては、演技だった。
すべては、思い違いだった。
自分は最も協力を要請してはいけない人間に、接触していた。
ようやく事実を理解したヘクターは未曽有の立ち眩みに襲われ、おもわずその場に崩れ落ちてしまいます。
((……終わった……。もう、終わりだ……。強制的に、退学させられてしまう……))
ここまでバレたら籍を残しておけるはずがない――。それどころか収監、追放まで待っている――。こんなことになるなんて――。これからどうすればいい――。などなど。一瞬にして頭の中が様々なもので満たされ、ヘクターは頭を抱えます。
ですが彼を襲う『ショック』は、これだけではなく――
利害が一致しているから、力を合わせてサラを陥れようと言われたこと――。今日の出来事も中庭で起きた出来事も、すべてはヘクターとオドレイによる自作自演だったこと――。
アリーヌは丁寧に詳説を行い、固まっているヘクターに向けて薄笑いを浮かべました。
「でも残念、わたくしはお願いされた通りに動かなかった。その日のうちにアントニン学院長のもとに行き、これから起きることを伝えた上で、ネックレスを預かっていただきましたの」
「内容が内容だけに、ネックレスがあっても100パーセント信じることができなかったよ。じゃが中庭でもここでも、証言通りのことが起きたのでな。今は君が――否、君達こそが悪なのだと理解しておるよ」
「そ、そんな…………。な……。なぜ、だ……!? なぜ裏切ったんだ……!?」
サラを引き摺り下ろしトップになる、格好の機会なのに!! どうして切望していたチャンスをフイにする!?――。
絶対に裏切りはしない。そのように確信していたヘクターは目を剥き、そんな彼はまもなく鼻で嗤われてしまいました。
「裏切る? わたくしは、一度も貴男を裏切ってなんていませんわ。だってそもそも、一瞬たりとも貴男の仲間になってはいないんですもの」
「んなっ!? な、なんだと!?」
「あのね、わたくしは落ち着いた状況下で――これまで通りの状況下で、サラ様と正々堂々勝負をしたかっただけですの。ですからそうできるように、話を合わせていただけなのですわ」
すべては、演技だった。
すべては、思い違いだった。
自分は最も協力を要請してはいけない人間に、接触していた。
ようやく事実を理解したヘクターは未曽有の立ち眩みに襲われ、おもわずその場に崩れ落ちてしまいます。
((……終わった……。もう、終わりだ……。強制的に、退学させられてしまう……))
ここまでバレたら籍を残しておけるはずがない――。それどころか収監、追放まで待っている――。こんなことになるなんて――。これからどうすればいい――。などなど。一瞬にして頭の中が様々なもので満たされ、ヘクターは頭を抱えます。
ですが彼を襲う『ショック』は、これだけではなく――
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