ドラゴンアース【地球を股がける者】

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第一章【それぞれの冒険】

pioneer3❲邪龍コーライトと亡龍エンディア❳

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ゼルゼ・フォーガが扉を開けると緑が生い茂った山脈が一望できる美し過ぎる場所が存在した。

「砂漠と荒野の大陸にこのような場所が……」

ゼルゼは廻りを見渡しながら呟いた。何万何千年と転生しての繰り返しの人生ならぬで、このような場所があるとは魔龍と呼ばれた彼にとり龍地球はなんと広大なのだろうと思った。

那賀龍神でさえ、ほとんどの事に興味が沸かない性格なのだが、この美しい景色に前髪の奥に隠された眼が輝いた。

「驚いたダか?ぐあはっはは!」

ドワーフのタンクはゼルゼと龍神の表情を見ながら豪快に笑った。

「ん、うん……、ところでコーライトとエンディアは何処に……?」

ゼルゼはひとつ咳をし、本題である呪龍と亡龍の居場所を尋ねた。

「来るダに……」

タンクがそう答えると、遠くの緑の峠を見た。

峠の奥から巨大な龍が顔をこちらへと覗かせる。白銀色の龍の顔の下の首が長くうねりをあげて近づく。白銀の龍の容姿は東洋のいにしえの水大陸の絵師が描く、蛇に手足がついた人々が想像する龍そのものの体型だった。

龍神は圧倒的な龍の迫力に腰を抜かした。ゼルゼは近づく龍に対して仁王立ちして笑みを浮かばせていた。

「久し振りだな!エンディア!」

「ええ……」

エンディアと呼ばれた龍はゼルゼに返答しようとした瞬間に、腰を抜かした龍神を見て空中で静止した。

「この姿は失礼だったね」

エンディアはそう答えると全身を光らせた。

光は人影となり、成人女性へと変貌し、龍神の前に降り立った。

「貴方が那賀龍神ね?私が亡龍と呼ばれるエンディアよ」

エンディアは微笑みながら龍神に手を差し伸べた。

白銀の長い髪に整り過ぎた美顔美貌は、非の打ち所がない。龍地球広しと言えどこのような美女はそうは居ないだろう……

「コーライトは?」

「…………」

ゼルゼの問いにエンディアが無言になる。

「死期が近いのか?」

「ええ……、彼女は私が出て来た場所に居るわ。もう動くのもままならないのよ」

エンディアの告白にゼルゼは唇を強く噛み締めた。

「解った。ではコーライトの居る場所へ行こう。那賀龍神、お前も来い」

ゼルゼはそう答えると本来の龍の姿に戻り、龍神とエンディアを乗せてタンクと別れ、コーライトの居る場所へと羽ばたいた。

「それにしても貴方の格好はあまりよろしくないですね?那賀………、龍神?」

エンディアは龍神のみすぼらしい姿を見て微笑む。

エンディアの言葉に龍神は苛立ちを覚えたが、もっともなので無視をした。

「それではモテないわ、身を洗うのと服装はあちらに行けば用意できるから、今は髪だけいじってあげる」

そう答えるとエンディアの右手から鋭い爪が伸びた。

「ちょっ、ちょっ、やめっ!」

「大丈夫、もう終わったわ」

驚きを見せた龍神だったが、いきなり視界が明るくなり、急に頭が軽くなった気がした。

「あら、貴方かなりのイケメンね」

龍神のボサボサの髪型は一瞬にして整い、エンディアの一言に顔を赤くした。

「エンディア、ここで降りる」

突然、ゼルゼはそう答え下降し、地に足をつけた。

ゼルゼが人型に戻るのを待ち、エンディアはコーライトの居る場所に身体を向け、歩きはじめた。

そこは森の中に滝があり、鳥の鳴き声と自然の音が奏でる安らぎを覚える場所だった。

「コーライト!」

巨木の切り株にさらに巨木が成長した場所に人影が横たわっていた。

エンディアと同じ女性であり、エンディアとは違った美しさがあった。しかし一目見れば、弱りきっているのは解るし、いつ死んでもおかしくない状態であることは、初見の龍神が見ても解った。

「コーライト、遅くなったな」

「……、遅い、わ、ボケ……、吊るす、ぞ、ゼルゼ……」

弱りきってはいるが、清楚な女性がゼルゼに毒舌した。外見と中身の違いに龍神は軽くショックを受けた。

「な、なんだ、てめぇ、は?」

コーライトは龍神を見ながら、ゆっくりと上半身を上げた。

「コーライト、コイツが例の龍を宿す能力者だ」

起き上がろうとするコーライトの身を抱えながら、ゼルゼが答える。

「この、みすぼらしいクソガキ、が?那賀龍神……?」

コーライトの睨みに龍神は怯えた表情を見せながらも頷いた。

「ただの弱そうな、クソガキ、じゃねぇか……」

「確かにコイツは弱い、龍を宿す能力者であっても龍の一頭も宿していない。能力もただの宝の持ち腐れだ」

ゼルゼの発言に対し、龍神はムッとしたが本当の事なのでだんまりした。

「なっ、納得できねぇ……、こんな弱々しい、クソガキが私、達の希望、だと?エンディアは納得したのか?」

コーライトの反発にエンディアは無言になる。

「よ、弱々しいって自分じゃねぇか!俺だってこんな訳の解らねぇ能力のせいで、お前らに付きまとわれんのはゴメンだ!」

突然、龍神は恐怖に泣きながら溜まっていた物を吐き出すように叫んだ。

「それについては何度もお前に謝っている……、那賀龍神よ、どうか私達の永遠を救ってほしい」

ゼルゼが龍神に懇願する。

「悪いが、ゼルゼ・フォーガ、私の、私達三頭の身を、コイツに預けるなら……」

「待て!」「コーライト、ダメよ、死んでしまうわ!」

急に立ち上がりを見せるコーライトをゼルゼとエンディアが止める。

森が一瞬にしてざわめき、鳥や飛行形モンスターが森から逃げ出す。

「那賀龍神!貴様を殺す!」

腰を抜かし、恐怖に怯える龍神の前でコーライトが変貌する。

コーライトはみるみる大きくなり、全身から角や棘が生える。ゼルゼと同じような体格の龍へと変貌するが、頭や顔には大きな角や棘、全身にもまるで剣のような角や棘を生やしていた。

これが呪龍コーライトの真の姿であった。

「この時代の私の最後の姿を見届けよ!」
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