妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

23.モフッ

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 翌日。僕は騎士団の皆が起きる音で目が覚めた。起きた直後は、見覚えのない景色にちょっとだけ混乱したが、昨日の団長のハーヴェイさんとの会話を思い出して落ち着いた。朝食は、せっかくだから騎士団と同じものをもらった。甘いシトルイユカボチャモドキやルビネ、カカココなどに慣れた舌は、しょっぱめの干し肉には耐えられなかった。ちょびっと口に入れただけで、マズっと吐き出してしまった。しょうがないので、小さく生やしたルビネを摘んで、もぐもぐほおばった。昨日の、味がうっすいスープは食べられたのに、干し肉はダメだなんて、妖精は甘い物が大好きなんてよくある設定みたいだ。⋯⋯いや、もしかして本当にそうかも?
 朝食を終えると、テントや諸々を片付け、王国へ帰還するために来た道を戻り始めた。僕にとっては、来たことのない未知の場所だから、もうワックワクのドッキドキだ。

 帰還を始めて1日目。僕はハーヴェイさんの側を飛びながら着いて行っていた。景色的にはあまり僕の住んでたとこと変わりはないが、沢山の人がいるってだけで気分はルンルンだ。
 ⋯⋯あ、そういえば忘れてたことがあった。

「⋯⋯ん? なんか妖精様がこっちに来ましたよ」
「なんだ? 妖精様、どうしましたか?」

 僕は後ろに下がって、狼のような尖ったお耳を持つ獣人さんに近づいた。灰色の髪と同じ灰色の毛が生えたお耳だ。周りの人が話しかけてくるが、僕は目の前のそれに釘付けだ。

「⋯⋯なんか、お前の耳をめっちゃ見てるな⋯⋯」
「え、俺の耳になんか付いてます?」

 獣人さんが耳をピクピクさせた。それを見て、もう我慢できなくなった。
 ⋯⋯えーい!!
 ガバっとお耳に抱きついてスリスリする。はぁ~これこれ! 最初見たときからモフりたかったんだ~!

「おわぁっ!? なんだ!? ちょ、やめっ、くすぐったいっ!」
「え? え!? な、何してんですか!?」
「えちょ⋯⋯団長ー! よ、妖精様がー!!」

 ふあぁぁぁぁ、天国はここにあったのか~!



 ────十分後、僕はハーヴェイさんの手のひらの上でふてくされていた。

「⋯⋯というわけで、獣人の耳や尻尾というのはとても繊細な器官なんだ。あまり触らないでやってほしいのだが⋯⋯」

 ハーヴェイさんはふてくされている僕に、根気強くお耳と尻尾の大切さを説いているが、僕は知らんぷりだ。だって、目の前にあんなにイイもふもふがあるのに、触らないなんて無理だもん。
 しばらくぶーっと頬をふくらませていたが、とうとう観念してペコッと謝った。

「⋯⋯ああ。分かってくれたのならいいんだ」

 見上げると、疲れた顔をしたハーヴェイさん。ジワジワと罪悪感がこみ上げてくる。⋯⋯でもでも、もふもふに触りたいのは譲れない! 王国に行きながら、コッソリと森の動物たちをモフっておくかー。


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9月26日はお休みします。
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