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第10話 真実~本物~(1)
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((……また全部トップ……! どうやったら、サラ・ローティシアルを失墜させられるのよ……!))
女子生徒専用寮の、202号室。その室内では部屋の住人であるオドレイ・フレアンラが、いつものように舌打ちをしていました。
オドオドしていて臆病な、小動物然とした性格。
柔らかさに溢れた振る舞い。
それらは全てが、偽り。
常に他者を見下す、野心に満ちた女。それが、オドレイの本性でした。
((アイツさえいなくなれば、2回生の頂点も夢じゃないのに……っ。ホント邪魔……!!))
学院の主席卒業は大きな箔となり、更に子爵家の人間の獲得は史上初の快挙となります。そのためオドレイは入学時からソレを狙っており、ですが、同学年には圧倒的な存在がいました。
――アリーヌくらいなら最終的には抜けるだろうけど、どうやってもサラは抜けない――。
――サラは別格――。
1年間のテストなどでオドレイはそう痛感し、努力での首位獲得を断念。自分がのぼるのではなく、ライバルを引き摺り下ろすことで頂点に立つと決めていたのでした。
((人気があるせいで、悪評を流しても意味はなかったし……。あっちの方が地位が上だから、圧力もかけられないし……。どうすればいいのよっ!!))
チッ、チッ、チッ!
足を組みふんぞり返って椅子に座り、舌を何度も何度も鳴らす。今日もまたオドレイは『定番』のアクションを行いつつ、蹴落とす方法を探します。
ですが結局今回も有益なものが見つからず、時間が来たため部屋を後にして外に停まっていた馬車に乗り込みました。
((きっと、サラと同じ建物で考えているから名案が浮かばないのよ。この続きは、お屋敷に戻ってからにしましょ))
明日から春休みで、両親の要望により2週間の帰省が決まっていました。
彼女にとって両親は、生真面目で鬱陶しい人間。一緒にいてもつまらないため拒否したかったのですが、今回は格上の友人からパーティーの招待状が届いていました。
ですので仕方なくフレアンラ子爵邸に戻り、
((チッ、チッ。ああもう、全然浮かばないわっ!))
やはりそこでも名案が閃くことはありませんでしたが、帰省してから3日後のことでした。帰省の一番の理由であるパーティーに参加したことで、状況は一変することになるのでした――。
((あら? あそこにいるのは、ヘクター様だわ))
女子生徒専用寮の、202号室。その室内では部屋の住人であるオドレイ・フレアンラが、いつものように舌打ちをしていました。
オドオドしていて臆病な、小動物然とした性格。
柔らかさに溢れた振る舞い。
それらは全てが、偽り。
常に他者を見下す、野心に満ちた女。それが、オドレイの本性でした。
((アイツさえいなくなれば、2回生の頂点も夢じゃないのに……っ。ホント邪魔……!!))
学院の主席卒業は大きな箔となり、更に子爵家の人間の獲得は史上初の快挙となります。そのためオドレイは入学時からソレを狙っており、ですが、同学年には圧倒的な存在がいました。
――アリーヌくらいなら最終的には抜けるだろうけど、どうやってもサラは抜けない――。
――サラは別格――。
1年間のテストなどでオドレイはそう痛感し、努力での首位獲得を断念。自分がのぼるのではなく、ライバルを引き摺り下ろすことで頂点に立つと決めていたのでした。
((人気があるせいで、悪評を流しても意味はなかったし……。あっちの方が地位が上だから、圧力もかけられないし……。どうすればいいのよっ!!))
チッ、チッ、チッ!
足を組みふんぞり返って椅子に座り、舌を何度も何度も鳴らす。今日もまたオドレイは『定番』のアクションを行いつつ、蹴落とす方法を探します。
ですが結局今回も有益なものが見つからず、時間が来たため部屋を後にして外に停まっていた馬車に乗り込みました。
((きっと、サラと同じ建物で考えているから名案が浮かばないのよ。この続きは、お屋敷に戻ってからにしましょ))
明日から春休みで、両親の要望により2週間の帰省が決まっていました。
彼女にとって両親は、生真面目で鬱陶しい人間。一緒にいてもつまらないため拒否したかったのですが、今回は格上の友人からパーティーの招待状が届いていました。
ですので仕方なくフレアンラ子爵邸に戻り、
((チッ、チッ。ああもう、全然浮かばないわっ!))
やはりそこでも名案が閃くことはありませんでしたが、帰省してから3日後のことでした。帰省の一番の理由であるパーティーに参加したことで、状況は一変することになるのでした――。
((あら? あそこにいるのは、ヘクター様だわ))
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