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第16話 逆監視最終日 監視前 ひまわり畑にて (2)
しおりを挟む『本日は趣向を凝らしてみました。喜んでいただけると幸いです』。
バスケットを開けるとこんなメッセージカードが入っていて、その下にはサンドウィッチが入っていました。
今回のサンドはチーズ入りのオムレツとレタスを挟んだものなのですが、具材の形状がとてもユニークです。レタスの上にあるオムレツがひまわりの形になっていて、まるでひまわりが挟まっているようでした。
「確かに、趣向を凝らしてますっス。これはますます、ありがたく頂かないといけないっスね」
「です、ね。お二人に感謝をしつつ、いただきましょう」
揃って神殿の方向に一礼をして、一緒にパクっと頬張ります。
もぐもぐとお口を動かすと…………オムレツとレタス、ケチャップの三位一体な味わいが口内に広がり、更にです。今朝は景色とラズフ様の存在もあるため、自然と頬が緩みました。
「ウマっ! オムレツの固さが時間の経過を計算されてて、絶妙っス。味も食感も100点満点っスよっ」
「本当に、美味しいですよね。ラズフ様、もう一つどうぞ」
「どうもっス。ミウヴァ様も、どうぞっスよ」
私達は差し出し合い、もう一度一緒にパクリと食べます。
今日は目を閉じると、お二人のお顔が浮かんできます。ミーシャ様、サニア様。お二人の真心、受け取らせていただきました。
「うーん、二つ目も美味っス――っておわっ!? ケチャップがはみ出たっス!?」
「食べる角度を誤ると、なりますよね。ちょっとお待ちください」
ポケットからハンカチを出して、胸元についたケチャップを拭います。
『ぁっ!? しまったっ!』
『もう、貴男はいつもいつも……。まったく、世話が焼ける人ね』
小さな頃はお父様もよくラズフ様のようになっていて、いつもお母様が私のような事をしていました。
今は、なんだかそれがこそばゆくて。つい、クスリとしてしまいます。
「わざわざスイマセンっスよ。ミウヴァ様がこうなった時は、バッチリ拭かせてもらいますっスねっ」
「……はい。お願いしますね……っ」
「ええ? どうしてニコニコされてるんスか?」
「なんでも、ありませんよ」(無性に嬉しかっただけです)
最後は小さく呟いてハンカチを仕舞い、楽しい時間はまだ続きます。
お礼をしようと目を光らせているラズフ様を笑ったり、そちらに夢中でまたケチャップがついてしまったラズフ様を笑ったり。何回も何回も笑顔のお花が咲いて朝食は進み、あっという間に帰る時が訪れました。
「もう少し滞在できれば、なんスけどね。スンマセンっス」
「ヒヒ―ン……っ」
「ラズフ様とキャロート様がいらっしゃらなければ、訪れる事さえ叶いませんでした。御二方には感謝しかありませんよ」
時間切れになっても、悲しさなどマイナスな感情はありません。心の中にあるのは、喜びなどプラスの感情のみです。
「『時間』と『思い出』は、比例しないみたいですね。素敵な時間をありがとうございましたっ」
「……それなら、よかったス。ではではスッキリした気持ちで、帰りの部の開幕っスっ。お祈りの時間に遅れたら大変だし、今日はそのあとに一大イベントがあるっスからね。キャロートさん、頼んだっスよっ!」
「ヒヒンっ。ヒヒ―ンっ!」
私達は元気よく返事をしてくださったキャロート様に乗り、数十分前に来た道を戻ります。
仰る通り、本日はまだまだ大忙しですね。殿下達は一体、どのような反応をされるのでしょうか?
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