妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

文字の大きさ
12 / 51
本編

11.お勉強

しおりを挟む

 今日はフォンターナの泉にやって来ている。いつもみたいに水を飲むためなのもあるけど、先日、フォンターナがこの世界のことや妖精の力などの僕の知らないことを教えてくれることになり、こうして尋ねに来たのだ。泉のほとりに近づくと、光が人型になり、フォンターナが姿を現した。

「おはようございます!」
「おはよう。ふふ、朝から元気ね」

 フォンターナが、ころころと笑いながら挨拶してくれた。どうにも、僕のことを自分の子どものように感じていて、可愛いくて微笑ましいのだとか。まあ、そう思ってくれるのは、どちらかといえば嬉しい。

「さて、今日は何を知りたいのかしら?」
「うーん、じゃあ、この世界について気になっていることがいろいろあるので、教えてほしいです!」
「ええ、分かったわ。なんでも聞いて頂戴」

 早速、この世界に来てから気になっていたことをいくつか質問してみた。

「この世界には、人間っていますか?」
「いるわ。ここは森の深い場所だからいないけれど、この森の外にはたくさんいるのよ」
「ほんと!? うわ~! やっぱりいるんだ! 会ってみたいな~」
「人間の他にも、獣の特徴をもつ獣人じゅうじん、妖精や精霊に近い森人もりびと、地下や鉱物のある場所で暮らす地人ちじんなどが、いろんな場所で暮らしているわ」

 わ~! これぞテンプレって感じ! 森人は多分エルフでしょ? そんで、地人は多分ドワーフ! 獣人もいるなんて、ますます森の外に行きたくなるー!!

「森の外って行けるんですか?」
「まあ、行けない訳ではないけれど、とても遠いのよ。この森はとても広いからね」
「そうですか⋯⋯。んー、どうにか移動手段を確保したいところだな⋯⋯」
「あなたなら、すぐに行けるかもしれないわ」
「?? 妖精の力を使うってこと?」
「そうねぇ、私のもつ力と似たところがあるから、使いこなせれば、あなたのもつ力はとても強大なものになるの」
「ふわぁ⋯⋯ほんとですか!? よしっ、これから頑張るぞー!」
「ふふっ、可愛いわぁ」

 こぶしを掲げて息巻く僕を温かい視線が見守っている。それにハッと気付くと、僕は顔を赤くして照れながら、話を戻した。

「え、えっと、人間以外の種族もいるんですね。それじゃあ、『魔族』っていう種族はいますか?」
「『まぞく』⋯⋯聞いたことはないわ。この世界にはいないと思うわ」
「そうなんですか⋯⋯『魔獣』がいるから、そっちもいると思ったんですが。じゃあ、魔獣ってなんなんですか?」

 魔獣といえば、フィクションじゃ魔族が生み出していたり、従えていたりする存在として描かれるが、ここでは魔族という種族自体がいないらしい。だから、どんな生き物か予想が付かないから、フォンターナに聞いてみた。

「『魔獣』とは、生物の中でもより凶暴で、魔力をもった存在を指すの。普通、生物はみな霊力をもつ。けれど、たまに霊力が変質した魔力をもつものが生まれることがある。魔力は、例外はあるけれど、生物にとっては毒なのよ。だから、その毒を制御できず凶暴になってしまったもの、それが魔獣なのよ」

 なんと、思っていたよりも怖い話を聞いてしまった。この世界、魔力は悪いもの、という扱いなんだな。でも、気になったことがひとつ。

「例外って、なんですか?」
「ああ、それね。さっき挙げた、人間を含めた4つの種族のことよ。その4つの種族だけは、魔力が毒にならず、自らの力として扱うことができるのよ」
「え! なんでですか!?」
「うーん、なんでかしら? ごめんなさいね。私も、まだ700年程しか生きていなくて分からないことがあるの」
「⋯⋯ふぁっ!?」

 ななな、700年!? めっちゃ長いじゃん! それをまだ生まれたてみたいに言ってる⋯⋯!? じゃあ生まれて数日の僕は卵か!?
 ⋯⋯ふう、ふう。びっくりして変な考えをしてしまった。それにしても、そんだけ長く生きてるのに知らないこともあるんだなー。

「もっと長く生きている精霊もいるから、もし会えたら聞いてみるといいわ。森の外、行くのでしょう?」
「はいっ、すごい興味をもったので絶対行きます! いろいろ教えてくれて、ありがとうございます」
「ふふふ。いいのよ。他に、聞きたいことはあるかしら?」

 それから、僕は聞きたいことをどんどん質問して、フォンターナはそれに分かりやすく教えてくれた。いつの間にか日が暮れてきていたから、別れを告げて、僕は家へ帰った。


ーーーーーーーーーー
たくさんお読みいただきありがとうございます!
お気に入り登録もありがとうございます!
リアルが落ち着いたので、これからも毎日投稿が続けられそうです。ぜひ、続けてお楽しみ下さい!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

ダンジョンマスターはフェンリルくんとのスローライフをご希望です

ゆるり
ファンタジー
リュウセイは死んだと思った次の瞬間、神と名乗る人物に究極の選択を迫られ、ダンジョンマスターとして転生することになった。 ダンジョンマスターは一体の特別な魔物を相棒とする。だが、それは自分の意志では選べないらしい。 もふもふ好きのリュウセイが、癒やしになる相棒が生まれることを望んだ結果——なんと強い魔物の代表格であるフェンリルが誕生した! リルと名付けたフェンリルに慕われることに喜びを感じ、リュウセイはこの幸せを保つために、ダンジョンを強くしていこうと決意したのだが—— 「え、リル、凄すぎるだろ……」 『マスターのためにがんばっただけだよー』 リュウセイががんばらなくても、仲間たちが強すぎるから問題ない!? だが、リルたちはほのぼのとした雰囲気で何気なく騒動を巻き起こし—— リルたちに振り回され、リュウセイは笑いに満ちた波乱万丈を楽しんでいく。 ——きっとこれもスローライフの一種になるはず! ……だよな? ****** 基本はダンジョンマスター視点。 時々フェンリルのリルくん視点で展開していきます。 リルくん視点はタイトルに『リルくん』を付けます。 カクヨム様で先行公開しております。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...