妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

24.交流

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 帰還を始めて3日目。2日目は特に山も谷も無く過ごした。今日は、騎士団の皆が来るときに大変だったという、険しい崖を降りるそうだ。しばらく歩き、小川を越えた先、いきなり木が無くなり晴れた視界には、少し形の違う木が下の方に茂っていた。だいぶ高さがある気がする。僕は飛べるから関係ないけれど、この高さの崖を登って来たなんて、すごい身体能力だ。

「よし、ロープを降ろせ!」

 団長のハーヴェイさんの声が響き、団員たちはロープを降ろし始めた。頑丈な岩にロープの片側を結び、崖下まで垂らしたロープを、1人ずつ伝って降りていく。テキパキと統率の取れた動きに、さすがだなぁ、と思った。ところで、全員降りちゃったらロープが回収できないんじゃ? と思っていたら、最後に残ったハーヴェイさんがロープを回収し、そのまま飛び降りた。
 ⋯⋯うぇぇぇぇぇ!?

「は、ハーヴェイさんんんん!?」

 落下しているハーヴェイさんが何かを呟くと、風がゴゥッと強く吹き、落下速度が落ちていって、地面に着く頃にはほぼ止まるくらいになっていた。着地したハーヴェイさんは、何事もなかったかのようにこちらに向かって来る。
 ⋯⋯⋯⋯いやいやいや、心臓止まるかと思ったわ!? 生身で飛び降りるなんて怖すぎ! てか、さっきの風ってもしかして魔法的な何かかな? 霊力は持ってないから、魔力を使って発動したんだよね? 正体が知りたいっ!
 あ、いやそうじゃなくて。合流したハーヴェイさんの周りをくるくる回って、怪我がないか確かめる。大丈夫そうには見えたけど、やっぱり心配だ。

「? どうしたんだ?」
「うーん? あ、多分団長のこと心配してるんじゃないんですか?」
「心配? いや、あれくらいは危険に入らないが」
「!?」

 いやいやいやいや、普段どんな生活してるんだ。⋯⋯なんか、心配して損した気分⋯⋯。


 夜。崖下からまた少し歩いて、今日はここで野営をする。テントを設営し、夕食を作る団員たち。僕は自分で生やした果物を食べるから夕食は要らないと、どうにか身ぶり手ぶりで伝えた。3日目にもなってくると、言葉が伝わらないのがだんだん不便になってくる。ということで、誰かに文字を教わることにした。僕を転生させた管理者のおかげか、しゃべっていることは聞き取れるけど、文字は読めなかった。
 というわけで、教えてくれる先生をご紹介しまーす! こちら、初日に僕がお耳をモフりまくった、狼獣人の騎士さん! 名前はウルリックさん! お耳をモフりまくったあと、2日目の昼ぐらいまでめちゃくちゃ怯えられてしまっていたけど、夜にちゃんと謝ったら許してくれて、仲直りしたよ。そして、僕の文字勉強に一番に名乗りを上げてくれて、めでたく先生に任命された。

「よろしくお願いします!(ペコッ)」
「はい、よろしくお願いします」

 そうして、勉強が始まった。ウルリックさんの声、優しい低い声で、ちょっと眠くなってくる。勉強は、まずは基本的な文字を教わることから。ウルリックさんが地面に枝で文字を次々書く。文字の種類はそれほど多くないようで、これなら僕も覚えられそうだ。というか、約50個で、1文字が1音のようだ。⋯⋯まんま五十音でした。覚えやすくてありがたいけど、何かの意図を感じる気がしてならない⋯⋯。とりあえず他のことを考えずに、勉強に集中することにする。

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