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私に教えてください③
しおりを挟む「なのでお父様。お兄様の怪我が完治するまで私に教えてください」
何を、とまで言わなくても仕事だけは真面目に熟してきた父ならこの言葉だけで通じる。父は一度黙ってしまうが最後にはベルティーナの頑固さを知っているからこそ受け入れた。
アルジェントに呼ばれ、二人の怪我を魔法で治すかと問われ断った。馬鹿二人にはキツイ薬だろうが反省を促す為にも怪我は自己治癒能力に任せると。
「傷が残るとしたら?」
「うーん……」
男のビアンコであれば傷の一つや二つあっても構わなくてもクラリッサはそうはいかない。女性の体や顔に傷は嫁入りするなら致命的な欠陥となる。この先クラリッサに縁談があるにしろ、ないにしろ、傷はない方がいい。
「これについては二人が完治してからにしようか」
「そう、ね。そうしましょう。お兄様がこんな馬鹿とは思いもしなかったけど……」
「恋は盲目って言うじゃないか。モルディオ夫人とは叔母甥なんだ、似ても不思議じゃない」
アルジェントの台詞に複雑極まるベルティーナ。父も同じ気持ちらしく、同じ顔をしている。
「殿下はご友人のお見舞いは宜しいのですか?」
「ああ。済ませてから来た。今は状況が状況だけに私が報せた方が都合良いだろうと来たんだ。後は、ベルティーナと公爵が気になっていた」
「私?」
「正気を取り戻せているか怪しい公爵と君がまともに話せているか、どうしても気になったんだ」
「そう、ですか」
どうしてかリエトと話がし辛く、いつも通りと自分に言い聞かせないと言葉を詰まらせてしまう。
「今日はこれで帰る。明日も来ていいだろうか……?」
「お好きになさっては。おもてなしは致しません」
「分かった」
「……」
いつもならここで言い合いに発展する二人だけれど、今日はリエトが受け入れただけで終わった。ポカンとなるベルティーナはハッとなって小さく首を振り、帰るリエトを見送ると申すが不要とされた。
「それよりもやる事がベルティーナにはあるだろう? そっちを優先したらいい」
「お見送りくらいする時間はありますが?」
「いや……明日でいい」
ベルティーナの見送りをリエトは受け入れないまま王城へ帰って行った。
「何だったのかしら?」
「さあ。まあ……あの王子なりに、これからどうするか考えてはいそうだよ」
「……そうね」
これからどうするかを考えないとならないのはベルティーナも同じ。父に振り向き前に立った。
「お兄様の時と変わらず教えて頂ければ結構です」
「分かった」
今までだって何度も父と正面から向かい合う機会はあったのに、こうなって漸く向き合える機会が巡って来たのは何とも皮肉だ。早速取り掛かると家令に支えられながら執務室に行く父の後をベルティーナも付いて行く。アルジェントは少し遅れてベルティーナ達の後を追った。
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