【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)

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084 新魔法開発

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「ま、前衛はこんなところか。次は後衛組のイザベルとリディだな」
「「「ありがとうございます!」」」

 パーティの前衛陣を褒めて注意点を伝えた後、オレはイザベルとリディの後衛組に目を向ける。イザベルは腕を組んで思考を巡らせており、リディはそんなイザベルの後ろからひょっこりと顔を出していた。

 相変わらずイザベルとリディの距離は近く、二人の仲がとても親密なものであることが伝わってくる。

「まずはイザベルからいくか……」
「その前に、ちょっといいかしら?」

 これからイザベルを褒めるぞと思っていたら、当のイザベルから待ったが出されてしまった。

「どうした? 何が訊きたい?」
「考えてみたのよ、私の弱点を。私には大きな欠陥があるわ。そうでしょう?」
「ふむ……」

 まずはイザベルを褒めて自信を付けて、後でそれとなく改善点を伝えようとしたのだが、イザベルは単刀直入に自分の弱点を訊いてきた。そのメガネに区切られた向こう。イザベルの虹色に輝く黒の瞳がオレを一直線に見つめてくる。

 オレはイザベルの強い視線を受け止め、見つめ返すが、イザベルは視線を逸らさずにジッとオレの目を見続けていた。

 イザベルは、ジゼルとは違った意味で勝気な少女だ。活発というわけではなく、物静かだが、強い意志を感じる。一本の芯が通った少女だ。きっと、オレがクロエたちを褒めて、後でさりげなく改善点を注意しているのも見抜いているだろう。

 これは、私には変なおためごかしは必要ない。私は自分の欠点を直視できるというイザベルのメッセージに他ならない。

 少し迷ったが、オレはイザベルの心の強さを信じて、単刀直入に彼女の欠点を伝えることにした。

「イザベル。お前には応用力が無い。それが一番の欠点だ」
「応用力……?」

 自分の想像と違ったのか、イザベルが眉をひそめて呟く。

「そうだ。お前の精霊魔法は大した威力だ。おそらく、威力だけなら高レベル認定の魔法使いにも引けを取らないだろう。高レベルのダンジョンでも通用する威力を持っている」
「それはありがとう」

 イザベルはオレの言葉を軽く受け流したように見えるが、その口の端がピクピクと震えているのが見えた。なんだか必死に喜んだ顔を見せないようにしているみたいだ。

 素直に喜べばかわいげが増すのに、クールを気取っているのかねぇ。

「だが……」

 ここからは、イザベルにとって耳に痛い話をしなくてはいけない。オレは一度、軽く息を吐くと、イザベルを真っすぐに見つめて口を開く。オレの言葉が届いてほしい。そんなことを思いながら。

「だが、イザベルは、できることの幅が極端に狭いんだ。やることといえば、いつも単調にストーンショットを撃つばかりだな。確実に敵を一体屠る。それはたしかにありがたいが、お前にはそれで満足してほしくはない」
「それが応用力かしら?」
「そうだ。魔法使いには、主に二つのことが要求される。高威力の魔法で強敵を屠ること。そして、一度に多くの敵を殲滅する殲滅力だ」

 オレの言葉を聞いて、イザベルが浮かべたのは、怒りの表情ではなく、納得の表情だった。

「なるほど。私の見解と同じよ。私には殲滅力が足りないわ」
「ほう……」

 イザベルは、自分で答えに至っていたらしい。自分の足りないところを直視して認めるという行為は、案外難しいものだ。それを一人でできるのだから、イザベルは歳に似合わず、自分のことをよく理解しているということだろう。

 この子は将来、とんでもない魔法使いになるな。

 オレは、なんとなくそんな感想を抱いた。

「なら、話は早い。イザベルの魔法は単発だが、白狼に大ダメージを与えることができるだろうよ。場合によっちゃあ、一撃で仕留められるかもな。だが、それだと前衛陣の訓練にならねぇ。だから今は禁じている」

 イザベルには、使用を禁止するほど高威力な切り札を既に持っている。では、殲滅力はどうかといえば……。

「イザベルのストーンショットの魔法は、たしかに威力は絶大だが、その対象は一体だけだ。白狼みたいなボス相手には有効だが、雑魚を狩るのに適切な魔法とは言えねぇ。お前には、威力重視じゃなくて、複数体を対象にした広域殲滅魔法が必要だ。丁度、オレが白狼の取り巻きのオオカミを仕留めた時みたいにな」

 白狼のハウリングによって召喚された取り巻きのオオカミたち。本来なら、その処理を担うのはイザベルのはずだ。

「………」

 イザベル自身にもそのことは分かっているのだろう。彼女は、難しい表情で腕を組んだまま、黙って頷いた。

「まぁ、魔法使いにとって、新たな魔法の開発は難事だと聞く。焦らず、ゆっくりでもいいから取り掛かってくれ」

 イザベルは、精霊魔法の使い手だ。彼女は、精霊に自身のマナを預け、精霊に魔法を発動してもらっている。精霊魔法は、普通の魔法に比べて、同じ魔力の消費でも、威力が高い傾向にあると聞く。人間よりも精霊の方が効率的な魔力の運用ができるためらしい。

 良いことばかりの精霊魔法に見えるが、その発動速度は、精霊に命じる関係でワンテンポ遅く、そもそも精霊と意思疎通に失敗して魔法が不発に終わることもある。

 魔法の発動者は、あくまで精霊であるため、新たな魔法を覚えるのも難しいとされている。知り合いのエルフ曰く、気まぐれな猫に芸を覚えさせるようなものらしい。

 だが、オレはイザベルに対して、そんなに心配はしていなかった。彼女が【精霊眼】の持ち主だからだ。

 生来の精霊魔法使いであるエルフやドワーフの中でも希少なギフト。通常は見ることができない精霊の姿が見えるというのは、精霊魔法を使いにとって、大きな利点となるだろう。今回の新魔法開発でも役に立つはずだ。
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