妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

12.特訓しよう

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 次の日。僕はまた朝からフォンターナのいる泉へ来ていた。今日は、僕の力の使い方を学ぶためにやって来たのだ。泉へ近づくと、光が大きくなり、フォンターナが出てきた。

「おはようございます!」
「おはよう。今日も元気ね」
「はい! 今日は昨日より楽しみにしてたことを聞くので!」
「あら、なにかしら?」

 フォンターナは微笑ましそうに僕を見ながら、話を聞いていた。

「今日は、僕の力の使い方を教えてもらいに来ました」
「ふふ、早く森の外に行きたいのかしら?」
「はいっ」

 昨日、僕の力は使い方が分かれば強力なものになるって聞いて、帰ってからもワクワクが止まらなかったのだ。早速今日から教えて貰おうと、期待していたんだから。

「それじゃあ、力の使い方を教えましょう」
「お願いします!」
「そうね、まず、あなたのその力そのものについて知って貰おうかしら」
「力そのもの⋯⋯」
「ええ。その力は、生物がみなもっている、霊力というもの。霊力については知っているかしら?」
「はい。大気に満ちている力で、生物のエネルギーになるものだとか」
「そのとおりよ。実は、私たち妖精や精霊は、その霊力をたくさん生み出しているの。本来、生物は大気中の霊力を取り込むことしかできないのだけど、私たちは体の構造が少し異なっているのよ。体に取り込んだ他のエネルギー、私の場合は太陽の光ね。それを、体の中心にある『核』と呼ばれる場所で霊力に変換しているの。だから、私たちは膨大な霊力をもつことができているのよ」
「へぇー!」

 妖精も精霊も、すごい存在だっていうのは伝わった。自分で生きるための力を生み出せるのって、なんだか植物みたい。

「あ、でも、生み出した霊力って、使わないとどんどん溜まって破裂しちゃうとか⋯⋯」
「大丈夫よ。あなたの羽を見てみて」

 言われたとおりに、自分の背中を見る。いつもと変わらず、キラキラした粉を撒き散らしている。

「その羽からこぼれている光の粒が、あなたが生み出した霊力の余りなのよ」
「え、そうだったんですか!?」
「そうよ。あなたの体と羽に行き渡ったあと、余分に生み出された霊力は羽から外へ出しているの。膨大な力をもてると言っても、限度はあるのよ」

 よかった。いや、今の今まで大丈夫だったんだからそこまで不安だった訳ではないけど。とにかく、この光の正体を知れてスッキリだ。

「これで、あなたのもつ霊力について知れたかしら」
「バッチリです!」
「ふふふ。なら次は、その力の使い方について教えるわ」
「やったー! お願いします」

 僕は興奮しながら、フォンターナの言葉には耳をしっかり傾けた。

「私たちは、膨大な霊力はもっているけれど、干渉できるものは限られているわ。私の場合は、水に干渉することしかできないの。水を操ることは簡単にできるけれど、木や草、火や風などは操れないの」
「なるほど。水って、どこまで操れるんですか? 例えば、水に濡らした布とかは操れたり?」
「その場合は、布から水を抜き出して操ることになるわ。水で支えれば、運ぶことぐらいはできるけれど、布自体は操ることはできないのよ」

 なるほど~。本当に限られたものしか操れないのか。でも、その干渉できるものを上手く使えば、他の干渉できないものも操れそうではあるな。

「私は『水の精霊』と呼ばれているのだけど、それは私の宿るものが泉なことと、干渉できる物が水であることから、そう呼ばれるようになったのよ」
「はぇー。じゃあ、火の精霊って呼ばれてる精霊は、火に関するものに宿ってて、火を操れるってことですね」
「ええ、そのとおりよ。きちんと理解できたわね」
「えへへ~」

 そう言って、僕の頭をなでなでしてくれた。なんだか、胸の辺りがぽかぽかする。

「さて、この話をしたのは、あなたがどんなものに干渉できるのか、確かめようと思ったからよ。あなたは妖精で、精霊と違って宿る物がないから、干渉できる物の属性は分からないのよ。だから、探すには片っ端から試すしか無いのよねぇ」
「今から、いろんな物に力を使いまくるってこと?」
「そうよ。大変かもしれないけど、できるかしら?」
「もちろん! 頑張ります!」

 今まで力を使えた物から試していけば、僕の力の正体が分かるかもしれない。僕は、むんっ! と気合を入れて、フォンターナの指定した物に片っ端から霊力を使っていった。

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