前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず

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エピローグその2 1年後~約束~ 俯瞰視点(7)

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「占い師さん。実は言いますと、こういったことは得意なのですよ。私達は」

 メリーが口をパクパクとさせていると、品の良いウィンクがやってきました。

「と、得意……? それは、どういう……?」
「この方と私は現在夫婦ですが、それだけではないんです。前世でも、私達は夫婦だったのですよ」

 とある国で生まれて恋をして、結婚をして。幸せな時を何十年も過ごして、やがて病に襲われて。最期に約束を交わして、別れた。
 エレーヌは現在に関することは全て伏せた状態で、過去に起きた出来事を伝えました。

「ですので『常識外』はお馴染みとなっておりまして、しかも今世で改めて約束してくださったのですよ。『今度こそ絶対に、一生涯幸せにしてみせる』と」
「あんなにも喜んでもらえたのだから、今更反故にするわけにはいきません。それになにより、もうあのような思いをさせるのは嫌ですからね。貫きました」
「…………は、ははは、そうじゃかったか。成程。どうりで常識が通用せんのじゃな」

 前世の記憶の覚醒、時を超えての再会。それらは荒唐無稽なものでしたが、メリーはすでに荒唐無稽な現実を目の当たりにしています。ですのでたまらず脱力しながら、愉快に喉を鳴らしました。

「まさか声をかけた者に、そんな過去があったとはのぅ。こんな能力がある故に不可思議を知り尽くしたと思っておったが、それは大間違いだったわい。こんなにも驚いたのは、生まれて初めてじゃ!」

 メリーは心優しき、善なる者の幸せを願う占い師。そのため我が事のように喜び、エレーヌとリュドヴィックを順に見つめました。

「じゃったら、余計な言葉は不要じゃな。お二人さん、お幸せにの」
「ありがとうございます。占い師さんも、お幸せに」
「感謝いたします。占い師殿のお幸せも、心から願っております」

 そうして3人は笑顔を交わし合って別れ、メリーは後ろにある椅子に腰を下ろし、リュドヴィックとエレーヌははずれに停めてある馬車を目指し始めます。
 そして二人は――

「もし今後こういったことがあっても、また今回みたいに跳ね返すから。安心していてね、エレーヌ」
「はい。いつまでも、信じさせていただきます」

 馬車に乗り込むと微笑み合い、そっと口づけを交わしたのでした――。













 ※今回のお話で本編は完結となり、明日(13日)からはあの4人が登場する、番外編を投稿させていただきます。
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