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第二話 第一章
第三節
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「…先程、『フツノミタマ』から少々会談の打診がありまして…向こうの【領域】まで来てほしいとのことです……」
「成程ね……また碌なお願いじゃなければ良いんだけど…」
「ふむ、碌かどうかの判断はつき難いですが…おおよその話題は予想出来ます……先の集団脱獄の件についてでしょう…」
「集団脱獄?」
数日前。合衆国のとある収容所。
世間には秘匿されていた【星】の収容所であったそこで、収容されていた【星】全てが脱獄するという事態が発生した。
収容されていたのは、残虐と呼べるような殺戮や戦争犯罪等の重大な悪事を犯したおおよそ百数十名の【星】。
中には【銘付き】も存在している。
その全員が一夜にしてその収容所から消えたのである。
看守や清掃員すら含む職員の全員は死亡。無惨に殺害されていた。
だが、奇妙なことが一点。なんとセキュリティは一部が破られてはいるがほぼ全てが無事に残っているのである。
「一体どうやったか…セキュリティは残っていますが、看守等が全滅したことから脱獄事件として扱われているらしく…現在合衆国は事態を各国の上層部のみ通達、組織したばかりの【星】と人間の混成部隊と協力関係を結んだ【星団】を用いて国の威信をかけて逃走する収容者を捜索中だと聞いております」
「鉄面皮…協力している【星団】の名称は?」
「わかっているだけでも、全面提携に応じた『アイアン・シックス』。それと『ウィーバー運送』等の有名どころ、後は…弱小ですが複数いるみたいです」
「へぇ~大変だねぇ…」
他人事のような態度で大和は応じる。
「そんな国の上層だけが得られる情報。どうやって手に入れたのよ?」
「そこは蛇の道は蛇。いろいろと手段があるモノです……おそらく『フツノミタマ』のヒミコも日本政府から情報を得て、国の為に我々に何らかの協力を頼みたいのでしょう」
「ふーん…まあしゃーね…行くだけ行ってみるか…」
やる気はないけれどそう決まった大和達。
とそこで気になることについて切り出す睦美。
内容は勿論ミコの事である。
「時に大和。其方の椅子を三つも使用して寝かせているその娘は何です?見れば一般人の気配ですが…もしやようやく年端もいかない少女に欲情する性癖を隠さなくなりましたか?」
「どんなモノの見方ッ!?守備範囲は広いのは自覚しているけれど基本ノーマルだからね俺ァ!?………ちげーよ、なんか新手の鉄砲玉みたいな感じで向かってきて勝手に自爆したから連れて帰って来たんだよ」
「ふむ………何故?寒い中雨に打たれた野良猫じゃあるまいし…その場に放置で良いでしょうに…」
「言い方お前…見りゃわかるが気絶していても、後生大事に握りしめているこの剣を持って向かってきたんだぞ。大方〇マゾンか〇天なんかでポチったPP素材の偽物なのはわかるが…こんなもん携行したまま白目剥かせて放置しちゃあ、ポリ公に御用になっちまうだろうがい。痛いとはいえ前途幸多き若者の脛に無暗に傷つけるのは駄目だと思うのよオジサンは…」
「……まさか貴方のような馬鹿がここまでの正論を吐くとは…」
「感心するのかディスるのかどっちなんだよ」
「…わかりました。その弁に免じて目が覚めるまではここに置いておきましょう…ちゃんと最後まで自分で面倒を見るんですよ」
「…けッ、言われなくてもわかっているよお袋…それぐらいの道理、理解できらァ…」
「誰がお袋ですか誰が…」
「お前も面倒ってなんだよ!完全に野良猫に引っ張られているじゃあねぇか!?」
「宣言してやるけれど、そろそろ軌道修正してやるわよ」
慣れたように脱線しかかる話を元に戻す晴菜。大和と睦美も互いに咳払いをして仕切りなおす。
「…兎も角、この娘が目覚めるまでは此処に置いておきましょう『フツノミタマ』の【領域】までには流石に連れていきませんから」
「そりゃ当然だろ…チェルシー、悪ぃがコイツを見ていてくれねーか?」
「かしこまりましたぁ」
「……それじゃあ行くか…」
チェルシーにそう申しつけ、向かうことにした大和達。門司に晴菜、睦美にエイプリルと全員である。
「…って、鉄面皮も行くのかよ…」
「当然です一号。馬鹿と猪ばかりで渉外は無理でしょう…それにヒミコも私が来ることを指名してもいましたから……」
「ふん…そうか……」
門司の反応を無視し、座標を設定し始める睦美。目の前の扉が件の【領域】へと繋がる。
「では行ってらっしゃいませぇ」
チェルシーの言葉を聞きながら扉の奥へと進んでいく大和達。
扉の先は和風で統一されたどこかの待合室のような場所である。
「ここは?」
「まあ来客用の座標地点だ鉄面皮…先行くぞ」
この場所を知っており先に進む門司。きれいな檜張りの廊下を歩く。
「そう言えばエイプリルって『創世神』に来るまでは『フツノミタマ』の所属だって聞いたわよ。やっぱり懐かしかったりする?」
「うぃ、自分を認識して十数日ほどの短い期間でしたが、やはりそれは感じます…故郷と呼べばよいのでしょうか?」
「んじゃ、用が終われば案内してくれよエイプリル」
「うぃ、喜んで」
と、そろそろ廊下が終わり屋外の広がった景色が見えてくる。
「では元ではありますが、私が挨拶を…ようこそ【星団】『フツノミタマ』の拠点【領域】通称『郷』へ」
目の前には巨大な人里の景色が広がっていた。
「成程ね……また碌なお願いじゃなければ良いんだけど…」
「ふむ、碌かどうかの判断はつき難いですが…おおよその話題は予想出来ます……先の集団脱獄の件についてでしょう…」
「集団脱獄?」
数日前。合衆国のとある収容所。
世間には秘匿されていた【星】の収容所であったそこで、収容されていた【星】全てが脱獄するという事態が発生した。
収容されていたのは、残虐と呼べるような殺戮や戦争犯罪等の重大な悪事を犯したおおよそ百数十名の【星】。
中には【銘付き】も存在している。
その全員が一夜にしてその収容所から消えたのである。
看守や清掃員すら含む職員の全員は死亡。無惨に殺害されていた。
だが、奇妙なことが一点。なんとセキュリティは一部が破られてはいるがほぼ全てが無事に残っているのである。
「一体どうやったか…セキュリティは残っていますが、看守等が全滅したことから脱獄事件として扱われているらしく…現在合衆国は事態を各国の上層部のみ通達、組織したばかりの【星】と人間の混成部隊と協力関係を結んだ【星団】を用いて国の威信をかけて逃走する収容者を捜索中だと聞いております」
「鉄面皮…協力している【星団】の名称は?」
「わかっているだけでも、全面提携に応じた『アイアン・シックス』。それと『ウィーバー運送』等の有名どころ、後は…弱小ですが複数いるみたいです」
「へぇ~大変だねぇ…」
他人事のような態度で大和は応じる。
「そんな国の上層だけが得られる情報。どうやって手に入れたのよ?」
「そこは蛇の道は蛇。いろいろと手段があるモノです……おそらく『フツノミタマ』のヒミコも日本政府から情報を得て、国の為に我々に何らかの協力を頼みたいのでしょう」
「ふーん…まあしゃーね…行くだけ行ってみるか…」
やる気はないけれどそう決まった大和達。
とそこで気になることについて切り出す睦美。
内容は勿論ミコの事である。
「時に大和。其方の椅子を三つも使用して寝かせているその娘は何です?見れば一般人の気配ですが…もしやようやく年端もいかない少女に欲情する性癖を隠さなくなりましたか?」
「どんなモノの見方ッ!?守備範囲は広いのは自覚しているけれど基本ノーマルだからね俺ァ!?………ちげーよ、なんか新手の鉄砲玉みたいな感じで向かってきて勝手に自爆したから連れて帰って来たんだよ」
「ふむ………何故?寒い中雨に打たれた野良猫じゃあるまいし…その場に放置で良いでしょうに…」
「言い方お前…見りゃわかるが気絶していても、後生大事に握りしめているこの剣を持って向かってきたんだぞ。大方〇マゾンか〇天なんかでポチったPP素材の偽物なのはわかるが…こんなもん携行したまま白目剥かせて放置しちゃあ、ポリ公に御用になっちまうだろうがい。痛いとはいえ前途幸多き若者の脛に無暗に傷つけるのは駄目だと思うのよオジサンは…」
「……まさか貴方のような馬鹿がここまでの正論を吐くとは…」
「感心するのかディスるのかどっちなんだよ」
「…わかりました。その弁に免じて目が覚めるまではここに置いておきましょう…ちゃんと最後まで自分で面倒を見るんですよ」
「…けッ、言われなくてもわかっているよお袋…それぐらいの道理、理解できらァ…」
「誰がお袋ですか誰が…」
「お前も面倒ってなんだよ!完全に野良猫に引っ張られているじゃあねぇか!?」
「宣言してやるけれど、そろそろ軌道修正してやるわよ」
慣れたように脱線しかかる話を元に戻す晴菜。大和と睦美も互いに咳払いをして仕切りなおす。
「…兎も角、この娘が目覚めるまでは此処に置いておきましょう『フツノミタマ』の【領域】までには流石に連れていきませんから」
「そりゃ当然だろ…チェルシー、悪ぃがコイツを見ていてくれねーか?」
「かしこまりましたぁ」
「……それじゃあ行くか…」
チェルシーにそう申しつけ、向かうことにした大和達。門司に晴菜、睦美にエイプリルと全員である。
「…って、鉄面皮も行くのかよ…」
「当然です一号。馬鹿と猪ばかりで渉外は無理でしょう…それにヒミコも私が来ることを指名してもいましたから……」
「ふん…そうか……」
門司の反応を無視し、座標を設定し始める睦美。目の前の扉が件の【領域】へと繋がる。
「では行ってらっしゃいませぇ」
チェルシーの言葉を聞きながら扉の奥へと進んでいく大和達。
扉の先は和風で統一されたどこかの待合室のような場所である。
「ここは?」
「まあ来客用の座標地点だ鉄面皮…先行くぞ」
この場所を知っており先に進む門司。きれいな檜張りの廊下を歩く。
「そう言えばエイプリルって『創世神』に来るまでは『フツノミタマ』の所属だって聞いたわよ。やっぱり懐かしかったりする?」
「うぃ、自分を認識して十数日ほどの短い期間でしたが、やはりそれは感じます…故郷と呼べばよいのでしょうか?」
「んじゃ、用が終われば案内してくれよエイプリル」
「うぃ、喜んで」
と、そろそろ廊下が終わり屋外の広がった景色が見えてくる。
「では元ではありますが、私が挨拶を…ようこそ【星団】『フツノミタマ』の拠点【領域】通称『郷』へ」
目の前には巨大な人里の景色が広がっていた。
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