格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう

柚木ゆず

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第4話 逃げる! バチスタ・リエズン視点(1)

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((大丈夫っ、大丈夫だ!! 上手くいくっ! 僕は逃げ切れる!!))

 応接室を飛び出したあと。心の中でソレを繰り返しながら、廊下を疾走していた。
 これはっ、願望なんじゃない! 希望的観測でもないっ! 事実っ、なんだ!!

「きゃあ!?」
「なあ!?」

 真横を全力で通り過ぎてゆく僕を見て、使用人の女は腰を抜かし、家令のジジイは固まってしまっている。
 そう! これだ! これなんだ!! 人は予想外の出来事を目にした際は、おもわず戸惑ってしまうんだ!!

((そこを活かせば……! 簡単に屋敷から出られる!! 馬車へと乗り込めるっ!!))

 そうして僕は廊下を駆け抜け、

「どけぇ!! どけどけどけどけっ!! そこをどけぇぇぇぇ!!」

 エントランスにいた使用人2人を同じように無力化し、扉を開け放って外へと飛び出すっ! そして――

「邪魔だあああああああああああああああああああああ!!」

 ――外に居た人間の動きも止め、我が家(いえ)の馬車へと走る!!
 今度は、太陽の下を疾駆。四肢を死に物狂いで動かして――よし! 馬車にたどり着いたぞ!!
 あとはっ、

「リック!! 出せ!! 馬車を出せ!! とにかく出して国境へと向かえ!!」

 狼狽している御者に指示を出し、車に乗り込むべくステップに足を載せる。
 貴族籍があれば、簡単に越境できるからな!! レテアニア様からの指令が伝わる前に、国外へと脱出する!!

((大丈夫っ、大丈夫だっ!! ここからも、上手くいくっ! 僕は逃げ切れる!!))

 再び『事実』を唱え、自ら馬車の扉を開ける。そうして体を滑り込ませるようにして乗り込み、扉を閉め――

「おや? リエズン様? もうお帰りになられるのですかな?」

 ――…………。
 扉を締めようとしていたら……。ぜんぜん、気付かなかった……。
 目の前には、あり得ない光景が広がっていた……。

「な、なぜだ……」

 なぜ…………。レンザ―卿が、車内で優雅に座っているんだ……!?

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