【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
80 / 124

080 一撃

しおりを挟む
 ドシンッ!!!

「ふむ……」

 オレの視界の先では、鼻から白煙をたなびかせた白狼が、前脚を器用に動かして、地面を叩いている。まるでステップを踏んで踊っているかのような光景だが、白狼の目は殺意に煌めき、振り下ろされる前脚には必殺の威力が込められていた。

 白狼の狙いは、目の前をちょこちょこと動き回るエレオノールを圧し潰すことだ。エレオノールは、見事に白狼の注意を引きつけることに成功していた。今では、白狼の注意はエレオノールにしか向いていないほどだ。

 エレオノールは、一撃でもって白狼に脅威として、敵として認識させたのだ。

「はあッ!」

 白狼によって踏み荒らされ、茶色の地面が露出したステージを、黄金のたなびかせた白銀の少女が踊る。舞い上がる土に汚されようとも、その輝きに陰りは無い。

 エレオノールは、ただ回避を繰り返しているわけではない。時には剣を振るい、白狼にチクチクとダメージを与えていた。大したダメージではないが、白狼の苛立ちを加速させるのには一役買っているのだろう。白狼の意識が更にエレオノールへと集中し、視野狭窄へと陥っていく。

 全てはエレオノールの目論見通りだ。

「ちぇいやッ!」

 なんとも気の抜ける声と共に、土煙を斬り裂くように銀弧が振るわれる。茶色い土煙の中に、白煙が混じり、人間の頭くらいの物体が、土煙を割って飛び出してきた。

 よく見ると、飛び出してきた物体は、白銀の毛に覆われていた。鋭い爪も見える。あれは白狼の指か。ジゼルは、白狼の足の指を切断することに成功したらしい。空を飛んでいた白狼の指は、空中で白い煙と化して消えた。

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 耳を塞ぎたくなるほどの声量で、白狼の悲哀の混じった叫びが響き渡る。力無い声だ。だいぶ消耗していることが分かる。おそらく原因は、横腹に穿たれたクロエの一撃だろう。今もどくどくと濃く白い煙が勢いよく溢れ出している。

 ダンジョンのモンスターは血を流すことはない。しかし、あの白煙が血の代わりに流れ出しているのなら、もうかなりの出血量になるだろう。もしかしたら、白狼が座ったままなのは、体力を温存するためか、もしくは、もう立つこともできないほど消耗しているのかもしれない。

 オレは、クロエの運用方法は間違っていなかったと確信を得た。【痛打】のギフトを持ち、敵の急所を知覚できるクロエ。オレは、その特徴を活かして、クロエを影に隠れて致命の一撃を繰り出すアサシンとして運用してきた。正直、前衛がエレオノールとジゼルの二枚になってしまうことに不安が無いわけでもなかったが、それを加味しても、クロエの攻撃力は魅力的だ。

「大型モンスターだから、ちと苦労するかと思ったが……」

 クロエは、オレの予想を一撃で上回ってみせた。なるほど、失血か。傷をつけると白い煙を吐き出すモンスターだが、その白煙はモンスターにとっての血液である。失えば、当然弱る。

「これは失血死のルートも狙えるな。大型のモンスターには有効な手かもしれねぇ」

 クロエに気付かされるとは、オレもまだまだだな。

 オレは無性にクロエへのLOVEを叫びたくなったが、今、クロエは白狼の目を逃れて潜伏中だ。オレが声をかけて、白狼がクロエの存在を思い出せば、クロエが危険になる。

 叫びたい気持ちをグッと堪え、オレはクロエから視線を外した。クロエの活躍をこの眼にしかと刻み込みたいが、オレの視線からクロエの位置がバレることもありえる。獣型のモンスターは勘が鋭いからな。僅かな情報も与えてはならない。

 オレはクロエの活躍に気を良くしているが、それには当然、エレオノールとジゼルの存在が必要不可欠だということは分かっている。二人が白狼の注意を引いてくれたからこそ、クロエの一撃はここまで鮮やかに成功したのだ。

 そして今、白狼は同じ過ちを犯そうとしている。指を斬り飛ばされた恨みからか、ジゼルに執拗なまでに攻撃を繰り返していた。その目は最早、ジゼルしか映していないだろう。その隙を見逃すオレのかわいい姪ではない。

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 もう何度目かになる白狼の悲鳴が上がる。あまりの痛さに背筋を逸らし、天を仰ぎ見ているかのようだ。

 見れば、白狼の左腹に小柄な黒い人影が一瞬見えた。クロエだ。オレが発見した時には、既に白狼の腹からスティレットを引き抜き、白狼の死角へと潜るところだった。

 素早い退きだな。素晴らしい。先程も思ったが、クロエは決して無理をしない。それだけ、正確に自分の役割を理解しているのだ。

 よく、初心者冒険者にありがちなミスとして、敵を倒せそうだと感じたら、攻撃を欲張る奴が居る。敵が退いた分だけ前に出るイノシシみたいな奴だ。危なっかしくて見ていられない。

 クロエには、例え味方がピンチでも影に潜り、伏撃の機会を窺うように指示してある。クロエが表に出て助けに入るよりも、伏撃からの一撃で、敵を屠ってくれた方が、よっぽど味方のためになるからだ。

 仲間想いのクロエには辛いことを命じたと思う。しかし、クロエはオレの指示を守ってくれた。そのことが今、実を結んでいる。

「よくやった。よくやったぞ。お前は俺の誇りだ」

 できることなら、今すぐにでもクロエの頭を撫でてやりたいところだが、まだ戦闘は続いている。白狼はクロエの一撃を受けながらも、まだその存在を保っていた。予想外のしぶとさだな。まだなでなではお預けか。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

処理中です...