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第2話 なぜ?(1)
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「そ、それは……。レテアニア公爵家の、筆頭公爵家の紋章……。どうしてお前が、それを所持しているんだ……!?」
さっきまでの勝ち誇った顔は、もうどこにもありません。リエズン様は口をぽかんと開け、震える指で私の胸元を指さしました。
これで指さしは、今日3度目。本当に、指をさすことがお好きな方ですね。
「もっ、もしや!! レンザー子爵家はレテアニア公爵家がバックにいるというのか!? レンザー卿っ!! そうなのか!?」
「…………そちらは、わたくしの口からお話すべき問題ではありません」
「リエズン様。その件はアダンお父様ではなく、私が説明を致します」
恐らくは、準備を行ってくださるのでしょう。退室をされたお父様に一礼したあと、私は正面へと向き直りました。
「お待たせいたしました。先ほどのご質問ですが、答えはイエスです。実を申し上げますとレンザ―子爵家は代々レテアニア公爵家に仕えており、それによって深い関係にあります」
「や、やはりそうだったのか……っ。くそ……っ。あの態度はそれが理由か……! 筆頭公爵家が庇ってくれるから、ずっと落ち着いていたのか……っ!」
「いいえ、そちらは違いますよ。私はそういった理由で、落ち着いていたのではありません」
その推理は、不正解。大はずれです。
「違う、だって……!? じゃっ、じゃあなんなんだ!? それ以外あり得ないだろう!? どうしてなんだ!?」
「私が動じていない理由。それは――私をじっくりとご覧になっていただけたら、ご理解できると思いますよ」
「……は? は……っ?」
「リエズン様。貴方様はあの日の夜会で、初めて私を目にした。そう仰られましたね?」
その際に興味を持ち、ダンスによって気持ちが確固たるものとなった。そのように、仰られましたよね?
「あ、ああ。そう、だ。それが、なんなんだ……?」
「そちらですが、大きな間違いなのですよ。私はそれよりもずっと前に、貴方にお会いしているのですよ。……この姿に、見覚えはありませんか?」
肩まで伸ばしたブラウンの髪を――ウィッグを外し、常に少し大きめに開いていた目を戻し、メイクの一部を落として胸の詰め物を取ります。そうして本来の私の姿をお見せすると、
「ぁ、ぁぁ……。お前は――貴方様は……っ。ティナ、様……!!」
ようやく、お気づきになられたようですね。
アルマ・レンザ―は、私のもう一つの名前。本当のわたくしは、ティナ。レテアニア公爵家の二番目の子ども、長女なのです。
さっきまでの勝ち誇った顔は、もうどこにもありません。リエズン様は口をぽかんと開け、震える指で私の胸元を指さしました。
これで指さしは、今日3度目。本当に、指をさすことがお好きな方ですね。
「もっ、もしや!! レンザー子爵家はレテアニア公爵家がバックにいるというのか!? レンザー卿っ!! そうなのか!?」
「…………そちらは、わたくしの口からお話すべき問題ではありません」
「リエズン様。その件はアダンお父様ではなく、私が説明を致します」
恐らくは、準備を行ってくださるのでしょう。退室をされたお父様に一礼したあと、私は正面へと向き直りました。
「お待たせいたしました。先ほどのご質問ですが、答えはイエスです。実を申し上げますとレンザ―子爵家は代々レテアニア公爵家に仕えており、それによって深い関係にあります」
「や、やはりそうだったのか……っ。くそ……っ。あの態度はそれが理由か……! 筆頭公爵家が庇ってくれるから、ずっと落ち着いていたのか……っ!」
「いいえ、そちらは違いますよ。私はそういった理由で、落ち着いていたのではありません」
その推理は、不正解。大はずれです。
「違う、だって……!? じゃっ、じゃあなんなんだ!? それ以外あり得ないだろう!? どうしてなんだ!?」
「私が動じていない理由。それは――私をじっくりとご覧になっていただけたら、ご理解できると思いますよ」
「……は? は……っ?」
「リエズン様。貴方様はあの日の夜会で、初めて私を目にした。そう仰られましたね?」
その際に興味を持ち、ダンスによって気持ちが確固たるものとなった。そのように、仰られましたよね?
「あ、ああ。そう、だ。それが、なんなんだ……?」
「そちらですが、大きな間違いなのですよ。私はそれよりもずっと前に、貴方にお会いしているのですよ。……この姿に、見覚えはありませんか?」
肩まで伸ばしたブラウンの髪を――ウィッグを外し、常に少し大きめに開いていた目を戻し、メイクの一部を落として胸の詰め物を取ります。そうして本来の私の姿をお見せすると、
「ぁ、ぁぁ……。お前は――貴方様は……っ。ティナ、様……!!」
ようやく、お気づきになられたようですね。
アルマ・レンザ―は、私のもう一つの名前。本当のわたくしは、ティナ。レテアニア公爵家の二番目の子ども、長女なのです。
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