ドラゴンアース【地球を股がける者】

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第一章【それぞれの冒険】

pioneer5❲奇形種ヘカトンセント❳

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龍地球ドラゴンアースの歴史に数種の脅威が記されている。

龍地球の子と呼ばれる十三龍の脅威。混沌と破滅の六英雄の脅威。その二つの脅威が有名だが、別の脅威も大なり小なり、人々や亜人達の命を脅かせていた。

例えば、幽帝ガナや邪樹クランプファー、百頭二百腕巨人ヘカトンケイル等の個々なる脅威があった。

中でもヘカトンケイルは十三龍よりも脅威があり、遠い過去に四龍が、ヘカトンケイルによって殺害された記述があった。のち百年の歳月を掛けて十三龍が団結し、ヘカトンケイルを倒したのだ。余談であるが、その戦いが原因で【十龍戦争】が勃発したのだった。

百の巨人がひとつに重なる大巨人ヘカトンケイルは、死ぬ間際に自らの身体を引き千切り、ふたつの肉片を巨人王国の奥深くへと隠し、悠に千年の時が流れた。

巨人王国ダウニーロートは、ドワーフ王国シルヴェ・スターの西に存在し、シルヴェ・スターの渓谷と同じような渓谷の中にある。

ダウニーロートの巨人達はドワーフの領域を欲し、過去に何度も争い、戦い、殺してきた。防戦一帯の状態が何百年と続いたが、ドワーフは対に技術を発展させた。

WEGSウェグスを発明した事により……

WEGSの技術により、仕掛ける巨人に対しWEGSが蹴散らす。これによりダウニーロートは衰退すると思われたのだが、ダウニーロートは最後の隠し球を用意したのだ。

ヘカトンケイルが残したふたつの肉片である。

ふたつの肉片の伝記にはこう伝えてある。分裂と再生と誕生であり、肉片はヘカトンケイル並の巨人がふたつ生まれると……

その言い伝えにより、肉片には名前があった。

ヘカトンセントと、ヴァミリアプロスと……

記述にはこうも記され、ヘカトンセントが産まれれば連動して、ヴァミリアプロスも誕生する。それがすぐなのか……、数年数十年、数百年先なのかは解らないが……

奇しくも奇形種ヘカトンセントは一九六五年に、巨人族の願いにより誕生してしまったのだ。

奇形種ヘカトンセントが産まれれば、ヴァミリアプロスも誕生する。その脅威がまた始まろうとしていた…………。





「ヘカトンセントって何だよ?」

那賀龍神が龍化しているゼルゼ・フォーガとエンディアに質問した。

「実際に会った事はないが、私やエンディアよりも脅威かもしれない」

「きょ、脅威って、アンタらよりも強いって事か?」

「ええ、そうよ……」

会った事のないモンスターの伝承や記述だけで憶測すれば、二頭の龍の考えは当たっているだろう。二頭の龍だけでは敵わない。例えコーライトが今、この場に居ても怪しい。何せ、遠い昔に十三龍のうち四龍が殺され、十三龍が結束してなんとか倒したヘカトンケイルの分裂した巨人なのだから……

「じゃあどうすんだよ?勝ち目ないんなら……」

「逃げろって言うのか?」

龍神の台詞に、ゼルゼが牙を剥き出しながら威嚇しながら返答する。

「そうだぜ!」「みくびるなっ!」

ゼルゼの威圧に龍神は身震いを見せた。

「私達十三の龍は互いが殺し合う程の仲だが、逃げる、臆する、卑劣な龍はいない!誰が逃げるか!」

「那賀龍神、私達は逃げない。例え殺されあの耐え難い程の激痛を味わっても」

二頭の龍の迫力に龍神は生唾を飲みこむ。だがいつもの龍神ならここで臆病風に吹かれ黙り込むが、龍神の心を動かすが龍神の行動を動かした。

「何があったか知らねぇけど、お前ら矛盾してねぇか?死を異常に怖れている割りに、勝てないと解っている怪物に挑むなんて、これじゃあ俺がお前達といる意味ねぇし、俺を託したコーライトの面子もねぇじゃねぇか!」

龍神は勇気を出してか、ただの無謀なのか解らないが、その、イコール、コーライトへの想いの為に叫んだのだ。

ゼルゼもエンディアも龍神を睨むように沈黙するしかなかった。

「だから、俺を頼れ!三頭龍が契約すれば僅かかもしれねぇけど、勝ち目は今よりもあるんじゃねぇのか?」

声を大にし、龍神は想いをぶつけた。

ゼルゼとエンディアは龍神の想いに互いを見つめ頷き、龍神へ口を開いた。

「那賀龍神、私とエンディアを契約してくれないか?」

「貴方の能力を私とゼルゼ・フォーガに分けてください」

「当ったり前だ!」

龍神はそう叫びながら身構えた。

「俺は那賀龍神!お前の名は?名乗りて俺と契約しろ!俺の命尽きても契約は続く!」

「私は魔龍ゼルゼ・フォーガ。智と精神を司る龍!私はお前の頭脳となり、龍を束ねよう!」

「私は亡龍エンディア。亡者使いネクロマンサーと予知を扱う龍。私は貴方の想いを育みます」

龍神の胸元の空間が歪み、ふたつの龍が歪みへと消えた。

「ゼルゼ、エンディア、コーライトの想いは受け継ぐ。俺は誰にも負けない!」

この融合のせいか龍神の目付きが遠い場所を睨むように鋭く変わった。

「さよならダ」

少し離れた場でドワーフのタンクが涙目になりながら、ゼルゼ達に別れを告げた。

「タンク、さよならじゃねぇ!とにかく行くぞ!ヘカトンセントってのが居る場所に案内しろ!」

龍神はそう宣言し、タンクと共に移動した。





崩れ落ちた渓谷の底に数百の巨人が佇む。一つ目巨人サイクロプス、#氷の巨人__フロストジャイアント__、#炎の巨人ファイヤージャイアント泥田坊どろたぼう等の巨人が岩の切れ目から様子を伺っていた。

巨人の軍の中で、一際目立つ体長三百メートルの大型巨人が居た。

二つ脚で地に脚をつけ、腰より上が四つの背中を合わせた、四つの上半身。八つの腕には棍棒や剣、斧といった武器を持ち、四つの頭は互いの顔を見る事は出来ない歪なる巨人。

奇形種ーーー四上半身巨人ヘカトンセントである。

四つの顔は憎しみに歪みに歪み、不気味なまでの気味の悪い怪物だった。

那賀龍神は渓谷の上からヘカトンセントを捉え睨む。

ヘカトンセントは那賀龍神の存在に気づき、四つの頭は憎々しげに高らかに雄叫びをあげた。

雄叫びは他の巨人達を煽り、雄叫びが絶叫を呼び、渓谷の下で巨人達の絶叫が反響しあった。

那賀龍神は絶叫しあっている巨人達を見下し、巨人達に向かって凄まじい程の覇気を放った。

これから起こる戦いは、やがて龍地球全土に那賀龍神の名前が轟く第一歩であったーー。

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