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第14話 夢(2)
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((サラ様が、移動した……!?))
突然のことでした。隣にあるもう一つの道を走っていたサラが消え、その姿はアリーヌの隣に現れたのです。
「はあ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ」
((さっきまで隣の道を走っていて、しかも前に居たのに……!? どうなっていますの――っっ!? どう、して……!?))
アリーヌが再び驚いてしまった理由、それはサラにありました。
右隣に現れたサラは、アリーヌを見るや表情が変化。ずっと真剣だった顔に更なる気合が満ち、ただでさえ速かったスピードが更に増し始めたのです。
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((さっきまでも異様だったのに、もっとスピードが上がっているなんて! 上がり続けているだなんて!! なんなんですの……っ!?))
実力を隠し持っていた!? いいえ出し惜しみをしている雰囲気はなかった! 一体何があったんですの!?
あっという間に頭の中は疑問で埋め尽くされてしまい、だからだったのでしょう――。アリーヌはまだ、もう一つ起きていた変化に気付いてはいませんでした。
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((こんなスピード、ありえませんわ……!! あまりにも、速すぎますわ……!!))
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((まるで、疾風や流星のよう……! なにがどうなったら、突然こんな風になれてしまいますの……!? 分からないっ、分かりませんわ!! サラ様に一体なにが起きて――…………。……………………))
突如サラに起きた変化。その理由を必死になって探していたアリーヌは、急に眼を見開き静かになりました。
なぜならば――
そんな異常なスピードで走るサラに、離されていない。
それどころか、一度離れていた距離は段々縮まってきていた。
そう、気付いたからです。
((さっきは間違いなく限界に到達していて、その状態で負けていたのに……。今のサラ様は、その時よりも更に速く走っているのに……。どう、なっていますの……!?))
おかしいのは、あちらだけじゃない。こちらもだった――。
事実を認識したことによってアリーヌはますます『謎』に襲われるようになり、走りながら『変化』が起きるまでの状況を振り返ります。そして、その状態が5分近くも続いて――
「……………………あら? ここは、わたくしの部屋……?」
アリーヌはベッドで仰向けになっている状態で、ぱちりと目を覚ましました。
「……さっきまで外で走っていたのに、室内でベッドの中にいる……。…………あれは、夢だったんですのね」
息は乱れていないこと。汗をかいていないこと。明かりを消してベッドに入っていたこと。それらによって夢の中での出来事だったと理解をし、それによって――。アリーヌは、もう一つ、理解をしていました。
「…………そう、そういうことだったんですのね。ようやく理解できましたわ、なにもかも」
ベッドからゆっくりと下りたアリーヌは、上――312号室を見つめます。そうしてその方向に微苦笑を送り、静かにこう口を動かしたのでした。
「サラ様。わたくし、3か月後が――最後の試験の訪れが、ますます楽しみになりましたわ。きっと、学院中が大騒ぎになりますわよ」
突然のことでした。隣にあるもう一つの道を走っていたサラが消え、その姿はアリーヌの隣に現れたのです。
「はあ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ。はあっ」
((さっきまで隣の道を走っていて、しかも前に居たのに……!? どうなっていますの――っっ!? どう、して……!?))
アリーヌが再び驚いてしまった理由、それはサラにありました。
右隣に現れたサラは、アリーヌを見るや表情が変化。ずっと真剣だった顔に更なる気合が満ち、ただでさえ速かったスピードが更に増し始めたのです。
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((さっきまでも異様だったのに、もっとスピードが上がっているなんて! 上がり続けているだなんて!! なんなんですの……っ!?))
実力を隠し持っていた!? いいえ出し惜しみをしている雰囲気はなかった! 一体何があったんですの!?
あっという間に頭の中は疑問で埋め尽くされてしまい、だからだったのでしょう――。アリーヌはまだ、もう一つ起きていた変化に気付いてはいませんでした。
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((こんなスピード、ありえませんわ……!! あまりにも、速すぎますわ……!!))
「はあっ! はあっ! はっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
((まるで、疾風や流星のよう……! なにがどうなったら、突然こんな風になれてしまいますの……!? 分からないっ、分かりませんわ!! サラ様に一体なにが起きて――…………。……………………))
突如サラに起きた変化。その理由を必死になって探していたアリーヌは、急に眼を見開き静かになりました。
なぜならば――
そんな異常なスピードで走るサラに、離されていない。
それどころか、一度離れていた距離は段々縮まってきていた。
そう、気付いたからです。
((さっきは間違いなく限界に到達していて、その状態で負けていたのに……。今のサラ様は、その時よりも更に速く走っているのに……。どう、なっていますの……!?))
おかしいのは、あちらだけじゃない。こちらもだった――。
事実を認識したことによってアリーヌはますます『謎』に襲われるようになり、走りながら『変化』が起きるまでの状況を振り返ります。そして、その状態が5分近くも続いて――
「……………………あら? ここは、わたくしの部屋……?」
アリーヌはベッドで仰向けになっている状態で、ぱちりと目を覚ましました。
「……さっきまで外で走っていたのに、室内でベッドの中にいる……。…………あれは、夢だったんですのね」
息は乱れていないこと。汗をかいていないこと。明かりを消してベッドに入っていたこと。それらによって夢の中での出来事だったと理解をし、それによって――。アリーヌは、もう一つ、理解をしていました。
「…………そう、そういうことだったんですのね。ようやく理解できましたわ、なにもかも」
ベッドからゆっくりと下りたアリーヌは、上――312号室を見つめます。そうしてその方向に微苦笑を送り、静かにこう口を動かしたのでした。
「サラ様。わたくし、3か月後が――最後の試験の訪れが、ますます楽しみになりましたわ。きっと、学院中が大騒ぎになりますわよ」
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