ドラゴンアース【地球を股がける者】

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第一章【それぞれの冒険】

pioneer4❲三頭龍との絆❳

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「この時代の私の最後を見届けよ!」

全身が角や剣のような棘を生やした白色の呪龍コーライトは、魔龍ゼルゼ・フォーガよりも一回り小さな体型だった。

コーライトが腰を抜かして立てない那賀龍神に向かって威嚇する。

「コーライト、やめろっ!」「貴女、死ぬわっ!」

ゼルゼとエンディアが叫ぶ。

「私を宿すこの者は、ただ怯えているだけではないか!こんな腰抜けに私を宿す力など!」

コーライトはそう言い、龍神の全身の手前で爪を振り下ろした。

爪は大地を割り、龍神は目の前の爪を見て恐怖に顔を歪めた。

「これ以上はやめろ!」

ゼルゼはそう忠告すると、たちまち魔龍へと変貌した。同じようにエンディアも亡龍へと変貌する。

「貴様ら、私を殺すと言うのか?」

「そうだ」

呪龍が魔龍と亡龍を睨む。

「……ではゼルゼに問う。仮に那賀龍神を宿主にし、那賀龍神の寿命が尽きたら、私達はまた苦しみを未来永劫続けなくてはならないのではないのか?」

コーライトがゼルゼに疑問を突き付ける。

「今、お前は風前の灯であるが、死ぬ直前のあの凄まじい激痛や、呪いに似た狂気の感情を永遠に繰り返すのは、このゼルゼとて……」

ゼルゼは込み上げる感情のせいで最後まで言葉を続けれず、代わりにエンディアが口を開いた。

「私達十三の龍、不死の龍は別として、輪廻転生を繰り返す龍達には、何度も味わうあの死への激痛は繰り返したくない」

「死の激痛が無くなる確証はない。だが、那賀龍神の龍を宿す空間に私は希望をかけたい!」

感情を剥き出しながらゼルゼが叫ぶ。

「…………龍地球最強の龍が、死ぬのが怖いとは情けない……」

コーライトが龍神を見つめながら呟く。

「死ぬのは誰でも怖い。ただ私達の死は他の種族と違い、耐え難い死。それが転生する度に起こるのは狂気の沙汰ではない。お前が恐怖する気持ちは私達、十三龍にしか解らない……」

「地龍ガーを殺した貴方がそれを言う?」

ゼルゼの言葉に、エンディアが長い口を吊り上げながら返答した。

「クソガ……いや、那賀龍神よ」

コーライトが怯える龍神を呼ぶ。

「貴様は今現在、龍を何頭宿している?」

「…………、ゼ、ゼロだ」

龍神はコーライトの質問に震えながら答えると、コーライトは目を綴じて失笑した。

「龍を宿して身体に宿らせる能力……、ふっ、龍がいなければただの最弱な能力。でも龍を宿せば宿す程、最強最悪な能力になる。面白い」

コーライトが龍神の目の前まで顔を近づける。

「最後の質問だ。那賀龍神、貴様は龍を宿す事に抵抗はないのか?これは貴様の意思か?」

コーライトの質問に龍神は立ち上がり、深呼吸をひとつして、コーライトを睨むように告げる。

「俺にはやらないといけない事がある!お前達を宿して……」

三頭龍が龍神に集中する。

「混沌と破滅の六英雄を潰す!」

「ほう、あの六つの勢力を……」

怯えていた龍神が初めて三頭龍の前で意思を貫く。怯えた表情はなかった。

「…………一端な事を言う。解った、那賀龍神……、私は貴様に賭けてみるとしよう。最後の希望として……」

呪龍コーライトが龍神に宣言するように答えた。

「さあ、私を宿すがよい。もう数秒で私が終わる」

コーライトの宣告に龍神は深呼吸をひとつし、そして無言で頷いた。

「俺は那賀龍神!お前の名は?名乗りて俺と契約しろ!俺の命尽きても契約は続く!」

「私は呪龍コーライト!祈りと呪い、あらゆる呪術を司る龍!私は那賀龍神と契約する!」

龍神の呪文のような掛け声にコーライトが反応すると、龍神の胸元から歪んだ空間が浮かび上がった。

「感謝する。那賀龍神。そしてゼルゼとエンディア……、貴様達にも……」

そうコーライトが答えると、コーライトは歪んだ空間に吸い込まれ消えた。

「はあはあ……、あ、あとは……、アンタ達だ……」

龍神は息を切らしながらゼルゼとエンディアに告げる。

「解っている……」「ええ……」

目の前で消えたコーライトへの悲しみのせいなのか解らないが、ゼルゼとエンディアはなんとも言えない干渉に浸り、互いを見つめ頷いた。

「さあ、那賀龍神。私達共、契約し……」

その時だった。大地の震動が激しく揺れ動いた。

「地震か!?」

「違うわ!これは地震なんかじゃない!」

「ドワーフの渓谷が崩れ落ちる!」

先程まで居たドワーフの帝国が、渓谷が凄まじい爆煙を鳴らし崩れ落ちる。土煙が辺り一帯、天へと勢いよく登っていく。

「大変ダ!ゼルゼ!」

突然、聞き覚えある声のする方へ龍神とゼルゼ、エンディアが振り向く。

ドワーフのタンクがカンガルーのようなWEGSウェグスに股がり近づいて来た。

「何事だ!?」

「巨人族が攻めて来たダ!」

「いよいよ戦争が始まったのね。こんな時に……」

タンクの慌てふためく発言に、エンディアは冷静に言う。はっきり言ってドワーフ族と巨人族の争いなぞ、二頭の龍にとればどうでも良い事なのだ。今は龍神と契約する事が何よりも重要なのだ。

「聞いてくれダ!巨人の中にダ!」

「タンク、落ち着け」

「奇形種ヘカトンセントが居るのダ!」

その発言にゼルゼとエンディアは驚愕した。




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