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第1話 豹変、激昂、豹変(2)
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「…………僕のものになるつもりは、ない? 地獄を味わうつもりも、ない? はははっ、はははははははっ! お前は何を言っているんだっ?」
お返事を行って、7秒ほどが経過した頃でした。キョトンとなっていたリエズン様は、プッと噴き出しました。
「そうか、そうかそうか! 下級貴族にとって上級貴族は、雲の上のような存在っ。上級がどれほどまでの力を擁しているのか、正しく把握できていらっしゃらないんだな。必死に応戦すればどうにかできる、そう思っているんだなっ!」
なら特別に、僕が教えてやろうじゃないか――と。お腹を抱えて笑っていたリエズン様は、涙を拭って大きくため息をつかれました。
「お前達と同じ『貴族』で括られてはいるものの、別格の存在。分かりやすく例えるなら、ゾウとアリだな。どちらも生き物ではあるが、サイズ、パワーなどなど、あらゆる点で大きな差がある。この両者の違いが、そっくりそのまま侯爵家と子爵家の違いとなるのさ」
「………………」
「そのため――これから僕が、お前達を消したとしよう。そうしてうっかり、治安局に犯行がバレてしまったとしよう」
彼は私とアダンお父様の首を切るジェスチャーを取り、ほくそ笑みつつ首を傾けました。
「アルマ。治安局は、どういった機関だったかな?」
「あらゆるものの影響を受けない、完全なる第三者機関、中立機関です。貴族であっても――王族であったとしても、捜査などに介入できません」
「そう、その通り。しかしながら上級貴族には圧倒的な地位と財、パイプがある。それらを使えばあっさりと介入ができてしまい、もみ消せるのさ」
知らなかっただろう? もしもの時の隠し玉として持っているから、黙っていただけなのさ――。そう、得意げに仰られました。
「つまり僕は何をしてもノーダメージで、ゾウがアリを踏み潰すのは容易いだろう? 残念ながら、さっきの言葉は全てがハッタリじゃない。我がリエズン侯爵家がその気になれば、レンザ―子爵家などあっという間に崩壊させられるんだよ」
「……確かに、そうですね。その通りです」
「ふぅ、ようやく理解できたらしい。では改めて、問うとしよう。……アルマ。俺のものになりたいか、なりたくないか。どっちだ?」
生意気な女を屈服させたい。そんな感情がたっぷりと込められた、嫌みな選択肢を突きつけられてしまいました。
……改めて、思いますね。この方が目を付けたのが、私でよかったと。
「…………リエズン様。私が知らなかったことを教えていただいたお礼に、こちらも貴方が知らないことを一つお教えいたしましょう」
「おい、僕はどっちだと聞いて――ん? 何を取り出しているんだ……? 急にペンダントを服の上に出して、どうするつもり――…………」
舌打ちをしていた彼の動きが、ぴたりと止まりました。
すぐさま答えさせたかった人が、こうなってしまった理由。それは私がつけていたペンダントには、剣とライオンの紋章が――レテアニア公爵家の紋が、刻まれているからです。
お返事を行って、7秒ほどが経過した頃でした。キョトンとなっていたリエズン様は、プッと噴き出しました。
「そうか、そうかそうか! 下級貴族にとって上級貴族は、雲の上のような存在っ。上級がどれほどまでの力を擁しているのか、正しく把握できていらっしゃらないんだな。必死に応戦すればどうにかできる、そう思っているんだなっ!」
なら特別に、僕が教えてやろうじゃないか――と。お腹を抱えて笑っていたリエズン様は、涙を拭って大きくため息をつかれました。
「お前達と同じ『貴族』で括られてはいるものの、別格の存在。分かりやすく例えるなら、ゾウとアリだな。どちらも生き物ではあるが、サイズ、パワーなどなど、あらゆる点で大きな差がある。この両者の違いが、そっくりそのまま侯爵家と子爵家の違いとなるのさ」
「………………」
「そのため――これから僕が、お前達を消したとしよう。そうしてうっかり、治安局に犯行がバレてしまったとしよう」
彼は私とアダンお父様の首を切るジェスチャーを取り、ほくそ笑みつつ首を傾けました。
「アルマ。治安局は、どういった機関だったかな?」
「あらゆるものの影響を受けない、完全なる第三者機関、中立機関です。貴族であっても――王族であったとしても、捜査などに介入できません」
「そう、その通り。しかしながら上級貴族には圧倒的な地位と財、パイプがある。それらを使えばあっさりと介入ができてしまい、もみ消せるのさ」
知らなかっただろう? もしもの時の隠し玉として持っているから、黙っていただけなのさ――。そう、得意げに仰られました。
「つまり僕は何をしてもノーダメージで、ゾウがアリを踏み潰すのは容易いだろう? 残念ながら、さっきの言葉は全てがハッタリじゃない。我がリエズン侯爵家がその気になれば、レンザ―子爵家などあっという間に崩壊させられるんだよ」
「……確かに、そうですね。その通りです」
「ふぅ、ようやく理解できたらしい。では改めて、問うとしよう。……アルマ。俺のものになりたいか、なりたくないか。どっちだ?」
生意気な女を屈服させたい。そんな感情がたっぷりと込められた、嫌みな選択肢を突きつけられてしまいました。
……改めて、思いますね。この方が目を付けたのが、私でよかったと。
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「おい、僕はどっちだと聞いて――ん? 何を取り出しているんだ……? 急にペンダントを服の上に出して、どうするつもり――…………」
舌打ちをしていた彼の動きが、ぴたりと止まりました。
すぐさま答えさせたかった人が、こうなってしまった理由。それは私がつけていたペンダントには、剣とライオンの紋章が――レテアニア公爵家の紋が、刻まれているからです。
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