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本編
14.便利な力
しおりを挟む僕は、ある程度の力の制御はできていたみたいだけれど、出力を上げるということができていなかった。動かす、浮かせるといった動きや、傷を治す、細胞を活性化させる、といったことはできても、浮かせた物を操って投げつけたり、生物の限界以上の力を引き出す、みたいなことはできなかった。フォンターナが言うには、無意識に抑えているのではないかという。これから僕の身を自身で守っていくためにも、いろいろな使い方を知っていて損はないはず。だから、無意識の枷を外すことを意識して特訓しよう、と言われた。
生き物に対して力を使う、ということは、力を入れすぎたら悪い影響が出るかもしれないということ。そんなふうに怖がって、僕は気づかないうちに力をセーブしていた。おかげで失敗したことはないんだけど、いざという時に戦うための力としては頼りない。こんな小さな体じゃ、投げられる石も小さいし、投げたところでダメージは0だろうな。だからこそ、霊力に頼るしか無い。
それに、自分の身を守る練習もしなければならない。これらも含めて、フォンターナにいろいろ教えて貰おう。
▷○◁
まず教えられたのは、『気配察知』の方法。これぞテンプレって感じだ。生き物や指定した物の気配を感じる、っていう技。やり方は比較的簡単らしく、霊力を周りにぶわーっと広げるだけ。ただ、極めて行くと最も難しい技と言っても過言ではないとか。霊力をただ広げるだけでも、濃い霊力を広げげたらすぐに霊力切れになってしまう。それに、広げられる範囲が狭くて使いづらい。だから、霊力を薄く薄ーく伸ばして、広い範囲に広げていく。これが、慣れないうちは難しい。
「これを極めれば、敵には霊力を察知できないけれど、自分だけは相手を察知できるようになるのよ」
と言われちゃ、極めないわけにはいかない! 僕はとても頑張った。
ところで、特訓を始めて気配察知をしてみた時、なんか身に覚えのある感覚がした。そう、この世界にやって来た初日に、泉と大木を探していた時に感じた感覚だ。まだ力があることも分からなかったが、その気配を察知していたのだ。無意識に力を使って、目的の物を探していたのだろう。
そして何日か経った頃。気配察知がある程度できてきたため、フォンターナから新たに課題が出された。それは、身の守り方である。
「私は、こうやって水で膜を作って、身を守る結界を張っているの」
フォンターナが手を体の横にかざすと、水が薄く広がって、フォンターナをすっぽり包みこんだ。
「この水の膜に、さらに霊力を込めれば⋯⋯、ほら、触ってみて」
「あ、はい。⋯⋯え? なにこれ、すごい硬い!」
見た目は完全に水なのに、バシバシ叩いてもちょっと波紋が広がるだけで、とても硬かった。
「水を霊力で硬化しているのよ。こんなふうに霊力を使って、自分の身を守るの。あなたの場合は、植物を使ってみると良いかもね」
「分かりました!」
植物で身を守る、か。そうすると、やっぱり定番は蔓だよね。蔓を操って、自分の周りを覆うように伸ばしていく。全部覆うと、目の前は見えなくなっちゃった。
「初めてにしては上手よ! あとは、より速く展開できるようにすることと、もっと丈夫にすることね」
なんだか難しそうだけど、やっぱり前世ではみんな憧れる魔法みたなことができるのはとても楽しい。だから、僕は頑張った。
そうして約1ヶ月間気配察知と結界の展開を頑張った結果、なんとかフォンターナに合格をもらえた。僕は喜んで小躍りした。
「あら、まだまだ森の外に出た時のために覚えておいてほしいことは沢山あるのよ?」
⋯⋯どうやら、僕が森の外に行けるのは、まだまだ先になりそうだ。
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