悪役?令嬢の矜持

柚木ゆず

文字の大きさ
37 / 41

第15話 最後の結果発表と 俯瞰視点(1)

しおりを挟む
「「「「「……………………」」」」」
「「「「「……………………」」」」」

 今日は、3回生にとって最後となる試験の結果が発表される日。大事な大事なテストの成績が貼り出された掲示板の前では、大勢の生徒が唖然となっていました。
 なぜかというと――

《サラ・ローティシアル 895点/900点》

 これまで1位を守り続けたサラが、9教科中4教科で満点を取るというあり得ない成績を叩き出し――

《アリーヌ・サフェタンエス 895点/900点》

 同様の『奇跡』を起こした人が、もう一人いたから。
 今後塗り替えられることはまずない記録を、2人同時に打ち立てた――学院に新たなる歴史が刻まれた瞬間に立ち会ったため、一様にそんな表情になっていたのです。

「す、すごい……。あり得ないに、あり得ないが重なった……」
「満点を取らせないテストで、4教科も満点だなんて……。しかも、同時に……」
「夢を、見ているみたいですわ……」
「……掲示板の前で腰を抜かしている方がいて、不思議に思っていましたが……。納得ですわ……」
「え、ええ……。当事者ではなくとも、震えてしまいますわ……」

「サラ様は、ついに目的を果たされましたのね……! さすが、ですわ……っ」
「アリーヌ様も、達成されましたわね。今日は、お喜びになられているお姿をお目に――あら? アリーヌ様のお姿がありませんわね? どちらにいらっしゃるのでしょうか……?」
「アリーヌ様なら成績を確認されたあと、サラ様と一緒にどこかに行(ゆ)かれましたわよ。少ししたら戻ると仰られていましたわ」
「そう、なんですのね。……なにをされているのかしら……?」

 同時1位を確認後、その場を一旦去った2人。アリーヌとサラは校舎裏という、人気(ひとけ)のない落ち着いた場所にいて――

「サラ様。今のわたくしがあるのは、貴女のおかげですわ」

 アリーヌは姿勢を正し、サラに感謝を告げていたのでした。

しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 第13回恋愛小説大賞に参加しています。応援投票・応援お気に入り登録お願いします。  王太子と婚約させられていた侯爵家令嬢アルフィンは、事もあろうに社交界デビューのデビュタントで、真実の愛を見つけたという王太子から婚約破棄を言い渡された。  本来自分が主役であるはずの、一生に一度の晴れの舞台で、大恥をかかされてしまった。  自分の誇りのためにも、家の名誉のためにも、報復を誓うのであった。

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

婚約破棄をした相手方は知らぬところで没落して行きました

マルローネ
恋愛
伯爵令嬢だったアンネリーは婚約者であり、侯爵でもあるスティーブンに真実の愛がどうたらという理由で婚約破棄されてしまった。 悲しみに暮れたアンネリーだったが、偶々、公爵令息のジョージと再会し交流を深めていく。 アンネリーがジョージと楽しく生活をしている中、真実の愛に目覚めたらしいスティーブンには様々な災厄? が降りかかることになり……まさに因果応報の事態が起きるのであった。

第一王子は男爵令嬢にご執心なようなので、国は私と第二王子にお任せください!

黒うさぎ
恋愛
公爵令嬢であるレイシアは、第一王子であるロイスの婚約者である。 しかし、ロイスはレイシアを邪険に扱うだけでなく、男爵令嬢であるメリーに入れ込んでいた。 レイシアにとって心安らぐのは、王城の庭園で第二王子であるリンドと語らう時間だけだった。 そんなある日、ついにロイスとの関係が終わりを迎える。 「レイシア、貴様との婚約を破棄する!」 第一王子は男爵令嬢にご執心なようなので、国は私と第二王子にお任せください! 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください

satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。 私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

婚約破棄されてすぐに新しい婚約者ができたけど、元婚約者が反対してきます

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私ミレッサは、婚約者のウルクに罪を捏造されて婚約破棄を言い渡されてしまう。    私が無実だと友人のカインがその場で説明して――カインが私の新しい婚約者になっていた。  すぐに新しい婚約者ができたけど、元婚約者ウルクは反対してくる。  元婚約者が何を言っても、私には何も関係がなかった。

完 これが何か、お分かりになりますか?〜リスカ令嬢の華麗なる復讐劇〜

水鳥楓椛
恋愛
 バージンロード、それは花嫁が通る美しき華道。  しかし、本日行われる王太子夫妻の結婚式は、どうやら少し異なっている様子。 「ジュリアンヌ・ネモフィエラ!王太子妃にあるまじき陰湿な女め!今この瞬間を以て、僕、いいや、王太子レアンドル・ハイリーの名に誓い、貴様との婚約を破棄する!!」  不穏な言葉から始まる結婚式の行き着く先は———?

処理中です...