【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)

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079 鼻

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「GYAOHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!」

 白銀の巨狼が、天を仰ぎ見て咆哮する。しかし、その叫びは先程の体をビリビリと震わされたハウリングのような雄々しいものではない。まるで悲鳴を上げているかのようだ。

 事実、白狼は悲鳴を上げているのだろう。その大きな体躯の右腹からは、どくどくとまるで血を吹き出しているように白い煙が溢れ出ている。傷を、それもかなりの深手を負っている。巨狼の急所を狙ったピンポイントな一突き。クロエの伏撃が決まったのだ。

 白狼が、己の右腹を襲った下手人を探すように、ぎょろりと大きな赤い目を走らせる。しかし、その時には既にクロエは襲撃を終え撤収した後だった。

 白狼に気付かれず接近したことに加えて、ピンポイントに急所を狙ってみせた技量の高さ。そして、伏撃成功後も無理な追撃も慢心せずに引いてみせた状況判断能力。クロエは確実に成長している。

 さすがはクロエ。もうハグして頬にチューしたいくらいの大活躍だ。嫌がられたら、オレの繊細な心が傷付くのでやらないが。

 クロエにとっても初めてとなる大型の獣モンスターが相手のはずだが、その働きに陰りは無い。素直に感心させられる。そして、これがオレの姪のクロエなのだと、無性に皆に自慢したい気持ちが溢れてきた。

 自分の口角が、気持ち悪いほど上がっているのを自覚する。こんなだらしのない顔は、『五花の夢』の少女たちには見せられないな。オレは努めて口を真一文字にする。今のところ嫌われてはいないようだが、嫌われてからでは遅いからな。

 オレの視線の先では、白狼が後ろを振り返り、キョロキョロとクロエの姿を探していた。自身に大ダメージを与えた相手の姿を確認できないことに焦っているようですらあった。接近するエレオノールの姿には目もくれないほどだ。

 おそらくだが、白狼の中でエレオノールの優先度は非常に低い。自身になんのダメージも与えられない弱い存在だと舐められているのだ。

 事実、エレオノールは、白狼にまともな攻撃を通せていない。エレオノールよりも、ジゼルやクロエの方が優先度が高くなるのは当然だ。

 だが、ウチのタンクを舐めないでもらいたい。エレオノールには、そんな半端者で終わるような教育はしていないのだ。

 エレオノールは、駆ける。これまで張り上げていた凛々しいウォークライなど嘘だったかのように、無言で静かに白狼へと接近する。

 いいぞ、エレオノール。今はそれでいい。

 エレオノールが、ついに白狼への間合いに入った。あと一歩でエレオノールの剣が届く。しかし、白狼はエレオノールの接近に気が付いていた。片耳をエレオノールの方に向け、カチャカチャとなるエレオノールの鎧の音で距離を測っていたのだ。

 白狼は、エレオノールの方を見ることもなく、無造作に右前脚を斜めに振り払った。エレオノールなど、その程度で十分ということだろう。

「ッ!」

 しかし、これまで『五花の夢』のタンクとして、敵の攻撃を一身に受けてきたエレオノールだ。斜めに振られた白狼の右前脚の下を滑り込むようにして見事に回避する。

 手応えが無いことを不審に思ったのだろう。ようやく白狼がエレオノールの方を向いた時には、既にエレオノールは白狼の懐に入り込んでいた。

 まるで、自ら食べられにいくように白狼の大きな口へと接近するエレオノール。その距離は、手を伸ばせば届きそうなほどの至近距離。図体のデカい白狼の間合いじゃない。エレオノールのショートソードの間合いだ。

「せやッ!」

 銀弧を描いて、エレオノールの刃がついに白狼へと届く。

「GYAUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUN!!!」

 白狼が悲鳴を上げて、背筋を逸らし、三度天を仰ぎ見る。そのピンクの大きな逆三角形の鼻からは、白い煙が上がっていた。鼻先を斬られたくらいで大げさなと思うかもしれないが、白狼のような、イヌ科のモンスターにとって、鼻は神経が集中した急所だ。他の部位より敏感だし、傷を負えば鼻が利かなくなる。エレオノールが攻撃するには、ベストな場所だと言えるだろう。

「GUAAAAAA!」

 白狼が、自らの鼻を斬りつけた下手人エレオノールへと報復を開始する。白狼は、まるで犬のようにお座りすると、右前脚を振り上げて勢いよく振り下ろす。

 遠目から見る分には、まるで白い犬がおもちゃにじゃれついているようにも見える。しかし、白狼は遊びではない殺気を帯びているし、なにより、おもちゃにされかかっているのは、仲間のエレオノールだ。まったく和やかな雰囲気を感じない。

「フッ!」

 エレオノールが鋭く呼気を漏らして、連続でバックステップを踏む。バックステップ一つでは回避しきれないほどに、白狼の手のひらは大きいのだ。ピンクの肉球は、見た目柔らかそうだが、意外にも硬い。いや、たとえ柔らかかったとしても、白狼の体重がかけられれば、鎧に身を包んだエレオノールといえども、容易に踏み潰されてしまうだろう。デカいというのは、それだけで脅威たりえる。

 ドシンッ!!!
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