格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう

柚木ゆず

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第2話 なぜ?(2)

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「な、なぜ……。なぜ、貴方様のような御方が……。子爵家に……?」
「貴方のような――貴方達リエズン家のような方々が、国内に存在していらっしゃるからですわ」

 もう隠す必要はありませんものね。意図的に低くしていた声音を元の高さに戻し、口調も本来のもので説明をさせていただきました。


 貴族の中には『格上の発言は絶対』や『格下には何をしてもいい』、そう思っていらっしゃる方々がいます。そしてそういった者達ほどに本性を隠し、陰で悪事を働き我を通そうとされます。
 そこで『問題児』を特定し、力なき者達に魔の手が伸びないようにする。国の安定安泰を維持するための行動、その一環として、わたくしは行動しておりました。


「公爵家の人間が近くにいたら、警戒してどなたも本性を出しはしません。そのためそうならない地位を纏い、各貴族を間近で観察、確認を行っているのですわ。7歳の頃から――11年前から、王命によって」

 陛下は常々、上位~中位貴族の『悪心』を懸念されていました。そこで盟友であるお父様――レテアニア公爵に相談し、演劇に深く興味を持っていたわたくしに――変装を得意とする娘に注目が集まり、わたくしはアルマ・レンザ―の名を持つようになりました。
 公爵家令嬢と子爵家令嬢。2人の人間として生きることとなったのですわ。

「そ、そんなにも、前から……。気付かな、かった……」
「同一人物だと悟られてしまえば、お仕舞となってしまいますでしょう? 2人は別人だと認識していただけるように、日々活動していましたの」

 基本的には月、火、木、日はティナとして、水、金、土はアルマとして、公務、夜会やお茶会に参加しています。
 陛下やお父様のバックアップがあるとはいえ、両方の存在を維持するのは大変なこと。けれど力を持つ者には、持たない者、弱き者を守る義務がありますものね。わたくしが愛するこの国がいつまでも良いものであり続けられるよう、今後も走り続けてゆく所存ですわ。

「あの日はアルマを演じる日で、貴方はそんなわたくしに興味を持たれた。そして最終的にはこのような言動となり、『本性』を曝け出しました」
「そ、それは……。もっ、申し訳ございません!! 猛省しております!! 以後は考えを改めっ、真っ当な人間となります故っ!! どうかっ、どうか不問に――」
「残念ながら、不問に付すことはできません。貴方には――貴方がた親子には、罰を受けていただかなければなりませんわ」

 改心する。
 人の心は見えず、そちらは口だけという可能性がありますのものね。これからとあることを、行っていただきますわ。

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