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本編
13.チート
しおりを挟むフォンターナと特訓を始めて約1週間ほど経った。その間、僕はひたすら霊力を使い、何に干渉できるのか試していた。
まずは身の回りの物から。草、花、葉、木、土、石、水。いわゆる自然の物に対して霊力を使って、形を変化させたり、浮かせてみたりした。その結果、意外なことが判明した。草、花、葉、木に対しては、簡単に動かすことができた。でも、土、石、水に対しては力の通りが悪く、石に関してはほとんど干渉できなかった。
このことから、僕もフォンターナも僕の霊力が干渉できるのは『植物』なのだとほぼ確信していた。ただ、それでは矛盾していることがあった。土や水にも、力の通りは悪くとも、干渉自体はできていたのだ。『植物』にしか干渉できないのであれば、この結果はおかしい。フォンターナも不思議に思いながら、特訓を重ねていった。
霊力の特訓中、ふと思い出したことがあり、フォンターナへ話をした。それは、マロンの傷を、僕の霊力で治した、ということだ。
「傷を治した⋯⋯治癒の力、ということ? でもそれでは、植物を動かしたり、浮かせるような干渉はできないはず。活性化、も違うわね。なら一体⋯⋯」
⋯⋯すごく悩ませてしまったみたいだ。僕も考えてみたけど、関連性が全く分からない。ただ単に僕の霊力だけ特別で、植物を操ることもできるし、傷を治すこともできる、っていう2つの使い方があるだけなのかもしれない。そう言ってみたけど、フォンターナにそれはあり得ないはずだ、と否定されてしまった。
「世界に生きとし生けるものは、必ずその世界の理に従って生きる。もし理から外れた存在が現れたら、世界の管理者が気づいて、その存在に合う理のある世界へ連れて行くはずよ。あなたがここにいるってことは、少なくともこの世界の理に則しているということ。だからこそ、謎なのだけれどね⋯⋯」
うーん、ますます分からなくなってきたぞ。
そうして、頭を悩ませること数日。急に、ピンッと思いついたのだ。急いでフォンターナの元へ行き、僕の考えを話した。
「まず、僕の力は植物に干渉することができる。そして、傷を治したことだけど、それは『動物』に干渉した、と言うこともできるはず」
「⋯⋯! なるほど、確かにそう言うこともできるわね。それは、つまり⋯⋯」
「うん、どちらも『生物』である、という共通点がある。もしかして、僕の力は『生物』に干渉できる力なんじゃないかなって」
「ありえなくはないわ。ただ、前例のないことかもしれないわ。私も、そのような精霊や妖精の話は聞いたことないもの」
僕の力は、『生物』という存在なら何にでも干渉できる、というものなのかもしれない。気になった僕たちは、早速試してみることにした。
結果として、僕の力は『生物』に干渉する力で間違いなかった。フォンターナは、「そんな強力な力をもつ妖精が現れるなんて⋯⋯」と驚いていた。いや、僕も驚いてるよ。だってこれ、めちゃくちゃチートじゃない? その気になれば、人も操れちゃうんじゃ。⋯⋯⋯⋯フォンターナと話していて、ふたりでゾッとした。そして、絶対にその力のことは広めないように! と念をおされた。⋯⋯僕も、絶対に知られないようにしないと、と心に刻みこんだ。
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