330 / 387
第330話:王都への、道
しおりを挟む
エルドリアの全権大使としてセレスティーナとレオノーラが聖域に正式に帰還してから数日後。
アキオは新・中央館の円卓会議室に全ての妻たちを集め、次なる大きな一歩を踏み出すことを宣言した。
「さて、皆。エルドリアとの関係も新しい形になった。いよいよ俺たちの約束を果たす時が来た。三国会談で合意した同盟の証として、完成したばかりの新型魔導車を関係各所に届けに行こうと思う」
その言葉に、部屋の空気が引き締まる。これは聖域の主としての最初の公式な外交任務だった。
「最初の目的地はヴァルト侯爵領。そして次にスタンフィールド公爵領。最後にメイプルウッドの王都へ向かう。長い旅になるぞ」
アキオのその言葉に、シルヴィアが穏やかに頷いた。
「素晴らしいお考えですわ、あなた。アキオ様が盟主として自ら動くことで、我らの誠意と力の両方を示すことができますものね」
「うむ。して、同行者はどうするのじゃ?」
アウロラの問いに、アキオは既に決めていた人選を告げた。
「今回の旅は俺たちの総力を挙げて臨む。まず、王都に新しい聖域を創造するため、シルヴィアとアウロラ、二人の力は絶対必須だ」
二人の女神は静かに頷く。
「そして王都での案内役と外交顧問として、凛とクラウディア。君たちの知識も不可欠になる」
「はい、アキオ様。お任せください」凛が代表して答える。
「それから、スタンフィールド公爵との交渉役としてシャルロッテ。お前には今回の旅の主役の一人として、故郷に錦を飾ってもらわねばな」
「まあ! わたくしもよろしいのですか!? はい、必ずやお父様を説き伏せ、最高の形でお役に立ってみせますわ!」
シャルロッテが喜びを爆発させる。
「最後に護衛役としてキナ。お前の野生の勘と腕っ節が必要になるだろう」
「おう、任せとけ、だんな! アタシがきっちり守ってやるぜ!」
アキオは残りの妻たちに向き直った。
「アヤネ、リリアーナ、セレスティーナ、レオノーラ。君たちにはこの聖域の留守を頼みたい。君たちがここを守ってくれるからこそ、俺たちは安心して外で戦えるんだ。頼んだぞ」
「はい、あなた。お任せくださいまし」
アヤネが優しく微笑み、留守番組の妻たちも力強く頷いた。
数日後、出発の朝。
聖域の門の前には壮観なキャラバンが組まれていた。
アキオと六人の妻たち(シルヴィア、アウロラ、凛、クラウディア、シャルロッテ、キナ)が乗り込む旗艦『流星』。そして国王とスタンフィールド公爵への献上品である新型車を搭載した輸送車が続く。
留守を守る妻たちとの別れの時が来た。
「あなた、どうかお気をつけて。シルヴィア様たちのこと、よろしくお願いいたしますね」アヤネが夫の体を気遣う。
「アキオ様。留守は我らにお任せください。貴方様のお帰りをお待ちしております」リリアーナが第七夫人としての落ち着きで微笑む。
セレスティーナとレオノーラも、大使として、そして姉として妹たちの旅の無事を祈っている。
アキオは一人一人と言葉を交わし、再会を誓うと『流星』へと乗り込んだ。
聖域の民全員からの盛大な見送りを受け、アキオ・ファミリーの外交使節団は一路、最初の目的地であるヴァルト侯爵領へと出発した。
聖域街道を数日走り、一行は懐かしいヴァルト侯爵領へと到着した。
アキオの最初の盟友であるヴァルト侯爵は、一行を家族のように温かく出迎えた。
「おお、アキオ殿! よくぞ来てくれた! そして奥方様方もお揃いで。まるで国の行列のようですな!」
アキオは会談の結果を伝え、同盟がより強固になったことを報告する。そして侯爵を少し申し訳なさそうな顔で見た。
「侯爵。今日はあんたに報告と、そして新しい約束のために来た」
アキオは凛に合図をし、新型魔導車の設計図を幻影魔法で侯爵にだけ特別に見せた。
「こ、これは……! なんという乗り物だ……!」
「今、聖域ではこういうものを作っている。今回の旅で国王陛下とスタンフィールド公爵には、同盟の証としてこれを渡すことになっているんだ。……すまん、あんたの分まで一度に用意することができなかった」
アキオのその正直な言葉に、侯爵はむしろ感激したように首を横に振った。
「何をおっしゃる、アキオ殿! 序列は守られてこそ。それに我らにはこの『天馬』があります。これだけでも我が領の宝ですぞ!」
「ありがとう、侯爵。だがあんたは俺の最初の友人だ。この次の生産分は必ずあんたのところに回す。約束する」
その言葉に侯爵は感涙にむせび、改めてアキオへの変わらぬ友情を誓った。
数日間の滞在の後、一行は次なる目的地、スタンフィールド公爵領へと向かった。
公爵領ではシャルロッテの父である公爵が、こちらも領を挙げての大歓迎で一行を迎えた。
「おお、シャルロッテ! 息災であったか! そしてアキオ殿、お待ちしておりましたぞ!」
「お父様、ただいま戻りました。そしてこちらがわたくしの夫であり、盟主であるアキオ様です」
シャルロッテが堂々とアキオを紹介するその成長した姿に、公爵は目を細めて喜んだ。
ここでアキオたちは約束通り、公爵に新型魔導車『疾風』と『大地』を引き渡した。さらに公爵の愛車である『試作一号機』を聖域の工房で魔改造するため預かることになった。
二つの同盟国への訪問を終え、一行はいよいよ最終目的地であるメイプルウッド王国の王都へと駒を進める。
アキオたちの本当の挑戦はここからだった。
アキオは新・中央館の円卓会議室に全ての妻たちを集め、次なる大きな一歩を踏み出すことを宣言した。
「さて、皆。エルドリアとの関係も新しい形になった。いよいよ俺たちの約束を果たす時が来た。三国会談で合意した同盟の証として、完成したばかりの新型魔導車を関係各所に届けに行こうと思う」
その言葉に、部屋の空気が引き締まる。これは聖域の主としての最初の公式な外交任務だった。
「最初の目的地はヴァルト侯爵領。そして次にスタンフィールド公爵領。最後にメイプルウッドの王都へ向かう。長い旅になるぞ」
アキオのその言葉に、シルヴィアが穏やかに頷いた。
「素晴らしいお考えですわ、あなた。アキオ様が盟主として自ら動くことで、我らの誠意と力の両方を示すことができますものね」
「うむ。して、同行者はどうするのじゃ?」
アウロラの問いに、アキオは既に決めていた人選を告げた。
「今回の旅は俺たちの総力を挙げて臨む。まず、王都に新しい聖域を創造するため、シルヴィアとアウロラ、二人の力は絶対必須だ」
二人の女神は静かに頷く。
「そして王都での案内役と外交顧問として、凛とクラウディア。君たちの知識も不可欠になる」
「はい、アキオ様。お任せください」凛が代表して答える。
「それから、スタンフィールド公爵との交渉役としてシャルロッテ。お前には今回の旅の主役の一人として、故郷に錦を飾ってもらわねばな」
「まあ! わたくしもよろしいのですか!? はい、必ずやお父様を説き伏せ、最高の形でお役に立ってみせますわ!」
シャルロッテが喜びを爆発させる。
「最後に護衛役としてキナ。お前の野生の勘と腕っ節が必要になるだろう」
「おう、任せとけ、だんな! アタシがきっちり守ってやるぜ!」
アキオは残りの妻たちに向き直った。
「アヤネ、リリアーナ、セレスティーナ、レオノーラ。君たちにはこの聖域の留守を頼みたい。君たちがここを守ってくれるからこそ、俺たちは安心して外で戦えるんだ。頼んだぞ」
「はい、あなた。お任せくださいまし」
アヤネが優しく微笑み、留守番組の妻たちも力強く頷いた。
数日後、出発の朝。
聖域の門の前には壮観なキャラバンが組まれていた。
アキオと六人の妻たち(シルヴィア、アウロラ、凛、クラウディア、シャルロッテ、キナ)が乗り込む旗艦『流星』。そして国王とスタンフィールド公爵への献上品である新型車を搭載した輸送車が続く。
留守を守る妻たちとの別れの時が来た。
「あなた、どうかお気をつけて。シルヴィア様たちのこと、よろしくお願いいたしますね」アヤネが夫の体を気遣う。
「アキオ様。留守は我らにお任せください。貴方様のお帰りをお待ちしております」リリアーナが第七夫人としての落ち着きで微笑む。
セレスティーナとレオノーラも、大使として、そして姉として妹たちの旅の無事を祈っている。
アキオは一人一人と言葉を交わし、再会を誓うと『流星』へと乗り込んだ。
聖域の民全員からの盛大な見送りを受け、アキオ・ファミリーの外交使節団は一路、最初の目的地であるヴァルト侯爵領へと出発した。
聖域街道を数日走り、一行は懐かしいヴァルト侯爵領へと到着した。
アキオの最初の盟友であるヴァルト侯爵は、一行を家族のように温かく出迎えた。
「おお、アキオ殿! よくぞ来てくれた! そして奥方様方もお揃いで。まるで国の行列のようですな!」
アキオは会談の結果を伝え、同盟がより強固になったことを報告する。そして侯爵を少し申し訳なさそうな顔で見た。
「侯爵。今日はあんたに報告と、そして新しい約束のために来た」
アキオは凛に合図をし、新型魔導車の設計図を幻影魔法で侯爵にだけ特別に見せた。
「こ、これは……! なんという乗り物だ……!」
「今、聖域ではこういうものを作っている。今回の旅で国王陛下とスタンフィールド公爵には、同盟の証としてこれを渡すことになっているんだ。……すまん、あんたの分まで一度に用意することができなかった」
アキオのその正直な言葉に、侯爵はむしろ感激したように首を横に振った。
「何をおっしゃる、アキオ殿! 序列は守られてこそ。それに我らにはこの『天馬』があります。これだけでも我が領の宝ですぞ!」
「ありがとう、侯爵。だがあんたは俺の最初の友人だ。この次の生産分は必ずあんたのところに回す。約束する」
その言葉に侯爵は感涙にむせび、改めてアキオへの変わらぬ友情を誓った。
数日間の滞在の後、一行は次なる目的地、スタンフィールド公爵領へと向かった。
公爵領ではシャルロッテの父である公爵が、こちらも領を挙げての大歓迎で一行を迎えた。
「おお、シャルロッテ! 息災であったか! そしてアキオ殿、お待ちしておりましたぞ!」
「お父様、ただいま戻りました。そしてこちらがわたくしの夫であり、盟主であるアキオ様です」
シャルロッテが堂々とアキオを紹介するその成長した姿に、公爵は目を細めて喜んだ。
ここでアキオたちは約束通り、公爵に新型魔導車『疾風』と『大地』を引き渡した。さらに公爵の愛車である『試作一号機』を聖域の工房で魔改造するため預かることになった。
二つの同盟国への訪問を終え、一行はいよいよ最終目的地であるメイプルウッド王国の王都へと駒を進める。
アキオたちの本当の挑戦はここからだった。
31
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた
秋月静流
ファンタジー
勇者パーティを追放されたおっさん冒険者ガリウス・ノーザン37歳。
しかし彼を追放した筈のメンバーは実はヤバいほど彼を慕っていて……
テンプレ的な展開を逆手に取ったコメディーファンタジーの連載版です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる