悪役?令嬢の矜持

柚木ゆず

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エピローグ 二人の関係は?(2)

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 今やすっかりヴィンザータの有名人となり、多忙な時を過ごしているアリーヌとサラ。そんな二人でしたが、

「ごきげんよう、サラ様」
「ごきげんよう、アリーヌ様」

 今でもしっかりと、あの日生まれた縁で――強い絆で、結ばれていたままでした。
 最低でも、月に1回。二人は空いた時間を利用し、どちらかのお屋敷で会っていました。

「ふふ。貴女の子ども達は、いつ見ても可愛らしいですわね。優しい目をして、真っすぐな心を持っている。どちらもよいレディーになりますわ」
「痛み入ります。サンジェルマン様、テオ様は、更に凛とされましたね。すでに風格をお持ちで…………覇気を感じております」

 4人で仲良く遊ぶ子ども達の姿を眺めながら、本心の会話とお茶を楽しむ。いつもそういった時間が流れ――。
 そして毎回もう一つ、二人ならではの時間も流れます。

「新たな、それも画期的な流通システムを構築している。そう聞きましたわよ。……やりますわね」
2つ南に位置する隣国ダジュラルとの、国交回復。その裏には、アリーヌ様の橋渡しがあったと小耳に挟みました。……さすがでございます」

「またいつの間にか、活躍をしていた。それでこそサラ様ですわ」
「また、ご活躍をされていた。相変わらずの勢い、敬服いたします」

 もう一つの時間。それは、ライバルから刺激を受ける時間。
 アリーヌは、国の更なる発展。サラは『家』や領地の更なる発展、領民の更なる安定。それぞれの目的を更に果たせるように、更なる高みへとのぼれるように、こうして直接刺激を得ていたのです。

 かつては同じ道の上で研磨し合い、現在は異なる道を並走しながら、研磨し合っていたのです。

「…………サラ様。貴女のおかげで、更に活力が漲ってきましたわ」
「…………アリーヌ様。貴方様のおかげで、より力が湧いてきました」

 ――だから、更に『上』を目指せる――。

 計2時間ほどのお喋りが終わり、サラが去る時――別れの時。今日も二人は、それぞれ性質が現れた微笑を浮かべます。
 そして――

「「いつも、ありがとうございます」」

 今日も二人は口元を緩めながら固く握手を交わし、再びそれぞれの道を走り始めるのでした。
 今後も、いつまでも。二人はライバルであり友であり続け、歴史に新たなる功績を刻み続けるのでした――。
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感想 52

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みんなの感想(52件)

nicole
2025.11.25 nicole

素晴らしい作品でした。ありがとうございました。

解除
キッシー
2022.06.06 キッシー

最の高ッッッ...!!!アリーヌ様かっこよ!!!
女の熱い友情物語が大好きなので、もうドストライクでした。面白かったです!ありがとうございました!

解除
ぱら
2022.06.03 ぱら
ネタバレ含む
2022.06.04 柚木ゆず

ぱら様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

最初はああいった関係だった、アリーヌとサラ。二人の関係はあの出来事によってこう変化をし、その中で、互いの『心』も大きく変化をしてゆきました。
その結果、どちらももっともっと、上を目指せるようになって。

これからも、ずっと。いつまでも。
刺激を受け合い、さらに高い場所へと進んでゆくのだと思います……!

解除

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